食文化を広める難しさ | 平田真実のブログ

平田真実のブログ

南米パラグアイから昭和レシピチャンネルを発信する平田真実の個人的ブログ。
昔の思い出話、グルメ、格闘技、ペット、家族、教会、会社、放射能被曝問題のことまで徒然なるままに・・・何のブログだろう?と雑多過ぎる内容ですが、これが私です(笑)

日本は実に世界の様々な地域から食文化を取り入れ多彩なものが食べられるようになりました。

世界でも稀にみる広さだと思います。

 

いや、少なくとも都会では・・・。

というのは長男が出産したとき義母に田舎から出てきてもらって家事や産後の様々なことを手伝っていただいたのですが最後お土産を何しようかと思ってデパートの地下で探しているとき「このマロングラッセにしましょうか?」と尋ねたら

「これは何?」

「栗で作った洋菓子です」

「栗なら山にある」

と言われてしまいました(笑)

 

妻の実家を訪問する際も、何か美味しいものをと思って関東から食材を持参、準備するものの珍しい味は受け入れられず、食の範囲が狭いなと感じて作るのは諦め、そこで出してもらったものを美味しくいただくのが一番とだんだんなっていきました。

 

 

 

南米に来ても同じようなことを感じています。

 

この動画で日本国内でもミンチカツレツの発祥を巡って元祖争いがあることを話したら、「これはハンバーグだ」というコメントが・・・(^^ゞ。
確かにハンバーグの素を作るところまでは同じ、そこにパン粉をつけて揚げたのがミンチカツレツ(メンチカツ)なのですが、食べたことのない人にとってはこれはハンバーグなのでしょう。
「我々の国で昔から普通に食べてるハンバーグなのになんで日本で元祖争いをしてるの?」と思われてしまうわけです。
日本に来たことがあり実際にミンチカツを食べたことのある人なら、ハンバーグとは食感が違うことがわかりますし、何もこれは日本のオリジナルではない、日本で生まれた西洋料理、つまり西洋のハンバーグにヒントを得て和風にアレンジ、アイデアが付け加えられたものであることも理解できるでしょう。
 
トンカツでも同じようなことが起こりました。インスタグラムでカツの写真に対し、「これはミラネサである。ミラネサは我々の国アルゼンチン発祥の食べ物だ」と小炎上してしまいました。
えええっ?ミラネサという名称自体「ミラノのカツ」という意味で、ミラノはイタリアだよねと思いましたが、自分の国で昔から食べているものに対し誇りを持ちたいのでしょう。
コメントが一方的に炎上していく中、遂にイタリア人がぽつりと「ミラネサはイタリア発祥」と一人呟きましたが、それも無視されてしまいました。
確かに、アルゼンチンのミラネサは美味しいという評判があり、その味に誇りを持つことは悪いことではありませんが、食の歴史や文化に対し広い視野を持つことも大切なのではと思います。
まあ日本と韓国のように近い国同士は何かとぶつかりやすくそれに似た感じでアルゼンチンは他の南米諸国に対しミラネサの文化は譲れないというものがあるのかも知れません。
 
父が戦後の日本の食文化の広がりに大きな影響を与えたと思いますが、今度は私が世界の食文化にそれを還元していきたいと思っています。
パラグアイへ来たアフリカ出身の方がその食の範囲の狭さに「アフリカも食文化は狭いほうだけどここはそれ以上だ」と驚いておられました。これを広げていくのは至難の業だと思います。
カレー屋さんができてもすぐに潰れ、郊外にできたショッピングモールのフードコート、最初は中華やいろんな店があったはずなのに数年経って行ってみたら全部同じような店、ピザかエンパナーダかアサド、ハンバーグの店に変わってしまってました。
首都アスンシオンではそれより少しは広いですが・・・。
 
パラグアイで一番美味しいパンを売る韓国人のお店のご主人も仰ってました。
「いろんなことをやろうとしたけど保守的なこの国では無理。諦めた方が良いよ」と。
 
でも諦めません。
世界にはいろんな美味しいものがあるけど、その食文化は互いに影響しあい、発展していっているのだということ。
それを理解、尊重し合えば世界は平和になると信じて。
昭和レシピチャンネル頑張ります。