1000円程度のイヤフォンでも繊細な表現力 Panasonic RP-HV162-K レビュー
という記事を以前に書きました。

今回は、その兄弟機であるPanasonic RP-HV154のレビューです。ヴォリュームがない分200円くらい安い機種です。どうせ音質的に使えないヴォリュームなので安い方が良いかも知れないと思って購入したわけです。そして、結論から言いますと、RP-HV162-Kよりも良いです。ただし、条件付きです。

2016年10月4日追加:
時間が経過しているので、追加もどうかとは思いますが、最近のイヤホンの進化はすばらしいものがあります。ビクターの炭素振動板のイヤホンを使ったところ、低音の反応の良さと低歪みが格段でした。近頃では、タイトルの「べた褒め」は言い過ぎに感じています。このイヤホンは、低音以外は価格に似合わず良い点では変わりませんが、低音が弱点です。改造方法も見直しましたし、新たに記事を書きたいと思います。

2017年4月8日追記:
再び追記します。RP-HV154と162では、最終的に162の方が気に入ったのですが、どちらにしてもユニットが小さくプラスチックなので耳に安定させるのが非常に難しいのです。結局メインで使う機種はSennheiser MX560に戻っていました。さらに言うと、最近ごく一部で流行っている中華の
Sennheiser MX500タイプの方が明らかに高音質なものが多いということもあり、Panasonicの使用頻度が減っています。1000円以下の中華のMX500タイプを色々と買い込みましたので、近々レビューしたいと思います。具体的には、MONK+、Faaeal(32Ω,64Ω)、TY Hi-Z、Boarseman K25s、Qian25あたりです。気が向いたらもう少し増えるかも知れません。
 
↑amazonで1058円(送料込)です。少々高いので他の店で買いたくなります。


↑楽天(ぎおん楽天市場店)で税込760円です。私の知る限り最安です。5000円以上で送料無料ですのでついで買いならありだと思います。楽天のビックカメラやソフマップにも840円(ポイント5倍)であります。

表側です。シンプルなものです。

裏側です。性能は、メーカーのホームページ にありますが、以下の通りです。
形式 ダイナミック型ステレオインサイドホン
使用ユニット 直径14.8mm
インピーダンス 17Ω
音圧感度 105dB/mW
最大入力 40mW
再生周波数帯域 10~25,000Hz
コードの長さ 約1.2m
プラグ ステレオミニプラグ(直径3.5mm、L型、24K金メッキ)
質量 約6g(コード除く)
希土類ネオジウムマグネット
入力コードリッツ線
金メッキプラグ


メッキのPanasonicと書かれた板(プラスチック)がはめ込まれています。海外には半値くらいの板なしで質素なRP-HV096Kという機種があります。実のところ、音は変わらないかも知れません。性能的には20-20kHz,104dBにはなっていますけど。

別の角度の写真です。L字型金メッキプラグで、Y字ケーブルの1.2mです。RP-HV162の方はヴォリューム付きのu字ケーブルで若干短いです。あと、ユニット側の出っ張り方が異なります。

■そのまま聴くと...

パッケージには、付属品はありません。その状態で聞くと低音がありません。低価格の影響で剥き出しプラスチックですので、耳との間から低音が漏れるのです。中音以上はまともですが、何とも迫力がありません。RP-HV162も低音が出にくいイヤホンでしたが、それ以上に思えます。試しに正弦波で確かめたところ70Hz以上しか聴けません。ドラムやベースの基音が全く出ていない状態です。

■条件付きの条件とは...

このまま低音なしで使うのではもったいない気がしたので改造しました。改造と言っても、紙の両面テープと滑り止めの発泡ブチルシートと穴を開けたイヤーパッドを使うだけですので元に戻せます。紙の両面テープと滑り止めの発泡ブチルシートと穴を開けたイヤーパッドは全部100均に売っていますので合計300円です。穴開けに用いたのも100均に売っている1穴パンチです。2穴でも可能です。



イヤホンの縁に両面テープを2mm幅で貼り、3mmくらいの滑り止めを貼り付けます。その上からイヤーパッドを付けます。そうすると滑りませんし、音漏れによる低音過小もなくなり、非常にバランスの良い音になります。

すべりどめシートは、ダイソーにあった「車内の小物が滑らない!!すべりどめシート 9.5×16cm」です。ブチル系です。塩ビ系だとプラスチックに移行してイヤホン本体をどろどろにしてしまいそうなので避けました。ちなみに、耳がかぶれると嫌なのでこのシートはMade in Japanです。このすべりどめシートは最初ガサガサと音を立てることがありますが、しばらくすれば収まります。

