「自分が他人にしてもらったこと」よりも、
「自分が他人にしてあげたこと」の方が、
よっぽど記憶に残ってしまうものですから、
過去を振り返れば、何かと、
「あのとき、俺が、お前に、してやった!」と、
恩着せがましく恩返しを期待するものです。
そうして、自分が他人に対して行った、
過去の貢献を思い返すたびに、恩返しされない
ことに対して、自然と腹立たしさを覚えるものです。
例えば、上司が部下に対して、
「あのとき、俺がお前のことを、
陰ながらフォローしてやったというのに、
まったく何の感謝もなしか!
ちょっとは、周囲の気遣いに気づけ!」
と、苛立ちが募るものです。当然、
恩返しを求めていれば、態度や雰囲気が
それとなく相手に伝わってしまうものです。
恩返しを求められれば、誰だって良い気はしませんから、
自然と、その人からは人が離れていくことになります。
一方、未来志向の人は、
人に対してあまり感謝を求めません。
未来のことを考えている以上、
「これからどうなっていくか、
ゆえに、今から何をすべきか」と、
よりよい未来を求めて頭を働かせます。
もし、恩着せがましい性格を直したいと言うのであれば、
「過去志向」を止めて「未来志向」へ
思考を切り替えていくことは効果的です。それはつまり、
「過去のことを考える時間を減らし、
未来のことを考える時間を増やす」
という知的努力をすることであり、そうすればやがて、
「奪う人」から「与える人」になっていくことでしょう。
(続)