日本の政治状況について、この二本の記事を併せて読むと、なかなか啓発的であると感じました。戦後の知識人たちが言い古したことですが、改めて一言で言えば、日本は民主主義を身につけ損ねているんだ。
取材・文/川喜田 研
まずは1本目の現代ビジネスの記事から、少し引用していきます。
インタビュイー/フィリップ・メスメール
2018/04/05
週プレNEWS
3月30日、安倍首相は東京ドームの巨人-阪神開幕戦を観戦した。……(中略)……招待したのはメディア界のドンで、御年90歳の”ナベツネ”こと渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆(巨人軍最高顧問)である。……(中略)……読売新聞社関係者が明かす。
「実は、渡邉主筆はこの試合の半月ほど前に、読売新聞東京本社で行われた会議の席上で『首相がその気なら全面対決だ』と発言したというのです。読売社内では『これまでの親安倍から反安倍に路線変更か』と大きな話題になっていました」
これだけ読むと、私のように現政権に批判的な人間は「よっしキタ!ついにメディアも民主主義のための戦いに重い腰を上げたか!」なんて思ってしまったものですが、続きを読むと、むむむ……?となります。引用を続けましょう。
ナベツネ氏や民放側が政権に反発する本質的な理由は、放送法4条の問題以上に、ネット事業の拡大やNHK肥大化による「民放の経営圧迫」に対する危機感にあるのかもしれない。
……(中略)……
そんな中、「4月初めには、ナベツネさんら全国紙や通信社の会長、社長クラスと首相の懇談がセットされている」(関係者)という。
ある大手紙幹部は、「新聞・テレビの反発が予想外に強かったため、首相は今後は主張をトーンダウンさせ、手打ちが行われるとみられている」と話す
つまり、大手メディアが安倍政権批判を展開したのは、民主主義のためでも、自らの報道の自由が脅かされているからでもない。メディアは、己の利益が脅かされそうだから、政権に反旗を翻したに過ぎない。首相が大手メディアの利益を守る方向性を約束すれば、政権との戦いは幕引きとなる、と書いてある。
前々から「メディアは報道の自由を脅かされても反発しないのか?そんなにメディアの力は弱いのか?」と疑問に思っていたのですが、これを見ると、そもそも大手メディアの首脳陣は報道の自由など求めておらず、ただ「テレビである」という一事に由来する、莫大な利益さえ守れれば良いのだと思わざるを得ない。
前の記事にも書きましたが、組織と個人は分けて考える必要があると思います。しかし、渡邉恒雄という個人、およびその影響を強く受けた時の大手メディアは、民主主義になど無関心に風見鶏を決め込むと理解しました。
2本目は……敢えて引用する必要はないか。要するに、メディアもそうだけど国民からの批判も全然あがらない。ダメなのは現政権だけじゃなくて、国民も含めてみんなダメ、という内容です。耳に痛い。
この国は、少なくとも真剣に民主主義を求める風潮にはなり得ていないんだと、暗澹たる気持ちになったのでした。
諦めずに民主主義の旗を掲げ続ける事が大切だと思いますが、国民全体の啓発が必要、と考えると、かなり苦しい戦いです。これから経済的にも落ち目になり社会混乱が広がるであろう日本。かなり痛い目に遭うことも、覚悟せざるを得ないと思っています。