両面テープも、トルエンなどを含む得体の知れない接着剤でかぶれるのは嫌なのでこちらもMade in Japanです。紙にアクリル系接着剤の粘着力が特に強くない工作などに使う幅2cmのタイプです。

イヤーパッドはMade in Chinaの10個入りです(両面テープとイヤーパッドはキャンドゥーで購入したと思います)。ただのポリエステルなので中国製で問題ないかと。というか高級イヤホンの付属品でも日本製など見たことがありません。


滑り止めを貼ったところです。耳の後ろ側に空間ができやすいので厚めにしています(発泡ブチルシートは引っ張るほど薄くなるので調節できます)。

イヤーパッドを付けた完成状態です。慣れれば5分程度で完成します。イヤーパッドの穴は開けなくても使えますが、穴を開けた方が高音が伸びますし音が曇りませんので開けています。ちなみにパンチで開けた穴は写真の反対側です。元々イヤーパッドに開いている穴の方がきれいに開いているため耳の側にしています。

イヤーパッドの二枚重ねも試しましたが、低音の量は増えますが、どこかの音域がボワボワしてきますのでやめました。

■結果

もともと響きの少ないさっぱり系の音です。改造によって単純に低音が伸びた感じです。30Hzは小音量でも普通に出ます。20Hzも普通の音量なら聞こえます。15Hzも最大近くにすれば出ています。10Hzは音量最大にしても聞こえませんでした。高音は21kHzまでは最大音量にすれば何か鳴っているのは聞き取れました。年のせいで高音は聞き取れなくなると言われますが、音量を上げれば聞こえるじゃないですか。耳が悪くなりそうなので、数秒でやめましたけど。

付帯音が少ない繊細で歪みの少ない音が特徴です。ヴァイオリンが非常にきれいで超高音まできちんと伸びます。低音はドラムのアタック音やベースの基音もダマにならず聞こえます。パイプオルガンでもほぼ聞こえます。ハイレゾを聴いても、SONYのハイレゾ対応の2万円くらいのヘッドフォンの8割くらいは繊細に表現されています。クラッシックだろうと、ロックだろうと、ポップスだろうとこれ一台で十分楽しめます。中でも特に優れているのはピアノです。イヤホンとは思えない臨場感が半端ではありません。また、オーケストラがまともに楽しめる数少ないイヤフォンです。800円のイヤホンで何を言っていると言われそうですが、それぞれの楽器の解像度と臨場感があり得ないほど良いのです。

短所を挙げるならば音量を上げすぎると突き刺さります。その場合は、穴無しイヤーパッドにすれば低減すると思います。あとは、耳に取り付ける角度と深さで低音の音量と若干の音質が変わることです。逆に言えば、ジャンルに合わせて調節できるわけです。

RP-HV162-Kもさっぱり系でしたが、RP-HV154と聞き比べると付帯音や響きがあります。RP-HV154の方が余計な音は少ない感じです。

私はRP-HV154の音質が非常に気に入りました。800円前後の価格抜きでです。10000円以上のイヤホンとか要らないんじゃないかと思うくらいです。あまりこういうことを書くとメーカーから嫌われそうですが、オープンエアーのイヤホンは何十年と造られているわけで、ユニットも数十年の蓄積があるわけです。だから、低価格で高音質のイヤホンが存在しても何の不思議もないわけです。低価格なのでプラスチックが剥き出しであるなどのコストカットによる装着上の問題点はありますが、それは補ってやれば良いわけです。

なお、エイジングは20時間程度の状態で書いています。20時間で拡がりの良い音になりました。今後どのように変化するかはわかりません。

■余談

以前、プラネックス製と思われる激安イヤホンの音が非常に良いと紹介 しました。こちらも低音不足ですので上と同じ改造をしたところ、音域がまんべんなく出る乗りの良いイヤホンになりました(若干超高音の伸びは足りないかも)。気をよくして、追加注文してみたところ下の写真のものが届きました。以前と違うじゃん


↑よくよく見るとリンクの写真も取り替えられています。以前は灰色の根元の部分や、金属になっている耳に当たる部分も一体成形の白いプラスチックでした。以前の方が安っぽかったのですが、音質は雲泥の差です。雲の方は欲しいですが泥の方は要りませんので、お金をドブに捨てた感じです。

このiPod付属の偽物みたいなイヤホンは全然駄目です。100均の想像を絶する低音質イヤホンと同レベルです。改造しても質の悪い低音が増えるだけで、へなちょこなボーカル、伸びない高音はどうにもなりません。

本体は75円ですので100円しませんが、送料を含めると100円を超えますので買う価値はないと思います。聴くに堪えないオーディオはお勧めできませんから、少なくとも私はお勧めしません。10倍出しても、RP-HV154を購入した方が良いと思います。