グエムル-漢江の怪物(前編)
どうも
長くこのブログを読んでいてくれている人はわかると思いますが、実は、自分は米国に住んでいます。それで、韓国食品店の韓国ドラマレンタルコーナーでビデオを借りてきて視聴するパターンがほとんどなんですが、これは、知り合いの米国人のお家にいって、見たものです。実は、その知人のおばさんは根っからのアメリカ人で、ハリウッドで育った事もあり、映画には、かなり「通」で、私同様、映画を見まくっているんです。
それで、電話がかかってきて、「あんたの好きな韓国映画を見ない?」という事になり、そそくさと、夫婦で、車に乗って20分かけて、そのお宅にお邪魔したわけです。この、おばさんとは、映画評論仲間で、大抵、知識の応酬になり最後は、お互いに自己満足で終わるという仲です。(笑)ポテチやコーラを買い込んで乗り込んでいきました。
おばさんは、韓国関係のドラマや映画には、私は、強いと知っているので、私は、余裕でソファーに腰を下ろし、「どこからでもかかってきなさい。なんでも、説明してあげますよ」と思い、私は、おばさんの家の子犬(私になついている)を抱きながら、余裕をこいて、笑顔をかましたわけですが、おばさんが借りてきたDVDは、なんと、「グエムル-漢江の怪物」だったわけです。
韓国映画で、怪物があるとは聞いていましたが、これは、まだ見ていなかったので、おもわず、前傾姿勢になって見入ってしまいました。
ハッキリいって、この怪物自体は、ハリウッド製のようですが、非常に醜く、不恰好です。日本の怪獣などは、どこか愛嬌があったり、米国ものは、醜さにも洗練さがどこかにありますが、この韓国性の怪物は、あまりにも不恰好で醜く、しかしながら技術はハリウッド的なので、なんともいえない新感覚です。
しかし、このドラマは、メインは、怪物そのものでなく、家族をテーマにしている訳ですが、これが、根っからのコメディタッチなわけです。しかし、その根底に流れているのは強烈な社会的な体制批判であるわけで、非常に斜に構えた社会派批判ものに仕上がっています。とにかく、独創的というか、ごちゃまぜです。
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ちなみに「ごちゃ混ぜ」といえば、ビビンバを思い出します。私はビビンバが好きですが、米国在住の今でも、根っからの日本人です。日本人の本質は、調和です。しかも、その調和は、それぞれのものをうまく引き出す、それぞれを引き立てる調和だと思うのです。しかし、韓国の調和は、とにかく混ぜる、何でも混ぜるというのが好きなようです。私の妻は、料理が上手で、その点に関しては、ありがたく、うれしい点なのですが、とても干渉してくるわけです。
ビビンバを食べるときも、もっと混ぜろ、もっと混ぜろというわけです。
「そんなもん俺の勝手だろ」と言いたくなる訳です。
自分としては、色鮮やかな食材の一つ一つを確認して味わいたいわけです。
すでに妻のビビンバは、コチジャンで混ぜまくって、真っ赤にそまり、何がなんだかわからなくなっているのです。
それを笑顔で、ほおばるわけです。
ここに私は、超え切れない日本と韓国の大きな壁に直面するわけです。
「そこまで、混ぜるなよ」という私の葛藤です。
そこまでまぜたら美しくない、「美しい日本」ではないという葛藤です。
それぞれの立場をかき消すような混ぜ方はよくないと思うのです。
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と、ビビンバの話で、興奮してしまいましたが・・・
話を戻すと、この映画は、結論的には、混ぜすぎです。(笑)
しかし、混ぜ方が半端ではないので、わかる人にはわかるがわからない人にはわからないカルト映画になっているわけです。そうマニアに受けそうな仕上がりなのです。コテコテのコチジャン塗りつぶしなんです。(笑)そういう部分が、米国では逆に独創的と、面白がられているのかも知れません。
あらすじは、こんな感じです。
ある日、巨大な怪物が現れ、貧しい家庭の一人娘をパクリと飲み込んで、漢江に戻っていきました。それを、直面した父親は、悲しみにくれ、警察に依頼しますが、一向に進まないので、結論として家族が娘を助けるために団結するというシナリオですが、全編にわたり、コメディ路線とシリアス路線が交差して行きますので、わからない人には全くわからない、まじめな性格の人には、とてもついていけない、とても不愉快な世界と感じるかも知れません。
しかし、この根底には環境問題に対するメッセージが隠されて、でかくなった怪物は、環境問題のためであり、人間の「身から出た錆」というのが本当の意味でのメッセージであり、表向きには怪物映画、しかし、それは、家族愛のコメディ映画、でもその根底には、環境問題、強烈な体制批判があるというような3重構造になっているかのようにも見えてしまいます。
ある意味で、やりすぎくんですが、マニアにとっては、たまらないでしょう。
さて、妻の裁定は・・・
よくわからなくて怒っていました。。。(笑)・・・・・同じ事をビビンバでやってんじゃん。
★ひとつ。
さて、ハリウッドおばさんの裁定は・・・・
ノーコメントでした。。。・・・・・選択ミスと責任を感じたようです。(笑)
では、私の裁定は・・・・
★★★★☆
まー、よくこんなもの作ったな、さすが韓国人だという意味で、4つ(笑)
結末は痛い社会批判です。ハッピーエンドですが・・・・
2006年に日本でもキャンペーンを組んでいたようですね。
http://blog.livedoor.jp/guemuru/
グエムル-漢江の怪物- スタンダード・エディション | |
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