アリーの生き方 | ショピンの魚に恋して ☆羽生結弦選手に感謝を込めて☆

ショピンの魚に恋して ☆羽生結弦選手に感謝を込めて☆

清冽な雪解けの水のようにほとばしる命の煌めき・・・
至高のアスリートにしてアーティスト、
羽生結弦選手を応援しています。

数時間前にまた、大きな地震があった。余震があるかもしれないということで、震源に近い場所にいらっしゃる方々は不安な夜を過ごされていることだろう。被害が広がらないことを祈るばかりである・・・。

 

傷ついた大地に塩を塗り込むように、各地で地震や災害が発生した1年だった。結弦くんの故郷にも再び津波が押し寄せた。

 

今年は災害ばかりではない。世界各地でテロが相次ぎ、政治の流れが大きく変わろうとしている。

 

オバマ大統領の広島訪問、安倍総理の真珠湾訪問。自然災害はある意味、その発生そのものを防ぐことはできないけれど、人が引き起こす悲劇はいくらでも防ぐ手立ては本来あるはずなのだ・・・。

 

ここ数年、自分が年を取ったせいもあるかもしれないが、日々の生活というものが日に日に重さを増しているような気がする。生きにくさ、と言い換えることもできるかもしれない。

 

被災された方、大切なご家族を亡くされた方、病気と戦っておられる方・・・そして人々の期待を一身に背負っている結弦くん。

 

私が背負っているものなど比べ物にならないとはいえ、気分がふさぐ日はなおさら過去の失敗が思い出されたりしてなかなか気持ちを明るくもっていくことができない。

 

そんなとき、サンディエゴのアリーからメールが舞い込んだのだった。フィギュア・スケートの季節が来ると私を思い出すらしい・・・。

 

このつたないブログに長い間お越しいただいている方の中には、もしかしたら昨年の今頃、私が書いた話を覚えていてくださる方もいらっしゃるかもしれない。

 

gettyimages

 

ここに出てくるアリーという名のアメリカ人女性は、私が西海岸のサンディエゴのビーチで偶然出会ったトムの奥さんだった人だ。

 

トムは昨年の今頃、白血病でなくなった。二人の結婚生活は10年で終わりを告げた。

 

彼女の腕の中で亡くなったトムと私の出会いは、その死によって文字通り、異国の海岸で訪れた「一期一会」となってしまった。

 

「サンディエゴの風」2015-12-30 16:35:20

1年前の今頃、トムを失った彼女は人生のどん底だった。無理もない。人生の実りの秋に訪れた幸せを失ってしまったのだから・・・。

 

gettyimages

 

あれからちょうど一年の月日が流れた。そのアリーから、つい最近、近況を知らせるメールが届いたのだ・・・。

 

I've met a retired doctor who has brought happiness back to my life!
We're going on a cruise to Costa Rica Via Panama Canal.
Who would have guessed this change in my life ?
Keep in touch.
I'll retire next year.
Ali
私はリタイアしたお医者さんに出会ったのよ!彼が私の人生に幸せを取り戻してくれた!
私たちはパナマ運河を渡ってコスタリカにクルーズに行くのよ。
私の人生にこんな変化が訪れるなんて、いったい誰が想像できたかしら。
連絡を取り合いましょうね。
私は来年リタイアするわ。
アリー

 

gettyimages

 

これを読んだからといって私は「昨年トムを亡くして悲しみに暮れていた彼女が?」という気持ちにはならなかった。

 

彼女は初対面からしてどこか普通の女性ではなかった。年配の女性ではあったけれど、目も覚めるような真っ青なミニスカートのワンピースを着こなし、美しかった。真っ赤な車を颯爽と運転する様は本当にカッコよかったのだから。

 

彼女はサンディエゴの広い海をこよなく愛していた。

 

私は彼女に再び幸せを手に入れた秘訣を聞いてみた。すると、彼女からこんな答えが返って来た。

 

My suggestion is break your pattern of behavior.
Try new things.
Embrace life, experience life, Say yes to opportunity !
Ali
私の提案はね、あなたの行動パターンを破ってみることよ。
新しいことを試してみて。
人生を抱きしめて、人生を体験するのよ。

そしてチャンスに「イエス」と言ってみて!
アリー

 

gettyimages

 

アリーは昨年失った最愛の人、トムを忘れてしまった訳ではない。深い悲しみを心の底にしまいながら、自分の人生を抱き締めているのだ。「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラのように。

 

彼女の腕の中で亡くなっていったあの優しいトムは、今のアリーとその新しい幸せを天国で心から喜んでくれているだろう。

 

深く悲しめる人は、深く愛せる人だ。

それがアリーの生き方だ。