なおちゃん今日は網に行くぞ
そうさな、潮は昼が干潮だから
11時には出るように支度しとけー!
アドバンテージ親分と、エミリ兄貴(辺見えみりに似てるから)
とで、追い込み漁へ出掛けることになった。
ワクワクしながら支度して、まだ11時前なのに、腹が減っては戦はできぬとばかりに丼飯をかき食らう。
浜から、潮の引いている海へ入る。
親分と、兄貴は、二人で並び
網をかついで沖側を歩く。
私は、浜側を歩く。
親分の目が、魚の群れを捉えると
兄貴と親分は、二手に別れて走り出す。
二人が網を巾着の型に閉じようとするところへ
私が浜側から走り込んで魚をおいこむ。
こんな仕組みだ。
たぶん、一番原始的な方法の漁に違いない。
だからこその、魚との真剣勝負。
二手に別れて魚を追い込みながら網を海へ落として行く、親分と兄貴。
岩や珊瑚に、網を引っかけたりしてモタモタしてると
どんどん魚が、逃げてしまう。
「おい!もっと走れ!何やってるフリムン!(バカ者)」
親分の怒声が飛ぶ。
魚の群れは、右へ左へとすごいスピードで逃げようとする。
網の中めがけて、浜側から猛ダッシュの私は
魚の動きに合わせて右往左往。
海中からは見えるわけもないのに
心意気か、両手を広げて右往左往。
まるでカバディの様。
全力で走っても
膝まで水に浸かってるから思うように走れないけど
とにかく必死で魚を網へと追い込んだ。
兄貴と親分が急いで網の入り口を閉じる。
「入った?入った?あー!いる!」
血眼で魚を確認する。
気づいたらゼイゼイと肩で息をしていた。
「いた!(ハアハア)いる!(ハアハア)すごい!(ハアハア)あ!そこにも!(ゼイゼイ)」
網の中でバタバタ跳ねる魚を、一匹ずつ網から外して行く。
「なおちゃんエイグァーだ!触るな!毒があるぞ!」
逃げ跳ねる魚を見て、兄貴が遠くから叫ぶ。
兄貴が慣れた手つきでエイグァーを外してくれる。
私は、チヌやクチナギを外す。
あっと言う間に、手に持っていた網袋に、獲物がずっしりと重い。
最初は身軽だったが、だんだんと獲物が増え、持ち運ぶのが重労働だ。
「走れ!」
親分が叫ぶと、その場に袋を置いてダッシュ!
波しぶきを立てながら猛ダッシュ!
魚の群れを取り逃がすと網に一匹も入らないこともある。
逆に、群れごと一網打尽の事もある。
ビチビチと音を立てて暴れる魚を追いかけて、
この手のひらで押さえ込むとき
たまらない興奮が体中から沸き上がってくる。
袋が重くなって
だんだんと潮が満ちてきた頃
よし帰るぞ、と親分が呟く。
大漁大漁。
作業場で、みんなで捌いて
分け前を貰う。
冷凍庫は、親分の作業場のものを借りて、私も分け前を保管させて貰う。
一匹持ち帰り刺身にして食べた。
あとのものは、また、いろんな人が来た時に振る舞おう。
しばらくは魚には困らなそうだ。
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