仕事からの帰り道。
車を走らせていると、道の傍らに赤い鳥がうずくまっている。
即座に、車にぶつかった琉球アカショウビンだと理解した。
琉球アカショウビンは、春になるとこの島にやってくる渡り鳥で
ピュルルルルー!
ピュルルルルー!
と呼び合う様に美しい声で鳴く、真っ赤な鳥。
鳴き声は、よく耳にするが
カラスや鳩のようには人前に姿を現さないので
私も、はっきりと姿を見たのは一度だけ。
前に住んでいた森の中で
つがいの琉球アカショウビンか頭の上を戯れ飛んでいた。
車を脇へ寄せ、少し近づくと
片方の羽がすこし捻れたように開いている。
重傷を負っているのか
たんに、脳震盪を起こしてボンヤリしているのか?
素人には判断がつかない。
野生動物保護センターで、以前掃除の仕事をしていた友人へ電話をする。
「もし時間があるなら、保護して連れていってあげたほうが、いいかも」
「だけど、下手に触ると、人間の匂いがついて良くないとか言わない?」
相談の結果、センターへ電話して、指示を仰ぐことにした。
すると、いまから職員の方が来てくださると言う。
現場が、センターから次の集落へ向かう途中と、近かったのも幸いしたろう。
待つこと10分。
職員さんが現れた。
網をそっと被せても暴れることなくじっとしている鳥。
少し動いたはずみに、捻れていた羽が真っ直ぐになった。
よかった。折れてはいないみたい。
しばらく観察し、一晩センターで保護して
明日、回復したら野生へ還しましょう、ということになる。
致命傷は負っていない様子だが
このまま夕暮れを迎えたら
間違いなくカラスにやられるだろう。
野生の寿命であれば仕方がないが
人間の文明との事故だと、忍びないではないか。
それにしても本当に美しい鳥だ。
職員さんによれば、
普通のアカショウビンよりも
琉球アカショウビンは、羽の紫が強く出ており
美しいのだそう。
内側の産毛は、
ブルーと白。
まるで珊瑚礁の海のような美しさ。
「無事、放せたら連絡しますね、あ、もしも駄目な場合にも…」
そう職員さんは言い残し車で帰って行った。
わざわざ連絡をくださるなんて、とても親切だ。
先程の友人へ
報告のメールを入れる。
「さっきはありがとう!無事保護して貰ったよ。すごく綺麗だったよ。」
一緒に、画像も添付した。
「ほんとに、綺麗だね!
きっと良いことあるよ、楽しみに待ってなよ!」
他の友人にも
あまりに鳥が綺麗だったからメールをした。
「幸せの鳥だね!きっと良いことあるよ!」
みな、一様に、そう言うのだった。
私は、とても嬉しくなった。
鶴の恩返しのように、私の身に、なにか良いことが起こるのでしょうか?
そして、飛び上がって喜ぶのでしょうか?
いいえ。
私は
鳥が、無事でいてくれたらそれでよく
そして、美しい姿を見せてくれただけで充分。
そのうえ、友人たちが
すごく満たされたきもちで、私に
「良いことあるよ!」
と言ってくれたことが
もうそれだけで幸せ!!
想像してみて。
もし、誰かが、あなたに
「おまえは明日死ぬ!」
とか
「きっと良くないことが、起きる!」
と言ったとしよう。
実際は死んだりなんかする訳はなくて、
良くないことも、別に起こらなかった。
だとしても
きっと
なんだか嫌な気持ちになるに、ちがいない。
逆に。
良いこと。
たとえば道端に千円札が落ちていたりしなくても
私はすでに、その言葉を友人たちから聞けただけですごくハッピー。
有り難う。
そう思いながらいると
例えようもない安堵と充足感で心が満たされていきます。
アカショウビンちゃん
やっぱりあなたは、幸せの赤い鳥です。
ありがとう。
今朝、野生動物保護センターの方から電話がありました。
「無事、もといた場所から放しました。
元気に羽ばたいて行きましたよ。」

