只今午前9時30分。
このホテルのチェックアウト時間は11時だが、
レンタカーを返して飛行機の出発時間を考えて、
午前10時20分にここを出る事に決めた。
それまでの間、
この二日間に起こった事を、
書いておこうと思う。
(後に三日目の事件も加えた。)
毎回書いているが、
何事もなく日々を過ごせない私の人生は、
今回も事件をちゃんと起こしてくれた。
二日前の夜、
大学のアクティビティの後、
ケンタは寮に戻らず母に着いて帰り、
ホテルに泊まるかどうか、
ケンタと長い言い争いをした。
私が大学関係者に聞くと、
新入生は寮に戻らなければいけないと言っていた。
でもケンタにホテルへは来れないと言っても、
一緒にホテルへ行くと聞かなかった。
理由は単純。
ふかふかなベッドで寝て、
おいしい朝ご飯を食べたかったからだ。
ちなみに、
朝の御用はたっぷり時間を取る人だしね。
これから旅立って成長していかなければいけないのに、
最初から何を甘い事を言ってんだと、
私はホテルに来る事を猛反対。
結局は寮に戻ったが、
ホテルの朝食を持ってきてくれと注文がきた。
息子にどうも甘い私は、
持って行っちゃうんだよね。^^;
午前7時からレジストレーションの予定だったケンタを、
6時に電話で起こした。
午前6時半から開くホテルのレストランで、
彼の好きなワッフルを焼き、(バフェ形式)
ホテルを出る直前6時43分にまた電話をする。
実はこの時に、
ケンタはやっと起きたのだった。
私が寮の駐車場に着いたのが午前6時50分。
ケンタが外に出てきたのが53分。
とりあえず朝食を寮の部屋へ持って行き、
車で所定の建物の近くまで送り届けたのが6時58分だった。
まったく初日からせわしいヤツだ。
こんなことでやっていけるのか。
残念な事に、
母の心配は決してなくならない気がする。
ま、ここまでは事件もなく順調だった。
二日目のオリエンテーションが終わった後、
ファイナンシャルエイド(奨学金など学費援助)のオフィスに行くため、
その近くの道路に車を駐車した。
オフィスに向かいながらケンタに電話すると、
もうすでに話し合いは済んだということで、
途中二人は落ち合い、
構内のコンピューターショップに向かった。
必要な物をそこで注文し、
車まで戻るとなんと、
一枚の紙がワイパーに挟んであった。
「パーキング・チケット・・・!?」
なんと私は駐車違反をしたらしい。
道路の両端にはたくさんの車が駐車していて、
車ごとにパーキングメーターらしきものはなく、
「P」と表示してあるポールが立っているだけ。
だから駐車してよい場所と思っていたのだ。

じつはこれ⬆がパーキングメーターだったらしく、
歩行者側から見ると小さな窓があって、
そこから現金またはカードで、
駐車料金を払うようになっている・・・と思う。
実はよく見ていないからわからないんだけど。
おかげで罰金20ドル払うはめになってしまった。
もらったチケットの後ろには、
マニーオーダー(為替小切手)か現金で、
郵送か市役所に行って支払えと書いてある。
現金を持っていない私は、
銀行を探すためケンタと喧嘩しながら、
街の中をウロウロしたが、
結局見つける事ができなかった。
こんな遠くまで来ているのだから、
ここでの問題はどうしてもかたずけておきたくて、
何とかなるさと言う思いで市役所へ行く。
そうしたら何て事無い、
クレジットカードで支払いが簡単にできた。
最初っから書いておいてほしいよね。
(ここから家に帰って続きを書く。)
この日のもう一つの事件。
レンタカーが新しい車種だから、
タイヤの空気圧がパネルに表示される。
三日目の朝に左前のタイヤの空気が少ないと出た。
大した減りようではなかったから気にはしなかった。
十数年もボロボロの車に乗り馴れているから、
少々ランプが点いていても
気にしなくなってしまっている私。
でもそれが問題だったのだ。
