抗がん剤の副作用で
髪の毛は
抜け落ちる。
これは確実。
何も知らずにいて、
突然ハゲ散らかる私を見たら
家族もそのインパクトたるや
大きいことだろう。
なのでこのことは
事前に子どもたちに
伝えておかねばいけないと思った。
この時↑の、乳ガン告知では
息子が落ち込んで涙をながし
その姿を見て私も涙をながし
非常にしんどい思いをした。
あんな雰囲気になるのはイヤだったので
今回はもっと
フラットに
自然に
明るく
サラッと
を、心がけて告知しようと決めた。
そして3日前に遡る。
子どもたちがSwitchをしながら
キャッキャキャッキャと楽しんでいた。
私もスマホをいじっていたのだが
なぜだか突然
今だ！！
と、思い立ち…
スマホに目を落としたまま言った。
｢そういえば…お母さんさ、
病気の治療で
今度ハゲることになった〜｣
旦那がギョッとした顔をして
私を見た。
え!?今なの？
このタイミングで！？
って顔をしている。
そうなの。
今なの。
このぐらいフランクな方がいいと思う
心の中でそう答え
何かを言いたそうな旦那を無視して
更に続けた。
｢そんなわけでね、
出かける時とか、
学校や保育園に行く時はカツラかぶってくから
心配いらないよ〜。安心してね！｣
｢え！？なに？マジで？
お母さんハゲるの？？｣
息子がSwitchから目を離し
私を見た。
｢うん、今すぐじゃないけど
来月くらいにはね。｣
｢まじかよ〜！うけるー！
｣
息子、まさかの
爆笑。
え？
ウケんの？
そこ爆笑なの？
息子につられて
娘まで爆笑する始末。
なんか…
思ってたんと違う…
いや、まあね。
泣かれるよりはよっぽどいいけどさ。
家族が笑ってくれるなら
ま、いっか！
と乳がん告知の日とは打って変わって
笑いのハゲ事前告知となった。
受け止める側が軽すぎるという
フランク告知の
思わぬ落とし穴。
それを翌日痛感することになる。
…………
翌日、保育園の降園時。
娘を迎えに行き、引き渡される際に
先生が言った。
｢お母さん、大丈夫ですか？
今日あおちゃんが笑いながら
お母さんがハゲるって
言っていて…｣
↑(先生は私が乳がんであることを知っている)
…
……
しまった…。。。
娘…昨日のノリのまま
面白がって伝えてるじゃん…
ま、まさか
クラスのみんなに話したりしてないよね!?
｢えと…はい、すみません
抗がん剤することが決まったんです。
早速先生に話したんですね。
あまり言いふらさないよう娘に話します〜｣
車の中で娘に確認すると
どうやらその話は
先生にだけ話したようだホッ
治療でハゲるということは
お笑い芸人のやるコントなどとは違い、
面白おかしいことではないこと。
周りの人にやたらと話すことではないんだよ。
と言うことを
娘にしっかりと伝えた。
娘は多分…実際に私のハゲた姿をみたら
ショックを受けると思う。
やはり、まだ実感がわかないんだろう。
話すのが早すぎたな…。
あと、息子の方もヤバいな
そう思い、
学校から帰ってきたばかりの息子に
早速尋問。
｢あんたさ、
お友だちにお母さんがハゲるって話した？｣
｢いや〜ハゲる話はしてないよ。
だってそんなこと話したら
さすがに引かれるじゃん！｣
……
確かに。
さすがに引かれるわ
｢そ…そう。なら良かった。
こういう話はね、
周りの人に話すとみんな心配しちゃうから、
ここだけの話にしといてね。
お母さん、外に出かける時は
ちゃんとカツラを被るし
周りの人にはバレないようにするからさ。
だからわざわざ話さなくていいからね。
というか、
話さないでね。｣
最後の一言に力が入った。
そして息子と会話をしながら
ふと、思い出した。
そういえばさっき
保育園で先生とさよならをして
ダッシュで帰ろうとしていたところを…
1人のママ友に呼び止められた。
彼女は私と同じく役員をしているママさんで
ママ友とはいっても
軽く挨拶をする程度の間柄。
※役員のママさんたちには
色々と迷惑をかけてしまうので
乳ガンの治療をしていることは報告済み。
｢あ、あの…
体調は大丈夫ですか？
LINEを送ろうかすごく悩んでいたんですけど
結局送れなくて…｣
彼女は遠慮がちにそう言った。
｢いえいえ、ご心配をおかけしてすみません。
お陰様で退院して元気ですよ〜｣
｢あの、治療というのは
どういったことをされたんですか？
もう治ったんですか？｣
ん？手術するって伝えたはずだけどな…
癌て、退院したから
はい。完治！
なんてそんな簡単な病気では
ないんだけどな…。
そう思いつつ…
｢えーと、手術をして全摘しました。
治療は今後も続くので…
来月には
ハゲ散らかるかと思いますが
よろしくお願いします！｣
………
あっ！！
やっちまった…
私のバカバカバカバカ!!
聞かれたから
つい答えちゃったよ。
わざわざ言わなくていい事を
うっかり自ら
ゲロってしまってるじゃん…
子どもたちのこと
色々言えない…
アホな母親です
親しい友人には
全然知られていてもいい。
むしろウィッグネタで盛り上がりたい。
でもそうでない周りの人達に
哀れみの目で見られるのは嫌だなぁ…
ま、身から出た錆。
こうなりゃもう開き直るしかないな。
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