戦争になると、命の価値は暴落します。常日頃、
私たちは「人命は地球より重い」の精神で、
上司に叱られながら、目先のノルマをこなして暮しています。

ですが、戦争になるとまるでです。
兵士は命の取り合いをしているわけですから、
人命を尊んでいる余裕はありません。
敵国の民間人への配慮も不可能です。その民間人が、

武器を手にして攻撃してくるとなれば、尚更のことです。
国際的には「民間人に手出ししてはいけない」というルールが
ありはしますが、戦争はスポーツではありませんので、
スポーツマンシップに則りルールを守って、
正々堂々と殺し合う、なんてことはありえません。

もし、日本が戦争する国になってしまったとき、
今のように、「人命は尊い」とか「人命は地球より重い」とか、
そう言ったことは堂々と叫べなくなります。なぜなら、
それは戦争反対を意味しており、国家の意向にそぐわないからです。

「人命は尊い!」と言う(決める)のは政府であり、
「人命は安い!」と言う(決める)のも政府です。

そうして政府の意向で命の価値は上下することになり、
戦争が始まると、いよいよ命の価値は暴落します。
ハイパーインフレを起こし、紙屑になってしまったかつての
「100兆ジンバブエドル紙幣」並みに、無価値になっていきます。

そもそも私たちの命の価値は、固定ではありません。変動します。
「なぜ人を殺してはいけないのか?」と問えるのも、
今いる場所が平和で、それだけ命の価値が高いからです。

もし戦争によって命の価値が暴落すれば、
「なぜ人を殺してはいけないのか?」
と問うこともなくなることでしょう。なぜなら、
価値のないものに、時間を割いても仕方がないからです。

(完)