英語では、満月に各月ごとに、名前を付けていて
5月は Flower Moon(フラワームーン) というそうです。
一昨日の満月はその光輝きが素晴らしく、魅了されました。
英語の月の名はこちらをご覧ください。
https://www.junglecity.com/enjoy/enjoy-more/names-of-full-moon/
そんな訳でここでは月に因んだ詩を取り上げてみました。
Percy Bysshe Shelley (パーシー・ビッシュ・シェリー 1792.8.4 - 1821.2.23 ) の
The Waning Moon (欠けゆく月)です。
この詩は、名探偵ポアロシリーズの中の、ヒッコリー・ロードの殺人 の中で
留学生サリーフィンチの正体を見破る場面で使われていました。
彼女は、自分では詩人キーツの専門家であると豪語していたのですが、ポアロはこの
The Waning Moon の一節を口ずさみます。彼女はポアロに同調し、キーツの詩は素晴らしいと言ってしまいます。ところが、この詩は実はシェリーの詩だったのです。
これで、彼女が、キーツの専門家でないことをポアロは見破ったのでした。
キーツとシェリーの詩は、ローマの休日の中にも出て来て、一般に紛らわしいところがあるようです。(機会があればこちらもブログに載せてみたいと思います)
さて、それでは The waning Moon の詩を見てみましょう。
The Waning Moon
And like a dying lady, lean and pale,
Who totters forth, wrapped in a gauzy veil,
Out of her chamber, led by the insane
And feeble wanderings of her fading brain,
The moon arose up in the murky east,
A white and shapeless mast.
欠けゆく月
そして、死期が迫る、痩せて青白き貴婦人が
前によろめきながら、薄絹のベールをまとい
狂気と失われつつある意識の微かな乱れに導かれて
小部屋から這い出るように
月は雲に覆われた薄暮の東の空から立ち上がった
一つの白い、形のない帆柱のように
(日本語は意訳です)
この詩は満月の輝きとはまるで正反対に、時代の何かを月になぞらえて、それが崩壊していくことを象徴しているかのようです。
なお、シェリーにはもう一つ To the Moon (月に)という詩があります。
これらの詩はいずれも、シェリーの死後、断片的に発見されたもので、創作前後のことはよくわかっていません。