今日は「怖い絵」の中のムンクについて。
前回はギロチンにかけられる前のマリー=アントワネットの素描について書きました。
本の中ではムンクの作品「思春期」についての解説が書かれています。
私が気になったのは、作品のことより、ムンクの生涯についてでした。
かなり昔ですが、上野の西洋美術館でムンク展を見に行ったことがあります。
ムンク作品の数が結構来ていて、結構豪華だった記憶があります。
作品の中には注文されて作った作品もあり、作家として成功しているんだなという印象を受けました。
何種類かある一つの「叫び」の作品もありました。
これは、切羽詰まった精神状態を感じさせました。
でも全体的にユニークで変わった作風が多く、どこか遊びごころを感じさせるものもあり、ムンク自身もこういう表現をどこか客観的に楽しんで描いているんだなと思っていました。
精神状態が悪かったといってもこれだけ作品を描けるのだから、軽度な感じだったのかなとのんきに思っていましたら・・・・、
全然違いました・・・・
ムンクは不幸な家庭環境と自身の虚弱体質により、不安神経症や被害妄想に悩まされていたそうです。
とうとう彼は四十五歳で自ら進んで精神科へ入院するに至る。この決断は奏功し、心身の健康を取り戻して退院するのだが、皮肉なことに、それ以降八十二歳の高齢で亡くなるまで、もはや見るべき作品を残すことができなくなった。
自分で病院への入院するくらいだから、かなり深刻だったんですね。
そのおかげで82歳まで生きられたのだと思うのですが、そのかわりに絵描きとしての才能もなくなってしまわれた・・・。
・・・しかし、私、絵を見たとき、ムンクは苦しみながらどこか楽しんで絵を描いているように思っていたのだけど・・・・。
本当に自分の絵を見る目に自信なくしました。。。
描き手のことは作品を通して、わかるものだと思っていたのですが、なかなかそう簡単なことではなかったようです。
健康を取り戻すと、作品の魅力がなくなってしまったことについては、
理屈ではわからないけど、なんか納得しますね。
ゴッホもこういうタイプの作家だったと思います。
ゴッホは本当に狂ったまま、逝ってしまわれたのでしょう。
たしかに幸せで健康的でうまい絵って、不思議とあまり魅力を感じないかもしれません。
アートって本当に不思議なものです。
魅力ある絵を描き続けるって、奇跡に近いというか、難しいことなんですね。