初夏
死んでいた世界が再び色づく
緑が萌えて 人は萎えて
嘘かのように時間が進む
ブラインドのスキマから
夕日がのぞいて叫ぶ
行かないでくれ
独りにしないでくれ
海からの風 気の早い花火
出会った頃と同じ情景
あの日もこんなさえない月が
雲といつまでも遊んでいた
うだるよな夏の胎動
初夏 初夏 初夏
植樹
今日も人生は立ち往生
停滞、夕日に謝る
君は朝早く起き
会社にいって踊る
疲れ帰る頃
僕はもてあました体力を
仮想空間に捧げる
許せ太陽
許せ時間
許せ親
許せ明日
明日は苗木を買って
道端に植えよう
時間は有限だと知りながら
無自覚に過ごした
せめてものつぐないに
今日もダメだった記念の木
停滞、夕日に謝る
君は朝早く起き
会社にいって踊る
疲れ帰る頃
僕はもてあました体力を
仮想空間に捧げる
許せ太陽
許せ時間
許せ親
許せ明日
明日は苗木を買って
道端に植えよう
時間は有限だと知りながら
無自覚に過ごした
せめてものつぐないに
今日もダメだった記念の木
コットンコーデルの憂鬱
高熱でたよ ひさびさに
歩けないほどじゃないけど
今日はこうして
君に甘えたいなずっと
君は迷惑かい
僕がこうして甘えるの
たまにはいいかと
許してもらえるとうれしいな
膝枕 君のあごの下に
ほくろがあるとは
おそらく風邪をひかなければ
ずっと知れなかった事実
スカフロウ
ほら信号が青になったぜ
30秒後
きっとあいつは店から出てくる
手のひらの汗は拭いておけ
指が滑ったらおしまいだから
あいつにされたのは
嫌なことばかり
俺たちが貯めた金を
根こそぎ持って行きやがった
もう勘弁だぜこんな毎日は
あんなやつ殺っちまおう
友達、今日がその日だ
友達、今日がその日だ
屋上
スコープの中に、その男の姿を
完全に捉えていた。
いつだって殺せる。
なにせその男は、カフェのテラスで
のんびりと朝刊なんかを読んでいたのだから。
引き金を絞れば終わりだ。
さっさと引き上げてホテルに戻り
冷えたペリエを喉に流し込んだあと、
クライアントに「ちょろかったぜ」と電話すればいい。
夜は適当に女をはじいて、
明日の昼頃の飛行機で街に戻ろう。
家に着いたらまずバネッサに電話だ。
あいつが昨日よこしたメールがどうも引っかかる。
もう一緒に暮らしていく自信がないとか、
確かそんな話だった。
あのビッチめが、近頃余計な知恵をつけているな。
誰かに入れ知恵されているんだろう。
バネッサをどつく前にまずは
そいつを探し出してぼこぼこにしてやろうか。
アヤシいのは、あいつが働いているファミレスの同僚か、ピザ屋の小僧だろう。
そいつの首をふん捕まえてバネッサの前で
ぶん殴ってやろう。俺に逆らったら………
その時、昼休みの終わりを告げる
かわいたチャイムの音が鳴った。
康夫はおそらく人生でいちばんの悦楽であろう
屋上での妄想をとりやめ、
情緒不安定な殺し屋から、歯磨き粉工場のアルバイトに戻った。
持ち場に戻るとベルトコンベアーが軋みながら動き出した。
あまりにもタイミングがよすぎて
よけいにイライラした。
完全に捉えていた。
いつだって殺せる。
なにせその男は、カフェのテラスで
のんびりと朝刊なんかを読んでいたのだから。
引き金を絞れば終わりだ。
さっさと引き上げてホテルに戻り
冷えたペリエを喉に流し込んだあと、
クライアントに「ちょろかったぜ」と電話すればいい。
夜は適当に女をはじいて、
明日の昼頃の飛行機で街に戻ろう。
家に着いたらまずバネッサに電話だ。
あいつが昨日よこしたメールがどうも引っかかる。
もう一緒に暮らしていく自信がないとか、
確かそんな話だった。
あのビッチめが、近頃余計な知恵をつけているな。
誰かに入れ知恵されているんだろう。
バネッサをどつく前にまずは
そいつを探し出してぼこぼこにしてやろうか。
アヤシいのは、あいつが働いているファミレスの同僚か、ピザ屋の小僧だろう。
そいつの首をふん捕まえてバネッサの前で
ぶん殴ってやろう。俺に逆らったら………
その時、昼休みの終わりを告げる
かわいたチャイムの音が鳴った。
康夫はおそらく人生でいちばんの悦楽であろう
屋上での妄想をとりやめ、
情緒不安定な殺し屋から、歯磨き粉工場のアルバイトに戻った。
持ち場に戻るとベルトコンベアーが軋みながら動き出した。
あまりにもタイミングがよすぎて
よけいにイライラした。