昼過ぎにケンタがホテルで休息したいと言うんで、
連れて帰った時にまた少し減っていた。
夕方の最後のイベントが終わり、
ホテルに帰って来た時には、
タイヤの空気が思いっきり減っていたのだ。
ここでやっと危機感を感じる。(遅過ぎだよね。^^;)
レンタカーのカスタマーサービスへ電話すると、
ロードサイドサービスに加入してないから、
自分達は何もできないと言ってきた。
自分でスペアタイアに換えるか、
タイヤに空気を入れただけで車を返すか、
はたまたお店に行ってタイヤを修理、
又は新しいタイヤと交換しろと言うのだ。
領収書を持って行けば返金してくれると言うが、
こんな初めて来た街で、
こんな事になろうとは・・・。
ホテルで何か情報を得ようと試みたが、
誰も何も助けてくれなかった。
その後ネットでタイヤショップを見つけようにも、
午後7時を回っているから、
すべて閉まっていた。
仕方ないから応急処置でガソリンスタンドへ。
オイルチェック、タイヤ交換など、
自分でできる車点検に慣れている私は、
タイヤの空気注ぎなどは朝飯前。
ガソリンスタンドへ行くと、
姿はバイカーらしき装いだけど、
ぽっちゃりおじいさんが二人、
建物の前のコンクリートの上に座っていた。
そこにちょうどエアポンプがあったので、
私が車を近くに停めたそうにすると動いてくれた。
車を降りるとおじいさん達が近寄ってきて、
「かわいいお嬢さんのために、
私が代わりに空気を入れてあげるよ。」と、
さっさと済ませてくれたのだ。
ま、彼らからすれば私でも若く見えたのだろう。
でもこういうところが田舎である。
良い所だなぁ。
少し気分が良くなった。
それでもホテルに帰って一人でいると、
すごーく寂しくなってきてしまった。
最後の夜だからケンタはホテルに泊まると言っていたのに、
その日はルームメイトが入室してきて、
そのまま寮にいるとメールが来た。
そんなもんなのよね。
最後にゆっくり話しでもしようと思っていたのに。
ホント、息子ってつれない・・・。
罰金は払うし、
タイヤはパンクするし。
なんて考えてると泣けてきた。
が・・・!
ここでハイパーになる出来事が。
マサキのコーチからの電話で、
私は一気に幸せの頂点へ。
(詳しくは「息子のテニスな日々」へ)
おかげで最後の夜を気分よく寝れた事は、
本当に感謝なことだった。
翌朝早速タイヤ空気圧チェック。
まだ充分に空気は入っていたが、
帰りは高速道路を走らなければいけなかったので、
朝食後にタイアショップへ開店と同時に入る。
午前8時。
そこは朝から忙しそうだった。
11時頃までに空港へ行かなければならなかったし、
少しでもケンタに会いに行きたかったから、
時間の余裕は殆どない。
どれくらいかかるかと尋ねると、
既に数台ある車の修理に早くやっても45分はかかると言う。
その会話の間にもどんどん客が入って来ていた。
店の人に「レンタカーで今朝返さなければいけない」と言うと、
「空気を入れただけで返せばいい。」と言われる。
「でもそんな状態で高速を15分以上も走るのは怖い。」と言うと、
その人は無言でコンピューターに向かって作業をしだした。
「何とか君の車のタイヤ修理を先に持ってくるよ。」
全て終わったのは午前8時27分。
タイヤには釘が刺さっていたらしく、
その穴を塞いだだけの修理だったが、
それでも思っていたよりは早かった。
それより何より、
「払わなくていいよ。」と言われ、
なんとお代はタダだったのだ。
・・・何て良い街なんだ・・・。
ケンタに会いに行った後、
晴天の清々しい朝に、
古く美しい街を眺めながら、
帰路に就いた。
少し寂しさは残るが、
それでも心軽やかに高速道路に入り、
iPhoneで地図を確認しながら運転する。
この街に来る時は簡単な道のりだった。
だが帰りをどう間違えたか、
空港へ着いたと思った道は、
そのまま出口もなく、
ぐるっと回って反対方向へ向かい出したのだ。
なんだ~!これは!
