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中学校に上がってしばらくした
ある日のこと、学校からかかってきた
電話で、私は生徒指導室に
行くことになりました。
電話越しで聞かされた内容に
私は血の気が引く思いでした。
まさか……
娘が窃盗を
するなんて!?
その日事務の方に入っていた私は
学校からの連絡を受け、職場の
園長先生に事情を話して急いで
学校に向かいました。
そして職員室に駆け込んで
担任の先生への挨拶もそこそこに、
一緒に生徒指導室へと向かいました。
そこにいたのは泥だらけで
泣きじゃくる娘と、それを宥めて
話を聞いている先生達の姿。
「この度は申し訳
ございませんでした！」
入るや否や土下座せんばかりの
勢いで先生達に頭を下げると、
先生達は困ったような顔を
しながら私を応接用のソファへと
案内してくれました。
そしてそこで聞いた話。
結果的に万引きもとい窃盗は
未遂で終わったそうです。
娘が店内でウロウロしている
ところを不審に思った万引きGメンの
方が声をかけて下さり、事情を聞いて
バックヤードに案内して
学校側に連絡してくれたそうです。
ただ娘が商品を持っていたことと、
本人が窃盗を行おうとしていたのを
迷っていたことを自供しており、
今回は未遂ということもあったので
注意という形で終わったそうでした。
私は何が何やら意味がわからな
かったんですが、万引きGメンの
話によると、娘は商品を握り締めたまま
真っ青な顔をしてセンサーのある
入口の所を行ったり来たりしていた
らしくて、Gメンの方はそれを見て
なんとなく察してくださったよう。
窃盗犯を確保というよりかは、
本人の様子から保護してくれた
という方が正しいようでした。
だから電話口でも先生は
保護された
と言っていたのですね。
本来なら店舗から出た時点で
確保になるそうなのですが、
その時の娘の様子がかなり
異常だったようです。
真っ青な顔で商品を握り締めた
ままで、入口のところを
数十分もの間行ったり来たり
していたそうなので、
傍から見たら異常ですよね。
取り敢えず、お店にはご迷惑を
おかけしてしまったものの、
実際に損害を与えてなかった
ことには少し安心して
深い溜め息を吐きました。
となると、なんでそんなことを
しようと思ったのかということ。
聞けば娘が窃盗しようと
していた物は、アイプチの
ノリとつけまつ毛。
羨ましいくらいくっきりな
二重とまつ毛バッサバサの
九州顔の娘には絶対に必要の
ない物を盗ろうとしていたことが
疑問でなりませんでした。
ただ先生達がいくら事情を
聞いても、娘は泣きじゃくって
事情を話してくれず、本当なら
未遂なので話を聞いて後程
電話で連絡となるところを
保護者呼び出しになったようでした。
そこで私も加わって、叱ったり
なだめたり慰めたりと、
あの手この手を使って
娘の口から詳細が出たのは、
私が到着して40分後のことでした。
