Le marteau sans maitre | Pokopen Photographic

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「Pierre Boulez - The Complete Columbia Album 」これ買って
収録曲見てみたらある事にきずきました。

ブーレーズの名曲 "Le marteau sans maitre"これ我が家に4枚
ある事に。2002年DGに録音したものを除き4枚ありまして。
ちなみに録音の時期は以下の通り。


DG 録音:2002年9月、パリ
アンサンブル・アンテルコンタンポラン
 ピエール・ブーレーズ指揮
 録音:2002年9月、パリ


CBS 録音:1985年

エリザベス・ローレンス(メゾ・ソプラノ)
アンサンブル・アンテルコンタンポラン
ピエール・ブーレーズ指揮


CBS 録音:1972年


イヴォンヌ・ミントン(Ms)
アンサンブル・ミュジーク・ヴィヴァント

ミシェル・デポ(フルート)
ミシェル・ロリン(ザイロフォン)
ジェラード ぺロティン(ヴィブラフォーン)
シルビオ・グァルダ(打楽器)
アントン・スティングル(ギター)
セルジュ・コロー(ヴィオラ)
ピエール・ブーレーズ指揮

Ades録音:1964年

ジャンヌ・ドゥルーベ(A)
セヴェリーノ・ガッゼローニ(フルート)
ジョルジュ・ヴァン・グーシュ(ザイロフォン)
クロード・リクー(ヴィブラフォーン)
ジャン・パティーニュ(打楽器)
アントン・スティングル(ギター)
セルジュ・コロー(ヴィオラ)

ピエール・ブーレーズ指揮


1956年 録音:VEGA  日ウエストミンスター

ピエール・ブーレーズ 指揮
ドメーニュ・ミュージカル・アンサンブル


という事で何年かぶりに聞いてみました。まずはモノ。
この曲正直言って音色感が聴きものでそういう意味では
モノは非常に不利。まあ熱意みたいなものは感じますが
それ位ですかね。録音もそれほどいいとは思いませんし
ただ面白いのはモノトーンのブーレーズってなんかウエーベルン
を連想させるところがあって、当たり前と言われて
しまえばそうですが、四重奏曲 op.22なんかを連想
してしまいます。

次は64年。モノと比較すると圧倒的な情報量の差。音色感
なんかは凄いですね。このレコードでこの曲ずっと聞いて
ました。プレスも仏ポリドールという事もあって
なかなか素晴らしいレコード。演奏者もいわゆる「現代音楽
のスペシャリスト」を集めただけあって、各プレーヤー
もやる気満々。後のCBS盤に比べるとゴツゴツした感じがしますが
逆に言えば聞きごたえがありますね。冒頭のタムタムとか
ザイロフォンの響きなんて「怒れるブーレーズ」
その物といった感じ。


さて72年と85年CBSへの録音。基本的には同じ感じに
聞こえまして、後の方が細部の詰めが細かくなり、全体的
に響きが豊かで、流麗に流れていく感じのようです。
こう書くとカラヤンの評みたいです。

こうなったのはブーレーズの本来の意思なのかそれとも
ブーレーズの音楽感の円熟なのか判りませんが、演奏者と
ブーレーズの関係を見ると

64年は対等な関係が徐々に変わってきて、85年はもう支配下に
置かれているといった感じがします。ブーレーズは「作曲界の
カラヤン」って言われてましたしね。アンサンブル・アンテル
コンタンポランのメンバーの選定って当然ブーレーズの意志が
大きく関与しているはずだし。

カラヤン/ベルリンフィルの関係が
ブーレーズ/アンサンブル・アンテルコンタンポラン
との関係と同じと言ってもいいかもしれません。


見方を変えると、64年は奏者と指揮者がぶつかり合った演奏
とも取れなますね。

実はこの曲、大阪のいずみホールで岩城 宏之の指揮で聞いたと事
があって、あまりのスームーズに流れていく演奏でびっくりして
家に帰ってAdes盤を聞いた事があります。今思えば、85年盤に
近い解釈だったのかな?とは思います。

こうやって聞いてみるとやっぱり64年盤がいいなあ・・。
この曲理解したとは言えないけれど、自分の中ではもう
「古典」です。初めてこの曲聞いたのは高校の終わり位
だったかな?何がなんやら判らんし、ルネ・シャールの詩も
よく判らん。困惑してました。

その後、何回も我慢して聞いたり、関係あるかは判りませんが、
その頃、タルコフスキーの映画とか、色んな前衛芸術を観たり
聞いたり、触ったりと、受験勉強もしなくちゃいけなかったし、
まあ色々あって、判ったような、判らないような、なんかそんな
気分です。

自分が進化したのか、感性が鈍ったのかよく判りませんが。
でも面白かったし、楽しかったです。