台湾について、最近知って「へぇ!」と思ったことを列挙。


■中国沿岸の島を実効支配している

以下のWikipediaの記事を参照。地図も載っていますが、台湾からは完全に離れて、どう見ても中国大陸の一部です。こんなところに支配地域を持てているとは。
金門県(Wikipedia)
九龍江口や廈門湾口を望む大金門島、小金門島および大胆島や二胆島など12個の島から構成される。

もちろん中国は、中華民国政府(現在の台湾政府)を中国本土から追い出した際、この島も奪取しようと試みたものの、漁船や古い木造帆船で上陸した中国軍に対し、アメリカ製の軽戦車などが効いて中華民国側が圧勝した模様。旧日本軍の元軍人も参戦していたようです。下記参照。
古寧頭戦役(Wikipedia)


■戦後に、中国と、副司令官の戦死も伴う激戦を繰り広げている

以下のWikipediaの記事を参照。
台湾海峡危機(Wikipedia)
1954年9月3日、中国人民解放軍は金門島の守備に当たっていた中華民国国軍に対し砲撃を行った。1955年1月18日には解放軍華東軍区部隊が軍区参謀長張愛萍の指揮の下、一江山島を攻撃、陸海空の共同作戦により午後5時30分に一江山島は解放軍により占拠され、台湾軍の指揮官である王生明は手榴弾により自決
(中略)
1958年8月23日、中国人民解放軍は台湾の金門守備隊に対し砲撃を開始、44日間に50万発もの砲撃を加え、金門防衛部副司令官である吉星文、趙家驤、章傑などがこの砲撃で戦死している。この砲撃に対し台湾側は9月11日に中国との空中戦に勝利し、廈門駅を破壊するなどの反撃を行った。


まさに金門島が攻撃されています。でも制空権を維持したんですね。


■90年代にも中台関係はかなり緊張した

またまた、Wikipediaから記事参照。
第三次台湾海峡危機(Wikipedia)
1995年7月7日、新華社は人民解放軍が行うミサイル試験を報じ、この地域の平和と安全を危険に晒すことになろうと指摘した。
(中略)
実弾を伴うもう一つのミサイル発射が、1995年8月15日から25日にかけて行われた。8月の海軍演習は、11月に広範囲の陸海演習へと繋がった。


この引用部分の前半はちょっと日本語がおかしいのかもしれない。新華社と人民解放軍は中国のオフィシャルメディアと中国軍だから、これでは中国が中国を批判したみたいになっている。「新華社は人民解放軍が行うミサイル試験を報じ、(このミサイル試験は台湾の動きに応じたものであり、台湾の動きは)この地域の平和と安全を危険に晒すことになろうと指摘した。」が正しいのではないか。
とまれ、これにはクリントン政権が空母派遣という反応をした模様。

アメリカ合衆国大統領選挙の年でもあった1996年3月8日、クリントン大統領のアメリカ合衆国政府は、既に西太平洋に駐留していたインディペンデンス航空母艦戦闘群を台湾近郊の国際海域に配備すると発表した。翌日、中華人民共和国は3月12日から20日にかけて澎湖県近郊で行う実弾演習を発表した。3月11日、アメリカ合衆国はペルシャ湾から高速で移動できるニミッツを中心とした第7戦闘群を派遣した。緊張は更に3月18日から25日に計画された海陸の模擬戦闘を北京が発表した3月15日に高まった。

これに対抗できなかった中国は軍備を増強。

アメリカ合衆国海軍戦闘群が中華人民共和国人民解放軍海軍に確実に脅威を与えていることを承知の上で中華人民共和国は軍備増強を促進した。間もなく中華人民共和国は中国の李鵬首相がモスクワを訪問した1996年12月半ばと言われる時期に冷戦時代にアメリカ合衆国海軍戦闘群に対抗するために設計されたソヴレメンヌイ級駆逐艦をロシアに注文した。その後中華人民共和国は近代型攻撃型潜水艦(キロ級)と戦闘機(76 Su-30MKKと24 Su-30MK2)をアメリカ合衆国海軍戦闘群に対抗する目的で注文した。

また、ちょっと日本語がおかしいような。
で、今ではついに、中国は空母の試験運用を開始しています。

中国空母が太平洋に──トランプ大統領の誕生と中国海軍の行動の活発化
2016年12月27日(火)15時30分
小原凡司(Newsweek日本版)

南シナ海は、かなりきな臭い。
2016年はイギリスのブレグジット(EU離脱)にアメリカ大統領選でのドナルド・トランプ勝利と衝撃的な事件が続き、中東では混乱が続き、年末には歴史的な大都市アレッポが激しい空爆で壊滅する事態となりました。その余波として中東からヨーロッパまでテロが絶えません。

