地湧社は2点の新刊を同時発売しました。遠山サキさん(アイヌ半生)と石垣昭子さん(紅露工房)です。

舞台はそれぞれ沖縄と北海道。場所は離れていますが、人と人、人と自然の関係を考える小社の企画として、両著とも深いところでつながっています。

 

 

『アネサラ シネウプソロ』は、アイヌのフチ(おばあさん)遠山サキさんがその半生を語り下ろしたものです。日常の思い出を丁寧に語っていますが、そこにはアイヌの自然とともに生きる哲学が行間ににじみ出ています。


大地とまわりの環境に心から感謝して生きているということがお二人の根底にあります。だから必要なものはすべて与えられるのです。自然のリズムに同調し、つねに体を動かし、ものを作り、ていねいに暮らすこと。ブレがなく、内発的なエネルギーが充満します。

サキさんの本に山で迷った話があり、ここだけ独特な言い回しがたくさん出てきます。それがサキさん、そしてアイヌの言葉のリズムだと直感的に思うのですが、このリズムにこそ、命の源への鍵(アクセスキー)が隠されているような気がします。

サキさんの娘さん、恵子さんの謝辞の中に「いつでも良い心でもって暮らしなさいよ。良い心であれば、言葉も良い言葉になるの、言葉も生き物なんだよ。人間と同じ心があるの」というサキさんの言葉が登場します。

 

ぜひ、ご覧ください。