お釜のふちの登山道はやはり登山者が行き交っているので、適当なところから山場をひとくだりすることにする。

登山道から見えるような見えないようなところ、溶岩の岩撃かさぶたのようになっている滑り台状のスロープを発見しここにザックをおろす。

真下を見下ろすと遥か向こうに須吉の駐車場が見える、ということは、この足元の下、標高2800メールまではこれまでのトライで登ってきているというわけだ。

そのあたりはよく知っている。

ガスが湧いてきた。

あわててパラグライダーを広げて装備をととのえる。

準備ができた。

だれも見ていない。

いや、上のお釜のふちを歩く登山者何人かが気がついているようだ。

風がほどよく吹いたときにグライダーを立ち上げなければならない。

ちょうど、地面に置いたタコを風の勢いで揚げる要領だ、ここならと思った溶岩の岩盤の上だったが間違いだった。

岩に埋めこまれた小石にグライダーのラインがひっかかるのだ。

二度三度トライするがグライダーを上げることができない。

無理をするとラインが切れてしまいそうなのだ。

この場所はあきらめ、グライダーを手元に手繰り寄せてもう少し下ることにする。

グライダーをひきずるようにして20メートルほど下ったガラ場の上にもう一回広げる。

離陸するには最悪の場所だがほかにいいところは見あたらない。
こんなのあるんで

いい風が入ってきた。

よし!