東アジア情勢も大きく動いている。台湾の総統に就任した蔡英文氏と、米大統領にもうすぐ就任するトランプ、そして中国の指導部が関係者です。蔡英文氏は親中路線を採っていた前政権を破って台湾の総統に就任し、中国と距離を取る方向に舵取りをして、中国に睨まれていた。その蔡英文の最終的な拠り所は、オバマ大統領のアメリカが旗振り役の世界秩序だった。アメリカは基本的に台湾を独立国家として認めず、中国の「中国は中華人民共和国だけである(台湾の中華民国政府は国家ではない)」という主張を受け入れる代わりに、中国が力任せに台湾を統治下に入れることは拒否してきた。アメリカの本音としては、アメリカのパートナーは中国ではなく台湾だっただろう。
しかし、「トランプ大統領」が降って湧いた。トランプは基本的に国外の状況は関心がないように発言しており、その通りに行動したなら台湾は見捨てられ、ついに中華人民共和国によって軍事的に併合される可能性も否定できなかった。
だが、今のところトランプは(無軌道と思えるほどに)周囲の話を聞き、それに基づいて方針を決めているようです。結果、中国とは「取引」をしようと挑みかかるようなスタンスをとり、どちらかといえば親台路線を採用した。蔡英文総統は選挙に勝利したトランプと早い段階で電話会談をするという思い切った手を打ち、トランプの好意的な反応を引き出す事に成功した。

ここからは記事を引用しながらまとめます。引用順序は元記事の記述順序ではなく時系列にまとめるので、元記事とは印象が違うかも。元記事も読んでみてください。


トランプ・蔡英文電話会談は周到に準備されていた?
2016年12月5日(月)13時40分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)Newsweek日本版

 トランプ当選が決まったとき、蔡英文総統は記者の問いに青ざめていたと、台湾メディアは報道している。

 実はペンタゴンにおける軍事戦略などのシンクタンクの役割も果たしているヘリテージ財団のエドウィン・フュルナー氏がトランプ当選後の10月13日、秘密裏に台北を訪れ蔡英文総統と面談していたのだ。

フュルナー氏はヘリテージ財団の総裁を長いこと(2013年まで)務めていたが、今年8月にトランプ陣営に入った。
(中略)
 蔡英文総統とは、彼女がまだ台湾で国家安全委員会諮問委員会の仕事をしていた時期に接触があり、二人は20年来の知己であるという。


 一方、トランプ氏は当選後まもない11月17日に、キッシンジャー氏に会い、外交問題に関して話しあったと、アメリカメディアが報道した。会談後トランプ氏は「キッシンジャー氏を非常に尊敬しており、意見交換ができて、うれしい」と語ったとのこと。

 キッシンジャーと言えば、「忍者外交」で有名だ。

 ニクソン政権時代に大統領国家安全保障問題担当大統領補佐官および国務長官などを務めていたヘンリー・キッシンジャー氏は、1971年7月、パキスタン訪問中に体調不良と称して一日だけ姿を消し、極秘裏に北京を訪問した。ニクソン大統領以外はニクソン政権内の者も知る人が少なく、もちろん同盟国・日本の頭越しの訪中であったことから、「忍者外交」として全世界に衝撃を与えた。
 このキッシンジャー氏が、又もや「曲芸」を演じたのである。
 新華網(12月3日電)によれば、12月2日、93歳になるキッシンジャー氏は人民大会堂で習近平国家主席と仲良く対談していたという。互いに相手を絶賛しあい、米中関係の強化を確認していた。
 これに関しては中央テレビ局CCTVだけでなく、中国共産党の機関紙の電子版「人民網」も「中国共産党新聞」で大きく取り上げ、中国では大々的に、そして「誇らしげに!」報道されていたばかりだ。
 そこに飛び込んできたトランプ・蔡英文会談。中国では大きくは報道しなかった。
 習近平国家主席のメンツ丸潰れで、すっかり顔に泥を塗られた形になってしまったからだ。


トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談した。1979年に国交断絶をして以来のことだ。「一つの中国」を踏みにじると中国は激怒。
(中略)
タブーとされていた「直接会談」を「相手を総統と認めて」受けたということは前代未聞で、中国(大陸、北京政府)にとっては転変地変の大事件だ。
 おまけに両者は「経済、政治、安全保障での緊密な関係が台湾と米国の間にある」と確認し合ったという。台湾メディアおよびトランプ陣営が報じた。この中に「安全保障」という言葉があるのが、キーポイントである。



