伶楽舎 雅楽演奏会 武満徹「秋庭歌一具」 | Pokopen Photographic

Pokopen Photographic

写真を中心とした絵日記です。楽しんでいただければ幸いです。なおこのブログで用いられている画像の著作権は私に。また人物画像の肖像権は本人もしくはその所属事務所に帰属します。無断使用及び二次使用は固くお断り致します。

公演名:伶楽舎大第十三回雅楽演奏会 武満徹「秋庭歌一具」

 

場所:東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル
日時:2016年11月30日(水) 開演:19:00

料金:S席5000円、A席4000円


演奏

雅楽:伶楽舎

舞:勅使川原三郎・佐東利穂子(秋庭歌一具)


プログラム
芝 祐靖:露台乱舞(1988)
武満 徹:秋庭歌一具(1979)

 

感想

今年は武満徹没後20周年。という事でCDが発売(殆ど再発)
されたりして、昔買い損ねた(現代音楽なんてすぐに廃盤
になりますからね)CDをせっせと買いました。


一方東京なんかでは記念のコンサートもあって、ピーター・
ぜルキンが体調不良で高橋悠治に変わったりとか言う

ニュースもあって、皆歳を取ったなあと思いましたが・・・。

 

そんななか武満徹「秋庭歌一具」が演奏されるという事で。

伶楽舎にとってこの曲は今回で26回目の演奏だそうで、

以前大阪でも聞く機会あったのですが、当時は熊本に

転勤していて聞けず。せっかくのメモリアル・イヤー
なんで頑張って東京まで行って来ました。


武満徹にとってこの曲は唯一の雅楽。評価の高い曲なので
続編があっても良かったのですが、ないですね。それとも
依頼が1曲のみで終わったのが原因なのか。

 

この曲まずは「秋庭歌」 が1973年に初演。その後1979年に
最初に作曲した曲を第四曲目に置く全6曲で構成される
「秋庭歌一具」を完成しています。

実は私は1973年に初演された「秋庭歌」のみをLPで持って
ました。演奏は宮内庁式部職楽部。レコードでも楽しめま
したがやっぱり生で聞きたい。でも生で聞くことは出来ま
せんでした。東京に転勤になった時も結局スケジュール合
わなくて。伶楽舎が大阪で演奏する時は熊本にいたし・・。
(涙)

 

さてまずは「芝 祐靖:露台乱舞」この曲プログラムでよく
見ると芝 祐靖が作曲ではなく、古典楽曲を復元したようで、
実際雅楽は楽譜が無く、口伝えで伝承されて来たと聞いてい
るので一体どうやって復元したのか興味があります。

曲中には越天楽のメロディもあって親しめる曲。後半では
演奏者が酒に酔った演技をして、コミカルな部分もありました。
初めて生で雅楽を聞いてその「垂直に立ちあがる音」とは
こんな音なのか!と一寸感激。


さて「秋庭歌一具」。この曲は演奏者が4つのグループに
別れます。モーツアルトの4つのオーケストラのための
ノットゥルノみたいな。(もっともモーツアルトの方は
サブのオーケストラはメインのエコーの役割だけですが)

過去の写真を見ると同じステージにメインのグループ
を囲む形で配置されていますが、今回は1Fはメイン
のグループ、その周りは勅使川原三郎・佐東利穂子
のお二人が踊るステージに。他のグループはは2Fに
登場。

このような配置のお蔭で、メインの他のグループとの
音の掛け合いが立体的になって、素晴らしかった。


当たり前かもしれませんが、「秋庭歌一具」はやはり
西洋の音楽教育を受けた人の曲だなあと実感。
和音や不協和音など雅楽の音ではあるが随所に西洋
的な要素が出てくる。とはいう物のやはりこの曲は
雅楽、この独特な音の響きが素晴らしい。特に笙や篳篥
と琵琶の響きの対比が異なる音の世界が一つに共存
するようで素晴らしかった。

勅使川原三郎・佐東利穂子のお二人の舞も今回
の目玉。正直最初は良く判らなかったが、段々見ている
と音に身を任せて踊っているような感じ。この曲は
組曲の構成を取っていて、1つの曲が終わると暫くは
小休止の状態。その時はお二人も踊るのを止めるの
ですが、後半になると演奏は終わっても、まるで
その余韻に身を任せるように踊り続けるお二人。
2人の舞を見ていると、音はないのに、あたかも
そこに音が流れているような錯覚すら覚えてしまう。

 

雅楽ではあるがその独特な響きの世界の素晴らしさ
に感動しました。

どうでもいいこと

ところで私は上手側のグループの席に座っていましたが
その列の一番壁側になNHKのカメラが。先端にはでっかい
FUJINONレンズが付いてました。この日の模様はまた
NHKで放送されるらしい。(放送日は忘れてしまった)