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暖かな春の日、というには
やや肌寒さが残る３月某日。
普段は滅多に着ない幼稚園の
制服フル装備に身を包み、綺麗に
整えられた髪にこの日のために
買った髪飾りを着けた娘は、
玄関前の立ち鏡の前で
何度回ってはご機嫌でした。
紺色のゆったりとした
ワンピースに身を包んだ私は
エリコママに息子を預ける
準備をして、幼稚園に向かいました。
私と夫に挟まれ手を繋ぐ娘は
満面の笑顔でスキップをしています。
少し早めに花を咲かせた桜を背に
写真を撮ったりしながら
卒園式が行われる幼稚園に
足を早めました。
幼稚園では門のところで
新しい園長先生が
笑顔で出迎えてくれました。
そう、以前の園長先生は
定年を迎える前に退職。
元々トラブルが多かった人
だったのですが、エヌミちゃんの
件でトラブルが大きくなり、
その後も私の預かり知らぬところで
他の保護者さんとかなり揉めていた
そうで、まさかの２月末での
園長先生の交代となりました。
噂では訴訟を起こされたとか
なんとかで、結局依願退職という
形になったらしいです。
そしてその園長先生はなんと
前主任先生でした。
本来なら４月から別の園で
園長として務める予定になって
いたそうなのですが、今回のことで
ちょっとだけ早く園長先生に
なってうちの園の卒園を迎える
ことになりました。
その辺の詳しい事情はよく
わからないのですが、園長と
いうのは肩書きだけで、
現在も籍は主任としてあると
いうことを情報通のDママが
教えてくれました。
ほんと情報通の人って
こういうのどこから
仕入れてくるんだろうね(笑)
クラスに入ると担任のＡ先生と
D先生が笑顔で迎え入れてくれます。
B先生は、まさかの妊娠で
悪阻が酷いらしく欠席に。
そして子ども達と離れた保護者は
お遊戯室へと移動します。
以前例のトラブルがあってから
園での保護者の座席は全て
子ども達がくじを引いての
指定席になりました。
ある意味公平なやり方に
保護者の中でも評判がよく、
席外れても引いたのが我が子なら
クレームにもならないので、
先生達にとっても良い結果に。
そして保護者や在園児の拍手に
迎えられ、誇らしげだけど
どこか緊張した面持ちの子ども達が
入場してきました。
もちろんエヌミちゃんはいません。
名前の順で園児の名前が
呼ばれていく中で、
エヌミちゃんの名前だけが
呼ばれませんでした。
結局あの後、エヌミちゃんは
２月末で退園しました。
理由は、障害児支援施設に
入ることになったからです。
入居型ではなくて通所型の
施設に行ったというのを、
それまたDママから聞きました。
私がエヌママと話したのが
２月の月初辺りだったのですが、
そこから急ピッチで話が進み、
気がついた時にはエヌミちゃんは
退園している状況でした。
これまで頑なに支援を拒んでいた
エヌママがどういう心境の変化で
施設を利用することになったかは
わかりませんが、エヌミちゃんが
適切な支援をうけることが
できるようになり、保護者一同
ほっとしていました。
本当にたくさんのトラブルに
悩み、苦しみ、病んだ幼稚園。
関東の時に味わった苦しみとは
また別のものでしたが、
3月に入る頃には娘の体調も
完全に回復していたこともあり、
卒園式を笑顔で迎えられたのが
不幸中の幸いだったと思います。
未だエヌママ関係のことで
揉めている保護者さんもいた
ようでしたが、喉元過ぎれば
熱さを忘れ、私はただこの
平穏な毎日に感謝し、遠くに
離れてしまったエヌミちゃん達も
穏やかに過ごせているといいな～
などと思いながら、幼稚園を
笑顔で後にしました。
こうして一度は笑顔で終われた
エヌミちゃんのトラブル。
この時はまさか数年後に
あんなことが起こるとは
思ってもみませんでした。
最終話までもう少し、
お付き合いくださいm(_ _)m
