先日のキャサリン・ジェイミーさんのツイッターに、若い詩人に贈られる、エドウィン・モーガン賞が紹介されていたのですが、恥ずかしながら、詩人のエドウィン・モーガンさんについては全く知識がありませんでした。ただし、スコットランドではかなり知られた詩人のようです。

 

エドウィン・モーガンさんについてはこちらをご覧ください。

 

 

 

ここでは、彼の詩の中から、漫画になっている、水星に降りた最初の人類を、見てみたいと思います。

 

The First Men on Mercury  (水星に降りた最初の人類)

                                  by Edwin Morgan

 

-We come in peace from the third planet.

Would you take us to your leader?

 

我々は第三の惑星から友好を求めてきました。

貴君たちの指導者に合わせていただけませんか。

 

-Bawr stretter! Bawr. Bawr. Stretterhawl?

バウル ストレッター!バウル、バウル、ストレッターハウル?

 

-This is a little plastic model

of the solar system, with working parts.

You are here and we are there and we

are now here with you, is this clear?

 

これは小さなプラスチックの動作部分のついた

太陽系の模型です。

貴君たちはここで、我々はこちらです。

そして、我々は今貴君たちと共にここにいます。お分かりですか。

 

-Gawr horrop. Bawr Abawrhannahanna!

 

グワル、ホロップ。バウル アバウルハナハナ!

 

-Where we come from is blue and white

with brown, you see we call the brown

here 'land', the blue is  'sea', and the white

is 'clouds' over land and sea, we live

on the surface of the brown land,

all round is sea and clouds. We are 'men'

Men come -

 

我々は青と白が混ざって見え、茶色の部分もある惑星から来ました。

茶色は陸で、青は海、そして白は海と陸の上に

浮かぶ雲のことですが、お分かりでしょうか。

我々は茶色の陸の表面に住んでいます。

周りは海と雲に覆われています。

我々は人類です。人類が来ています。

 

-Glawp men! Gawrbenner menko. Menhawl?

 

グラップ 人類、ガウルベンナー メンコ メンハウル?

 

-Men come in peace from the third planet

Which we call 'earth', We are earthmen.

Take us earthmen to your leader.

 

人類は友好を求めて第三の惑星からきました。

我々はその惑星を地球と呼んでいます、我々は地球人です。

我々地球人を貴君たちの指導者に合わせてください。

 

-Thmen? Thmem? Bawr, Bawrhossop.

Yuleeda tan hanna. Harrabost yuleeda.

 

ザメン?ザメン?バウル、バウルホソップ

ユリーダ タン ハナ. ハラボスト ユリーダ

 

-I am the yuleeda.You see my hands,

we carry no benner, we come in peace.

The spaceways are all stretterhawn.

 

私はユリーダです。私の手を見てください。

一つもベンナーを持っていません。我々は友好にきました。

宇宙は全てストレッターホーンです。

 

-Glawn peacemen all horrabhanna tantko!

Tan come at'mastrossop. Glawp yuleeda!

 

グラウン ピースメン オール ホラブハンナ タントコ!

タン カム アトマストロソップ。グラウプ ユリーダ!

 

-Atoms are peacegawl in our harrban.

Menbat worrabost from tan hannahanna.

 

アトムスは我々のハールバンではピースガウルです。

メンバット ウオラボスト タン ハナハナから

 

-You men we know bawrhossoptant. Bawr.

We know yuleeda. Go strawg backspetter quick.

 

人類よ我等はバウルホソップタントを知っている。バウル。

我等はユリーダを知っている。直ぐにバックスペッターにストラウグ行きなさい。

 

-We cantantabawr, tantingko backspetter now!

 

我々はカンタンタバウル、タンティンゴ バックスペッター 今!

 

-Banghapper now! Yes, third planet back.

Yuleeda will go back blue, white, brown

nowhanna! There is no more talk.

 

バングハッパー 今!そうだ、第三の惑星に戻れ

ユリーダは青く、白く、茶色の地球に戻りなさい

ナウハンナ!もう話すことは無い。

 

-Gawl han fasthapper?

 

ガウル ハン ファストハッパー?

 

-No, You must go back to your planet.

Go back in peace, take what you have gained

but quickly.

 

いいえ、君達は君達の惑星に戻らねばならない。

平和裏に戻りなさい。君達が得たものを抱いて

直ちに

 

-Stretterworra gawl,gawl...

 

ストレッターウオラ ガウル ガウル...

 

-Of course, but nothing is ever the same,

now is it? You'll remember Mercury.

 

確かに、だが今や何事も全く同じものは無いんですよ。

君達は水星を忘れずにいることでしょう。

 

                       (日本語はあくまで私訳です)

 

 

*youtubeにコミックの動画がありますので、あげておきます。

 

 

*この詩は、侵略者(=地球人)と被侵略者(=水星人)の関係、そこにおける言語の存在を浮き彫りにしています。この関係に「イギリスとその一部に組み込まれたスコットランド」、「スコットランドも含めた大英帝国と、彼らに征服されたアフリカ・アジアの国々」を、重ね合わせることもできるでしょう。モーガンのこの詩に込めた思いが読み取れるのです。

                 (東京大学教授 中尾まさみ 先生の解説から)