夕飯は、ステーキこそでなかったが最近の俺にしてはかなりたくさん食べて、ディジーにも、その娘
マーガレットにもご褒美のキスをしてもらって・・、そのせいか、ベッドに横になった途端深い眠りにつけた。
額に触れる手、暖かくてやわらかくてそっと撫でるだけなのに、力強くて・・その手のぬくもりに安堵する。
そうだ、この手に癒されて守られてきた。
仕事がなくて、生きる気力もなくして、存在さえ危うくなっていたあの日。
心配ないよってあやすように背中をさすり、小さな腕を広げて思いっきり抱きしめたくれた。
あの手が恋しいって思う。
いつからだろう?
仕事に、自分の才能と努力に夢中になって、あの手を遠ざけていた気がする。
なんでもできるって調子に乗って、1人で虚勢をはって、いつしか話し合うことも上手に避けていた。
目を閉じたまま、意識を眠らせたままその手に触れようとする。
だけど体が鉛のように重くって動かない・・・
早く、早くこの手をひきとめなきゃ、また遠くに行ってしまう。