- ニコラス フレイザー, マリサ ナヴァーロ, Nicholas Fraser, Marysa Navarro, 阿尾 正子
- 聖女伝説 エビータ
- ☆☆☆☆
本には、一気に読みたい本と、じっくり読みたい本があるが
これは後者だと思う。
私には珍しく、毎日少しづつ読んで、2週間以上もかかってしまった。
でもだからこそ、当時の時代みたいなものを、日常に重ねて感じることができた気がする。
「エビ-タ」はマドンナが映画で主演したことで話題になり、その人物を知った。
マドンナが主演するということに対して、エビ-タを聖女と崇める人々からの強い反発があったのだ。
何も知らないながらも、映画はよくできていたと思う。
サウンドトラックが好きで、歌から、とてもとても強い女性のイメージをもっていた。
この本は、彼女の人生を丁寧な調査と、偏りのない立場から描いた力作である。
アルゼンチンの貧しい人からは「聖女」と慕われ、裕福な人々からは「娼婦」と蔑まれた。
どちらもエビ-タの一面であり、激動の時代背景が彼女を作り上げた。
映画ではあまり分からなかったのだが、ペロンの指導するアルゼンチンは
まさに独裁政治であった。反対するもの、意見するものを徹底的に粛清し
イエスマンで周りを固めた。
だからこそ、一介の大統領夫人であるエビ-タに大きな政治的権限が与えられたのだ。
また、当時(1900年代半ば)のアルゼンチンは豊富な地下資源があり
ヨーロッパと比較しても裕福な国であったという。今の破産状態の国とはちょっと背景が違う。
でも国内での貧富の差は大きく、エビ-タが与える貧しい人たちへの物資供給政策が
彼女を「聖女」へと祭り上げた。
でも本書によると、謁見にきた貧しい人に「家と家具とお金」を与えるなど
その物資供給の方法には疑問もわく。
いろいろ書いたが、地球の裏側で起きていたドラマを知るには
非常に印象的な本だと思う。