つまり、トランプ陣営と蔡英文総統は20年来のコネクションを利用して緊密に意思疎通をし、かつて中国とアメリカの国交回復(台湾との断交)に関与した大御所キッシンジャー氏まで腰を上げ、中国に「アメリカの大物が中国を訪問しており、関係は盤石!」という報道を中国政府が中国国内向けにしてしまったタイミングで、思い切り中国の横面をはたいた。おかげで中国はアメリカを大声で非難できず(非難してしまうと、キッシンジャーを迎えて喜んでいたのが「アメリカにまんまと一杯喰わされたんじゃないか」と国内で問題になる)仕方なく台湾を攻撃するにとどめた。

もっとも、この動きが誤ったものであるとして、危機感を募らせる声がないわけでもありません。


トランプ-蔡英文電話会談ショック「戦争はこうして始まる」
Trump Transition: Taiwan Call Fallout

2016年12月5日(月)16時59分
ニコラス・ロフレド(Newsweek日本版)

 コネチカット州選出の上院議員(民主党)クリス・マーフィーはツイッターに投稿し、トランプの行為は「無計画に始めた、外交方針の重大な転換」だと批判した。「戦争はそうやって始まる。もし転換ではなく、奇をてらっただけだととしても、我が国の立場を信じられなくなった同盟国は離れていくだろう。どう転んでもひどい結果だ」


最初の記事に従えば、少なくともトランプ一人で思いついたことではないし、少なくとも何人もの重鎮が関与し事前に予定されたもので、完全な無計画とも言えないようですが。
2016年のシリアで起きたことについて、覚書を残しておきます。

最初に日本人の私がシリアに目を向けたのは、国際問題になっていた「イスラム国(IS、国家として認めない立場からISIS、ISILとも、またより強く批判的なニュアンスを込めてダーイシュとも)」との戦いの主戦場としてでした。しかし、シリアという国ではそれ以前から、大きな人道上の問題が引き起こされていた。長い引用になりますが、以下の記事に怒りを込めて描かれている。



世界が放置したアサドの無差別殺戮、拷問、レイプ
This Is Not Civil War; This Is War on Civilians

2016年12月19日(月)20時00分
ルラ・ジュブリアル(Newsweek日本版)

 シリアとレバノンの国境地帯から戻ってきた。わずか250キロ先のアレッポでは、口にするのもはばかられる野蛮な行為が行われていた。ジャーナリストとして政策アナリストとして、世界的な人道主義の危機と呼ぶべき実態とその意味を伝えたい。
 シリアのバシャル・アサド政権は、大量殺人からシステム化された拷問、強制的飢餓、たる爆弾による無差別殺傷、拘束中の女性、子供、男性に対する組織的なレイプまで、おぞましい戦争犯罪を続けている。これまでに虐殺されたシリア人は50万人、国内で居場所を失った避難民は600万人、国外に逃れた者は500万人にのぼる。まさに絵に描いたような大虐殺である。
 ロシア軍やイランをバックにしたシーア派武装組織などの援軍を得たアサド政権は、ルワンダや旧ユーゴスラビアの虐殺と匹敵する規模で自国の民間人を殺戮した。ロシアとイランはシリアに武器を売り渡し、使い方を教え、資金を援助した。彼らの支援こそが、アサドの反政府勢力に対する勝利と国内での独裁的地位を確かなものにした。人道主義の危機だ。
 ナチスによるホロコーストの記憶を消さないため、われわれは今も博物館や図書館を作り続けている。それなのに、目の前で何万人ものシリア人がアサドの爆弾で生きながら焼かれていても見て見ぬふりだ。
(中略)
 旧ユーゴスラビアやルワンダの虐殺で行われた「人道に対する罪」に対する反省として、国連は1999年、「武力紛争下における文民保護」を決議した。それにも関らず、国際社会はその責任を積極的に無視したのである。ロシアが好きだと公言し人権もお構いなしのトランプの参入で、事態はどう変わるのだろう。



イスラム国以前から独裁者が民主化運動の弾圧に端を発する自国民の虐殺をしている。現時点で、もはや民主化運動と全く関係のない虐殺も行われているんじゃないでしょうか。街一つを焦土と化す作戦が行われており、到底、ターゲットを識別しているはずがない。
オバマ大統領が率いたアメリカは、シリア政策でロシアをはじめとする複数の独裁国家のアサド支援を許し、2016年末までにイスラム国ではなく、反政府勢力の拠点であったアレッポが、ロシア空軍による民間人を区別しない空爆もあって政府軍の手に陥落(ただしアレッポを支配した様々な反政府組織のうち、特に著名なヌスラ戦線(Wikipedia参照)はイスラム国と、少なくとも人の出入りがある模様。またヌスラ戦線自体、以前の記事の後半に書いた通り、「国際営利テロ組織」)ついには以下の記事にある通り、民主主義と人権の擁護を世界に向けて主張してきたはずのアメリカが、政策の失敗を認める事態に立ち至った。


