「人の上に立つ人」と言われて、真っ先に思い浮かぶのは、
政治家や経営者、頭取や将官といったところでしょうか。

特に、多くの人から注目されるのが「政治家」です。
これまでにも度々、政治家の問題発言が世間を騒がせ、
大臣を辞任する事態にまで発展したこともありました。

東日本大震災後、当時の経済産業大臣が
被災地を“死の町”と表現し、この発言が問題視され、
大臣を辞任する事態に追い込まれています。

「そのような発言をするとは、信じられません。
 大臣としての自覚があるのか、まったく理解に苦しみます。」
と、マスコミ相手に饒舌に語っていた政治家ですら、

「この度、私は、議員辞職するに至りました…」と、
半年前の自分はどこへやらです。もしこれが職場であれば、
上司や部下からの支持率が下がることになりますし、
家庭であれば、家族からの信用を失うことになります。

「政治家の問題発言」も決して他人事ではありません。
しかしながら、人間とは、他人を責めているときは、
自分のことはとにかく棚に上げようとするものです。

「名刀、己を斬れず」

どんな名刀も、自分自身を斬ることはできないように、
どんなに鋭い人も、自分自身を痛烈に批判することはできません。

そして、人の上に立てば立つほど、それだけ注目されるわけですから、
軽いジョークもまったく軽くはなくなるのです。すべての発言に、
立場の重みが付け加わることを忘れてはいけないのです。

(完)