もちろんパニック!
何とか高速道路を降りて車を停め、
その時の現在地を確認する。
なんと空港までそこから20分もかかる所にいた。
レンタカーを返す時間も、
飛行機の時間もちょうど良いと思っていたのに。
右も左もわからない、
初めて訪れた街だ。
いきなり誰かに聞くのも怖いし、
車から降りる事も躊躇した。
もう一度地図を確かめ、
また高速道路に入っていった。
レンタカーは最低でも11時半までに返さなければならない。
それを過ぎると超過料金を取られる。
それ以上パニックになると怖いから、
時間の逆計算などせず、
それでもドキドキしながら、
知らない道を地図を頼りに走った。
そして空港への道路標識を見つけて、
やっと心を落ち着かせる事ができた。
それでも時間は迫っている。
レンタカーの返却場所に着いたのは、
午前11時28分だった。
ああ・・・、
やっと空港に着いた・・・。
ホッとした思いでチェックインを済ませ、
飛行機の搭乗口まで来ると、
その便に乗れないかもしれないと言われる。
実は私のチケットはバディパスといって、
席が空いていれば乗れるという、
格安チケットを購入していたのだ。
既に事件は起こりまくってたし、
次の便でもとにかく家に帰れれば良いし、
ここまでくればどうにかなるさ、
なんて思いながら、
最後の一人になるまで椅子に座っていた。
搭乗口のドアを閉める人が、
通路の中から出てきた。
そして航空会社の係の人が、
「満席だ。あなたが最後の一人だよ。」
と言って座席のチケットを渡してくれた。
飛行機に乗り込み、
最後に残った一つのシートに座り、
深いため息をつく。
家に帰って自分のベッドに横たわりたい・・・。
もう少しだわ。
そんな思いで静かに目を閉じたのだった。
しかーーーーーし!
何事もすんなりいかないぽーの日常は、
数々起こった事件の上に、
更にトドメのぽーの日常らしい事件があったのだ。
アトランタ上空は大きな雲に覆われ、
着陸するまではジェットコースター気分。
機体の揺れも豪雨の音も、
乗客の心を不安にさせた。
でもこんな事は事件のうちには入らないぽーの日常。
その事件は到着後に発生した。
しかし実はそのことは、
家を出た直後に既に発生していたのだ。
ぽーの事件簿には、
毎度出てくる「忘れ物」。
忘れ物一家の我が家は、
このことがなくなると事件が半分に減るくらい、
皆が忘れ物王者なのである。
なんていばってる場合ではない。
何を忘れたかと言うと、
「家の鍵」。ーー;
これがないとベッドに横たわれないし、
車はガレージの中だから、
マサキも迎えに行けない。
コーチにはテニスレッスンに連れて行くと約束したし。
とにかく家に入れないじゃんか!
と、自分で自分を責めまくった事は言うまでもない。
娘はこの日、
大学の授業で帰りは午後10時になると言っていた。
仕方なく友達に救援を頼む。
迎えにきてくれる予定だった友達には、
事情を話して断り、
それから私を家に預かってくれる友達の夫が、
空港まで迎えにきてくれた。
マサキは他の友達が迎えに行き、
私がいるところまで連れてきてくれた。
もちろんそこで美味しい食事を頂き、
私のせいで集まってしまった友達と三人で、
娘が迎えに来る午後10時まで久々の大しゃべり。
それはそれですごく楽しかったが、
家へ帰ると速攻で爆睡状態。
この老体はリミットを超えていたんだろうね。
ま、終わり良ければすべて良し。
事件多きぽーの人生は、
楽天家で能天気なため、
必ず最後は強制ハッピーエンド。
さぁ、次なる事件はなんぞや・・・。
トロイの出来事<感動編>へ続く。^^