神社の怪異はあなどれない | のろ猫プーデルのひゃっぺん飯  おかわりっ!!

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飛びすさって行くような毎日の覚え書き。
私はここにいます、の印。

相変わらず夜な夜なyoutubeを見ている。
そろそろ外国の大騒ぎ系幽霊にも飽きてきたので、最近はもっぱら日本のしっとり系心霊動画を見ている。しっとり系心霊動画の多くが肝試し番組だ。
私は昔から肝試しに憧れて(?)いるのだが、私のまわりで同じ熱量で幽霊に関心(心霊スケベ心と言った方がいいかもしれない)を持っているのは母ぐらいしかいない。母が若かったらなぁ。せめて私と同い年だったらなぁ。
「行く?」
「行くか?」
「ウヒウヒウヒヒ」
そうして出かけてひどい目にあう。叱られて、呆れられて、しかしエッセイのネタ一本いただき、このパターンだ。
けれど今はそんなもの好き、周りにいないのでyoutubeを見る。
前々から知りたかった「いわくつきの場所ってどんなとこなんだろう。夜中に行ったら何が起きるんだろう」をyoutuberが身をもって教えてくれる。
ありがたい時代です。
 
「肝試し」動画ははっきりと霊現象と断言できない曖昧なものが多い。コメント欄に「3.12あたりで黒い影が見えますよね」というので確認してみると、「確かにあるね」といった具合だ。撮影者が歩いているとその人とは別の足音が聞こえる、とか、動画に誰のものかわからない声が混じっていたとかいうのが多くて、そういえば北海道の別荘でも似たようなことがしょっちゅうあった。
人霊の起こす現象のパターンは似ている。
意外性に満ちているのは神社などで起きる現象で、おそらくは眷属や妖魔の類が引き起こしているのだろうと思う。怖いというより恐ろしい。怖いは恐怖だけだが、恐ろしいは畏怖の念が込められている。彼らの起こす現象の中に
「そこらへんの霊と一緒にするなよ」
という気迫を感じる。
 
私が最近気に入っている番組「ゾゾゾ」は肝試し系番組だが、数ある肝試しの中でもきわめて興味深い一本があったので紹介しようと思います。
またまた下に貼っておくのでよかったら見て下さい。
私は恐怖よりも畏怖の方が先に立つ(感動すらある)のだけど、それは私が心霊慣れしたお化け屋敷の住人だからかもしれない。
 
彼らが訪れたのは愛知県豊橋市にある「浅間神社」。東海一有名な心霊スポットだ。なんでも昔、山賊が旅人を襲っては切り落とした首を神社の階段に並べていたとかで「首狩り神社」の異名もある。
お社は足浅間と腹浅間、頭浅間の三社でこの三社三神で「浅間神社」となっている。
最初にあるのは足浅間で270段の階段の先にある。そこから三分ほどで腹浅間、腹浅間から頭浅間までは木の根が這うキツイ登りを50分ほども歩かなければならない。健脚でなければ無理のようだ。
 
ゾゾゾメンバーは一等奥の頭浅間まで登って怪異に出会った。
山奥からかーんかーんという説明の難しい音が近づいてきたのだ。牛の刻参りの釘打つ音とも拍子木とも違う、独特の乾いた音で例えようがない。単純なのにイメージがわかないからゾッとする。
人霊のたてる音はわかりやすい。声だったりドアの閉まる音だったり、聞き覚えがある。
VTRは短く編集してあるものの、きっと彼らは悪路を命からがら転がるように降りてきたに違いない。
何者がたてる音なのか、なんでこんな音を立てるのか、興味をひかれた私は改めて浅間神社を調べてみることにした。
浅間神社は日本にいくつもある。総本宮は富士山本宮浅間神社だ。
この豊橋の浅間神社は奈良時代にその総本山から勧請された。
なぜ頭と腹と足の三つの社によって成り立っているのかは謎だが、その三社ともご祭神は山の神様だ。
足浅間が秋津姫命(アキツヒメノミコト)
腹浅間が木花之佐久夜毘売命(コノハナサクヤビメノミコト)
頭浅間が大山祇命(オオヤマズミノミコト)
心霊マニアの間で一番怖いのは頭浅間と言われているが、頭浅間の大山祇命は「大いなる山の神」の意味を持つ。その山の神の子であるコノハナサクヤビメは花咲く木々を表し、アキツヒメは穢れを流す水門の神だ。だとすればこの神社はこのまま大いなる自然そのものではないか。怖いはずだ。人を殺した山賊の業も、殺された旅人の無念も自然の力は飲み込んでしまう。廃旅館で聞こえてくる足音なんかとは比べ物にならない力強さがそこにはある。
 
若い頃、よく岩手に行った。宮沢賢治の童話に出てくる場所を訪ね歩いたのだ。ある時、「どんぐりと山猫」に出てくる笛吹きの滝を探して早池峰山に行った。バスを降りてしばらく行くと早池峰神社があったので「お山に入ることをお許しください」とお参りした。
その時、厳しい神様だなぁ、と感じた。私をじっと見定めている気配がして、気を引き締めた。ご祭神は瀬織津姫命(セオリツヒメのミコト)。アキツヒメと同じく穢れを祓う神であり、水の神様だ。天照大神の荒魂(アラミタマ)でもある。神様には荒々しい側面(荒魂・アラミタマ)と柔和な側面(和魂・ニギミタマ)があり、早池峰神社のご祭神は天照大神の荒々しい側面でもあるのだ。
 
ちなみに浅間神社は廃神社ではないようだ。
七月の末にはお祭りもあって、氏子の皆さんが紅白の幕をはってお祝いしている。ネットには参拝者が長い長い階段を上がってお参りしている写真もあった。そこに写っている神社は木漏れ日を浴びて素朴な、のほほんとした表情を見せていた。
神様が荒魂、和魂どちらの側面をお見せになるかは、訪れた者のありようにかかっている。
 
 
 

ゾゾゾの皆さんにはこれからも頑張ってほしいと思う。

私は心底応援するよ。