展覧会『ボストン美術館の至宝展』神戸市立博物館 | アメ太郎、パン次郎とググ&おチビ

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『ボストン美術館の至宝展』

神戸市立博物館で開催中です。

 

世界屈指の美の殿堂、アメリカの「ボストン美術館」

約50万点の所蔵品の中から選りすぐりの80点が紹介されています。

また、コレクションの形成に寄与した収集家たちにもスポットを当てています。

取材で伺い、許可を得て撮影しています。

 

第1章 古代エジプト美術

ボストン美術館とハーバード大学による共同発掘調査(1905年から40年間、エジプトと北スーダンの23か所の遺跡で実施)の成果を中心に紹介されています。 

 
私が気になったのはこちら。
丸いお尻といい、柔らかいフォルムがたまりません。小さい壺です。
↑《縛られたオリックス型の壺》 初来日
ヌビナ・ナバタ時代、紀元前7世紀初期
ヌビア(スーダン)、メロエ出土
トラバーチン(エジプト・アラバスタ―)
 
そして、古代エジプトといえば、ツタンカーメン。その人であると考えられている像です
1922年に「王家の谷」で発見された黄金のマスクに似ていることが指摘されています。
《ツタンカーメン 王頭部》 初来日
エジプト、新王国時代、大18王朝、ツタンカーメンの治世
紀元前1336-1327
砂岩
 
第1章は砂や石の色ばかりなのですが、でも、華やかなんです。驚くほど明るく、魅力的です。
 
第2章 中国美術
ボストン美術館の中国コレクションは約9000点。
その中から北宋・南宋絵画の名品が来日しています。
 
※宋(960-1279)は中国の王朝の一つ。金に華北を奪われ南遷した1127年以前を北宋以後を南宋と呼び分けてはいますが、文化的な継続性は強いと考えられています。
 
約9mの画面に描かれた9匹の龍。写真はその一部です。
作家の陳容は南宋末期に活躍した画家で龍図を得意としたそうです。
生き生きと存在感のある龍は、絵の中から今にも飛び出してきそうな印象です。
《九龍図巻》(部分)
陳容
南宋1224年

 

第2章は、墨の濃淡が目を引きます。いわゆるモノトーンのイメージ、ですが、描かれているモノたちからの活力が感じられます。

 

第3章 日本の美術
ボストン美術館の日本コレクションは、なんと、約10万点。
東京大学で教授でもあった、エドワード・シルベスター・モース
ボストンの外科医チャールズ・ゴダード・ウェイド
ハーバード大学出身の哲学者アーネスト・フランシスコ・フェノロサ
 
ボストン美術館の日本コレクションに、まさに貢献した人物たちです。
今回は、初めて里帰りを果たす作品も含め、江戸美術が紹介されています。
 
英一蝶の《涅槃像》は1886年(明治19)以前にフェノロサが購入、以来、ボストン美術館で収蔵されてきました。
約170年ぶり本格的な解体修理が行われました。その期間約1年。今回、初めて日本への里帰りを果たすこととなりました。
《涅槃像》英一蝶
江戸時代 1713年
一幅、紙本着色
 
《涅槃像》は細かいところまでじっくりと見てほしいです。様々な動物たちが生き生きと描かれています。
にゃんこもいます。
 
第4章 フランス美術
19世紀フランス絵画のコレクションが並びます。
日本でもおなじみにモネやセザンヌ、ドガやミレーの作品たち。
注目すべきはゴッホが描いたルーラン夫妻がそろって来日したことです。
1888年2月、ゴッホは南仏のアルルに移り住みます。ルーラン夫妻は数少ない友人で精神的な支えでもあったそうです。
ゴッホはルーラン夫妻の肖像画を20点以上制作していますが、会場に並ぶのは、夫が最初に描かれたもの、夫人は最後に描かれたものだといわれています。
左《郵便配達人 ジョセフ・ルーラン》
1888年 油彩、カンヴァス
右《子守唄、ゆりかごを揺らす オーギュスティーヌ・ルーラン婦人》
1889年 油彩、カンヴァス
 
二つの作品は対で描かれたものではありませんが・・・飄々としたジョセフに対して、意志の強そうなオーギュスティーヌ、なんとなくですがご夫婦の関係が反映されているような・・・
 
第4章 アメリカ絵画
ボストン美術館の天井画を手掛けたサージェント、アメリカ印象派の絵画などが並びます。
ジョン・シングルトン・コプリー
左《ジョン・エイモリ―》
1768年、油彩、カンヴァス
右《ジョン・エイモリ―婦人》
1763年頃、油彩、カンヴァス
 
ボストン美術館は開館当時、ボストンの中心地コプリースクエアに位置していました。
コプリースクエアと画家コプリー。その関係は?音声ガイドを聞いてみて下さい。
奥に見えるのがサージェントの作品です。
ドレスの色・質感が・・・素晴らしい。
 
第6章 版画・写真
第7章 現代美術
 
この2つの章については会場でお楽しみください。
 
ボストン美術館とは
1876年7月4日、アメリカの100回目の独立記念日に開館。
百科辞典のように多種多様な美術品を所蔵する、世界有数の美術館の一つ。
国や州などからの助成金を受けず、個人や市民、コレクターからの寄贈やスポンサーから資金提供によって、コレクションの拡充を続けてきました。開館当時は約5000点だった品数は現在約50万点に。
2020年には設立150周年をむかえます。
 
今回来日したのは、まさに「至宝」
初来日の作品も多数あります。
これらが市民たちの手で力で集められたコレクションの一部だと思うと、ボストン美術館に関わる人々の、芸術への強く熱い思い、優しいまなざしを感じずにはいられません。
 
ちなみに、音声ガイド、ナビゲーターは竹内結子さんです。
 
「ボストン美術館の至宝展 東西の名品、珠玉のコレクション」
神戸市立博物館で
来年2018年2月4日まで開催です。
 
 
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