- 角田 光代
- 空中庭園
- ☆☆
表面的には「隠し事のない」仲の良い家族。でも影では
父は2人の愛人をもち(しかも一人は息子の家庭教師)
母は祖母との間に葛藤をかかえ
娘は生を受けたラブホテル「野猿」へ行き
息子は万引き
それぞれ秘密や悩みをかかえつつ生きている。
その家族の抱える「暗さ」が、表面的な「明るさ」ゆえに
浮き上がる。
レンブラントの絵画を逆にしたみたいだ。
そして、この家族を立方体としたら
祖母や父の浮気相手の2人を加えた6面から
描かれることにより、鮮やかになる。
それはグチャグチャになったルービックキューブみたいだ。
でも結局、もっと深いところで家族という絆でつながっている。
最後には完成されたルービックキューブが遠くの空に小さく
見えてくるような感じがする。
家族って結局そういうものなのかもしれない。
でも私は家族が欲しくなった。
蛇足だが、この本、男性へのコメントが痛快である。
「阿呆すぎる。いや、でも、だから、あたしはこの男とつきあっているのだ。中身がないから。空のコップだから。自分から、何も選びとろうとしないから。面倒だという理由だけで、なんでもかんでも、いさぎよく手放すから。」
「この男は透明のコップみたいなもので、表面にどんな細工をしても中身はすべて透けて見える。(略)すぐさまあたしとエッチできると算段してやにさがっているコップ男」
(愛人の「父」へのコメント)