以前、住んでいた家がありまして。
庭付き平屋の数寄屋造りの一軒家でした。
以前より、平屋の日本家屋に住むのが憧れでした。
実は私、知識の多くを漫画から得ておりまして。
思想的な影響もかなり、漫画から受けている部分が多いのであります。
吉田聡の「鬼のヒデトラ」という作品がございます。
けっして名作ではないのですが、湘南爆走族、スローニン、純ブライド等の連載が終わり、バードマン・ラリー 鳥人伝説、天翔ける鈴、ダックテール、湘南グラフィティ等の名作短編が描かれた1988年の作品です。
この作品に登場するバイクインディアンは今でも僕の憧れなのですが、作中に登場する家もまた憧れでした。

なんでも、日本の家はわざと影が出来る構造になっていて、そこには鬼が棲み着いて家を守ってくれると。
私はそんな、余韻や余白といったものに感動を覚える質なのでなおさらそういった家に住むのにあこがれていました。
JOJOの吉良吉影が住んでいたのも影響しているかも知れません。
強く願っていれば夢は叶うということでしょうか。
不動産屋巡りをしていた際に、私のリクエストするような物件などなかなかあるはずもありませんでした。
私も困っておりましたが、不動産屋も困っておりましたので一件の不動産屋を紹介されました。
駅前とはいえ、四畳半の小さなスペースで老婆が営む不動産屋でした。
老婆の名前は「みよこ」でした。
みよこに、「平屋の日本家屋を探している」と伝えると、場末のスナックのように「あるわよ・・・」と答えました。
紹介された家はまさに理想を越える物件だったのであります。
純和風の数寄屋造りの家には当然、居間には床の間と違い棚を備え、床の間の脇には書院欄間の付いた付書院、違い棚の天井部分は矢羽根編の網代になっていて、細工の施された彫刻欄間もついていました。
水回りはリフォームされており、トイレには真新しい洗面台がついていました。
面白かったのは、以前の住人が外も中も真っ白に塗ってしまっているところでした。
これが原因でその住人はこの家を追い出されたそうですが、天井や砂壁、そして外壁はすべて真っ白にペンキで塗られていたのです。
この雰囲気が気に入り当然、即入居を決め、値切り交渉の末住み始めたのでした.
さて、この家、庭がついています。
紫陽花、紅葉、柿、椿など季節の植物が植えられていてそこそこの広さがありました。
植物は好きだし、「秘密の花園」的に、手入れをした植物に囲まれ、ランチの後は外のテラスで優雅にお紅茶でもといった憧れもあったので、庭いじりでもしてみたかったのですが、いかんせん私は大の虫嫌いであります。
草むしりはしなければ、ぼうぼうに草が生え大変なことになるので草むしりこそしましたが、さすがに新たに植物を植えて愛でたり、特別手入れをするといったことはありませんした。
ただ、椿には特別興味があったので当時同じビルに事務所を借りていた建築家に相談したところ、
「椿はやめた方がいい・・・」と神妙に言われました。
何故かと問うと、虫嫌いの私には大変敷居の高いものでした。
「以前、自分の家の庭にも椿が植えてあったので手入れをしようとしたんです。なにげなく葉をめくるとびっしりと毛虫がついていました。虫嫌いのあなたには到底無理な話ですよ。私でも気持ちが悪くなって、後日その椿は引き抜いてしまいました。」
ぞっとする、話です。
それ以来、私は椿の美しさに惹かれつつも恐ろしくて近づけないジレンマを抱えているのです。
その家は震災後しばらくして、欄間は落ちて外れ、床の間の床板も落ち、家全体もゆがみ障子は閉まらなくなりました。
かねてからの虫やなめくじとの戦いにも疲れていたので引っ越しを決意新たに借りた家は以前とは真逆の築4年の真新しい3階建てでした。
庭も付いていなければ、面白みもないこの家ですが偶然にも家をでるとすぐ、椿が植えてあります。
ここでもまた、美しく咲いた椿をただただ横目に出かけたり、帰ってきたりするわけです。
プライマル
詞;田島貴男
夜明け過ぎの 二月の雪
きみの部屋を 見上げつづけた
ときめき 痛み
眠れぬ夜の過ごし方を
初めて知った
きみにいつまでも見とれたい 何もいらないよ
きみを愛してるよ 心の底から
愛はいのちよりも前にあるから
エデンの歌 春に咲く花
抱えきれない 大きな気持ち
瞳を 揺らせて
終わらない愛を知りたいのと
きみは言った
きみにいつまでも見とれたい 何もいらないよ
きみを愛してるよ 心の底から
愛はふたりのあとにも残るから
きみにいつまでも見とれたい 何もいらないよ
きみを愛してるよ 心の底から
愛はいのちよりも前にあるから