アレッポ陥落、オバマは何を間違えたのか?
2016年12月20日(火)14時00分
冷泉彰彦(Newsweek日本版)

 シリアのアレッポ東部では、アサド政権に抵抗する反政府勢力に対して、政府軍やロシアによる空爆が続いていましたが、今月14日前後にほぼ組織的な抵抗は終了し、事実上陥落したアレッポは政府軍のコントロール下に置かれました。
(中略)
 オバマ大統領は、19日の記者会見で「(自分のシリア政策は)成功したとは言い難い」と述べ、ハッキリと失敗を認めていました。オバマとしては、アレッポ陥落の事実だけでなく、この事態に至るまでの人道危機を止められなかったこと、さらに「ロシアやアサド政権を支持し、シリア政策でオバマ=ヒラリー路線を批判」したドナルド・トランプが当選したことで、二重三重の政治的敗北となりました。
(中略)
 シリアの反政府運動は、その初期においては分厚い中産階級が参加し、欧州の後押しも得て「平和的革命」になる可能性もあったと考えられます。ですが行動を躊躇するうちに、「反政府勢力にはアル・カイダ系が混じっている」という理由から武器供与ができなくなってきたのです。そこでさらに躊躇しているうちに、反政府勢力の一部がISISに走るという事態になりました。
 そして気付いてみると、中産階級の多くはトルコ経由で欧州へ脱出し、反政府勢力が善玉なのか悪玉か分からなくなる中で、政府軍とロシア軍に蹂躙されるに至ったわけです。



このアレッポから、世界に向けて7歳の少女がTwitterを使ってメッセージを発信しているのが話題になりました。「@AlabedBana」というアカウントで、少女の名前はバナというらしく、母親のファテマの名前のツイートもある。特に子供達を守りたいファテマの嘆きは痛切でした。


戦火のアレッポから届く現代版「アンネの日記」
2016年12月01日(木)17時54分
川上泰徳(Newsweek日本版)


私もTwitterで彼女のアカウントをフォローしていました。見ていた限りでは、バナの父親は負傷し、少なくともバナと母親のファテマはトルコに脱出し、トルコのエルドアン大統領に抱擁される写真がネット上に流れました。
罪のない子供が少なくとも一人、地獄から脱出する事に成功したのは喜ばしい。しかし、エルドアン大統領はトルコの独裁者であり、ロシアのプーチン大統領と手を握って、シリア領内で、アサド政権にとって都合のいい軍事作戦を展開していた。エルドアンがバナの庇護者ヅラをするのは、茶番でしかないではないか。加えてエルドアンがバナの知名度を政治利用して自身のイメージを改善しようとしたのは間違い無く、その小狡さも鼻持ちならない。
そして参るのは、バナのツイッターアカウントをフォローし、新しい投稿が為される事に安堵し、自分には何もできることはない、と、何もせず日本で平和に暮らしている自分の無力と無力感と無気力だ。地球上の幸せに生活している多くの人間がバナのツイートにイイネして満足している間に、バナと同様の子供達、子供を愛する大人たちが無数に傷つき殺され、歴史的な町並みは破壊し尽くされた。

もう一記事引用して、このエントリーを締めくくります。


シリア内戦で民間人を殺している「空爆」の非人道性
2016年10月14日(金)18時55分
川上泰徳(Newsweek日本版)

 国際社会は「無差別空爆」の非人道性に対する認識が低すぎる。5年半を過ぎたシリア内戦で、アサド政権軍とロシア軍が反体制地域に空爆を繰り返し、子供・女性を含むおびただしい数の民間人の死者を出している。米欧の有志連合による空爆でも同様だ。人権団体は悲惨な現状をリポートしているが、今も関心は低い
 5年半を過ぎたシリア内戦で、アサド政権軍とロシア軍による反体制支配地域への激しい空爆がおびただしい数の民間人の死者を出している。8月中旬に、空爆で崩れたビルの瓦礫の下から救出され、救急車に乗せられた5歳の男児の写真が欧米のテレビや新聞で脚光を浴びた。全身が埃に覆われ、固まったように正面を見据える幼い姿は、戦争の悲惨を体現していた。
 しかし、この男児の映像は、生きていたからこそ米欧や日本のメディアに出たものだ。ぼろぼろになった子供の遺体ががれきから引き出され、子供を抱きしめて絶叫する父親や母親の映像が毎日のようにアレッポ発のYouTubeで流れている。