ノッテ・ステラータを見るとき
私は月に優しく抱かれた白鳥を思い描く。
金の光輪をまとい
春の闇をひらく白い翼は
花よりも濃く匂う・・・。
彼が引退という時を迎え、5年、10年、20年・・・と月日が経ったとき、不世出のアスリートであったと、唯一無二のアーティストであったと、改めて気付かされる、羽生結弦とはそういうスケーターだと思う。
彼を誰かと比較することなどできないし、意味もない。
私たちはただ、彼のひと試合、ひと試合を、二度とは来ぬ至高の演技の歴史的証人として、心から味わい、慈しみ、胸に焼き付けるだけである。