ロバート・ヘリック(Robert Herrick 1591-1674)は以前に 乙女たちよ、時を楽しめ (To the Viesins,to Make Much of Time!) を取り上げましたが、

今回は 水仙に(To Daffodills) を紹介したいと思います。

ただし、その前にこれらの詩が掲載されている詩集 Hesperides について少し解説が必要と思います。

この詩集は1648年に出版されました。正編は1130編の世俗詩、それと272編の宗教詩からなっています。

Hesperidesの題名はギリシャ神話に拠っています。主神ゼウスの妻ヘラに贈られたという黄金の林檎が実る園を守った四人の姉妹のニンフたちの総称が Hesperides で、それがリンゴ園そのものの呼び名にもなりました。

しかも、園のある場所が世界の西の果てと考えられていたところから、ヘリックはロンドンから都落ちしたデヴォン州という西の国で作った詩を収めたので、その標題にしたと思われます。勿論、壮年期に暮らしたロンドンの作品も含まれています。

ところで、その最初の詩の no1 に The Argument Of his Book という詩でこの詩集の内容を語っています。まず、その詩から見てみましょう。

 

     The Argument of his Book

 

I sing of Brooks, of Blossames, Birds, and Bowers:

Of April, May, of June,and July-Flowers.

I sing of May-poles, Hock-carts,Wassails,Wakes,

Of Bride-grooms, Brides, and of their Bridall-cakes.

I write of Youth,of Love,and have Accesse

By these, to sing of cleanly-Wantonnesse.

I sing of Dewes, of Rains, and piece by piece

Of Balme, of Oyle, of Spice,and Amber-Greece.

I sing of Times trans-shifting; and I write

How Roses first came Red, and Lilies White.

I write of Groves,of Twilights, and I sing

The Court of Mab, and of the Fairie-King.

I write of Hell; I sing  (and ever shall)

Of Heaven, and hope to have it after all.

 

      彼の本の梗概

 

私は歌う、小川を、花を、鳥を、そして、あずまやを

四月を、五月を、六月を、そして、七月の花を

私は歌う、五月祭を、収穫の荷車を、クリスマスの酒宴を、教区祭を

花婿のこと、花嫁のこと、そして、結婚式のケーキのことを

私は書く、若さを、愛を、そして、それは清廉な交際を歌うため

私は歌う、露の雫を、雨を、そして、少しずつ

香油を、油を、香辛料を、そして、龍涎香を

私は歌う、移り変わる時々を、そして、私は書く

どれ程速くバラは赤くなり、ユリは白くなるかを

私は書く、森を、たそがれを、そして、私は歌う

妖精の女王と、そして、妖精の王の宮殿を

私は書く、地獄を、私は歌う、天国を

そして、(これからも、ずっと)書き、歌い続けたい

                      (日本語は意訳しています)

朗読をあげておきます。

 

 

 

水仙に (To Daffodills) は次回にゆずります。