「なぜ人を殺してはいけないのか?」
に対する世間一般の回答としては、

 1.自分が人からされて嫌なことは、人にしない
 2.人命は尊ぶべき
 3.殺人を許容すれば、治安が悪化し、国が繁栄しない

などが挙げられます。

1.「自分が人からされて嫌なことは、人にしない」について、

「やったらやり返される」の因果応報が背景にあります。つまり、
「人を殺してもいいのは、人に殺される覚悟がある奴だけだ!」
と言うことになります。覚悟があれば殺してもいいのでしょうか?

よく混同されますが、自殺する覚悟と人に殺される覚悟は
まったくの別物です。自殺は自分のタイミングで行えますが、
他殺は相手のタイミングでなされるものだからです。加えて、
手段も選べません。

2.「人命は尊ぶべき」について、

人命よりも尊いものがあれば、どうなりますでしょうか?
例えば憲法です。憲法は数多の犠牲の上に作り上げられたもの
ですから、人一人の命より遥かに重みがあります。この憲法が
もし他国に侵される事態に陥れば、否応がなく戦争になります。

国民の中には、「降伏してでもいいから、戦争は避けるべき!」
と考える人もおられるかもしれません。が、国家(政治家)は、
国民の命を犠牲にしてでも、憲法や主権を守ろうとするはずです。

3.「殺人を許容すれば、治安が悪化し、国が繁栄しない」について、

一見して正しいようにも見えますが、逆に、
国の繁栄に役立たない人は殺しても構わない、
と言うことになりかねません。

人を殺してはいけない基準が
国の繁栄に貢献しているかどうかであれば、当然、
貢献していない人を保護する理由はありません。
保護しない方が国は繁栄するためです。
そんなのでいいのでしょうか。

(続)