上原まりさんを追悼して放送された初演版『新源氏物語』を観ました。
数年前に、薔薇とシンフォニーというコンサートで榛名由梨さんが歌った『恋の曼陀羅♪』が素晴らしくて、いつか榛名さんが光源氏を演じた新源氏物語の初演を観たいと思っていました。
榛名さんの歌の素晴らしさは上手く説明できないのですが、歌詞の意味が心にビンビン響いてきて、気付いたら涙が溢れていました

初演の『新源氏物語』。
凄かった。
濃厚なお芝居で情緒溢れる王朝絵巻を見ている様で見応えがありました。
感情豊かな歌唱力、情緒のある演出、心情が伝わる演技力、層の厚いキャスト陣、、、。
当時の宝塚が実力重視のキャスティングだったのか、実力あるメンバーが沢山いたのかわからないけれど、役のあるキャストが皆歌が上手いことにびっくりしました。
初演版は藤壺も紫の上も朧月夜も皆んな歌が上手いんです。
で、下級生が演じている雲居の雁までもが上手くて。夕霧と雲居の雁のデュエットで感動したのは初めてです。
全体的にこの当時は内面を一番重視していたのだなぁと思いました。
だから、歌声や台詞が心に響くのだなぁと。
また、脇役が豊富なのも素晴らしかった✨
星原美沙緒さん、邦なつきさん、未沙のえるさん、汝鳥伶さん、京三沙さん。
皆様月組生だったのですよね。
脇を固めるキャストがしっかりしていると物語に味わいが加わります。
私的に若手男役の頃の剣幸さんが見られたのも嬉しかったです





剣さんは、雨夜の品定めの場面の一人、そして柏木役。
ウタコさんの柏木、物凄く新鮮でした



この配役は剣さんが光源氏を演じた1989年の公演の時の天海祐希さんと全く同じですよね‼︎‼︎‼︎
剣さんにも若手時代があったなんて。→当たり前
なんだか感動

榛名由梨さんの光源氏は、藤壺に対しての憧れ、紫の上を愛おしく思う気持ち、他の女人への想いがそれぞれ伝わってきて流石だなぁと思いました。
学生時代に、田辺聖子さんの『新源氏物語』を読んだのですが、その時に抱いた源氏の印象は誠実さでした。
源氏と言えば沢山の女人と関係を持つのでプレイボーイというイメージがありますが、原作に描かれている源氏は一度関係を持った女人は大切にするのですよね。どんな女人であっても。
榛名さんの源氏は原作のイメージにぴったりでした。
葵の上が亡くなる場面では夫婦の絆を感じて泣けたなぁ。この場面の榛名源氏から葵の上を思う気持ちが痛いほど伝わってくるんです。
原作では、車争いの後に二人の絆が深まる過程が丁寧に描かれているのですが、舞台では時間の都合上カットされていました。
でも、榛名源氏はカットされた心情をお芝居で埋めているのだなぁと感動しました。
演出もね、葵の上が源氏の腕の中で亡くなる初演の演出の方が私は好きです。
2015年の花組公演の時の演出はイマイチでしたよね、、。
藤壺とのラブシーンなど、やはり柴田先生の演出は良いな。
藤壺役の上原まりさん。
存在感が素晴らしい。
上品でたおやかさがあり、源氏が憧れて止まないのも納得です。
心の中で罪を犯しておりました♪のソロが素晴らしかった。
上原さんの歌声は、ミュージカル調ではなく歌劇の歌声ですね。源氏の世界観と合い情緒豊かで鳥肌が立ってしまいました。源氏への溢れる想いも伝わってきて苦しくなる程。
柴田先生が、紫の上ではなくて藤壺をヒロインにしたのは上原まりさんの存在があったからなのですよね。
紫の上の抱える様々な感情を舞台では一切カットしてでも、藤壺という存在を大きくしたかった事が納得出来ました。
この作品を観て、柴田先生の作品はもう簡単に再演しない方が良いのではないかと思いました。
これは初演のメンバーの為に書いた脚本なんだと。
1989年に剣さん主演で再演されたものは、柴田先生の目が見えていて当時の月組のことを熟知していたので、ウタミミコンビに合った演出だったと私は思います。
でも、最近花組で再演されたものは、物語の芯である光源氏と藤壺の関係がボヤけていたので、『名作』が『迷作』になってしまい、とても残念でした



でも、同じ柴田先生の『あかねさす紫の花』の博多座での再演は凄く良かったので、一概に再演は反対ではないけれど、キャストが揃った時に再演して欲しいですよね

この作品は初演をご覧になった方にも評判が良かったのが嬉しかったです。
ですが、『初演は別格だった』と仰る方が多いので、やはり初演は素晴らしかったのでしょうね。
あかねさす紫の花の初演の映像残ってないのでしょうか⁉︎
観てみたいなぁ。
話が脱線してしまいましたが(^^;;、新源氏物語の初演を観られて良かったです。
37年も前の作品なので、画像が心配でしたが(恋と十手と千両箱の映像が酷かったので
)、思ったよりも綺麗で最後まで集中して観る事が出来ました^_−☆
