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ポコペン映画館

極々私的偏見きまぐれ映画感想


ポコペン映画館-team



 2008年   120min


監督 : 中村義洋
原作 : 海堂尊
脚本 : 斉藤ひろし 蒔田光治
出演 : 竹内結子  阿部寛  吉川晃司




原作のある映画の場合、読んでから観るか

観てから読むか、結構ムツカシイ問題。



たまたま読んだ小説が、映画になる場合はともかく

未読の場合は、できるだけ読まないで観たい。



それと、映画と原作(小説とかコミック)は別モノ、って考えたい。

書式とかルールが違うものを、一概には比べられないでしょ。



で、今回は原作を読んでた。

なかなかおもしろい小説だった。



で、映画を観てみると・・・・・なんだ、こりゃ?


ミステリーとかサスペンスの方法論、分かってんのかな?
「犯人は誰でしょう?」ってハナシを引っ張るんだから
その犯人はとても大切でしょ。


となれば動機も。
やたら方法論ばっかりで、肝心のwhoとwhyが曖昧。


しかもその前に桐生の秘密があばかれるシークエンスが入ってるせいで
肝心の犯人探しが盛り上がらんよ。


ラスト付近の山場を二回作る、ってのがどれほど難しいことか
分かってんのかな。


あんな無神経に無造作に作る神経を疑う。

原作通り、ってのを貫くんだったら、映画の作法に則って

やらなきゃダメでしょ。

映画と小説は違うんだから。

ちょっとした編集の仕方を変えるだけでも、随分違ったイメージに

なったはずだと思うけどね。



それからくっだらないミニコントばっかり散りばめてお茶を濁してんじゃないよ。
矢口史靖の映画じゃあるまいし。

笑えないコメディシークエンスを見せられるほど、苦痛なことはない。



但し、田口と白鳥の掛け合いは、この作品の特徴でもあるから
もっと多くして、もっとハチャメチャでもいいと思う。足りないくらい。
そうすれば、その対比として天才桐生のクールさも引き立つんだろうし。
とにかく映画的意味合いでの、バランス悪すぎ。



演技力のない吉川に演技させてどうする。
少しはバランスを考えろって。
ヘタがバレバレじゃん、あれじゃ。
佇まいとか雰囲気はとてもいいのに、あれじゃ吉川がかわいそうだ。



田口は原作では男性だったのを、女性にするのはいいと思う。
竹内結子でもいいと思う。


だけど、キャラ固まってない。
天然なのか、鈍感なのか、ただのバカなのか、まるっきりワカラン。


最初は演技プランが間違ってるのかと思ったけど
ただのキャラの作り込み不足。ハナシにならん。

だから白鳥役の阿部寛が、いまひとつ弾けてない。

悪影響以外のなにものでもない。



サスペンスでもミステリーでもコメディでもない
とても中途半端な作品。

バランス、メチャクチャ。

だからすごくつまらない。

よくこんなので、続編作る気になったもんだ。











ポコペン映画館-jyouiuti



1967年  128min




監督:小林正樹

脚本:橋本忍

原作:滝口康彦

出演:三船敏郎

    加藤剛

    司葉子

    仲代達也




会津の下級藩士・伊三郎は婿養子。ガマンガマンの二十年。

息子の結婚を心待ちにしている。

そんな時「殿の側室を息子の妻として拝領せよ」と押し付けられ、不承不承受ける。

しかし元側室・いちはよくできた妻で、息子・与五郎と愛を育み、一子をもうける。

やがていちは、お世継ぎの母として再び大奥へ戻れと命ぜられる。

それまで黙して語らなかった伊三郎は、お上のあまりの理不尽さに

息子とともに、お上に反旗を翻すのだが・・・・・・。




今も昔も、お上のやることはエゲつないなぁ。



これだけ見事な構成とセリフは、その《理不尽さ》をこれでもか、これでもかと描く。

婿養子の伊三郎(三船)のその境遇からくる忍耐強さと

その妻のイヤ~な女加減は絶妙。

だから前半の耐え忍ぶ姿により一層思い入れできる。



また、仲代達也のキャラ設定もいい。

ストーリーの語り部であり、伊三郎の理解者でもあるから

ラストの対決シーンが生きてくる。



ただ、そのラストの対決シーンは、やや冗長気味。

悪く言うとクドい。もう少し短くても充分伝わると思う。



いち(司葉子)のキャラ設定も素晴しい。

なぜ男の子を産んだのに、大奥から追い出されたのか。

なぜまた呼び戻されるのか。

そこがいい加減でないから、ハナシが前へ進む。



お上の理不尽な仕打ちに振り回される不器用な三人。

(伊三郎と与五郎といち)

直球勝負、と言える見事な構成とセリフ。

そしてモノクロの引き締まった映像。

シンメトリーで、キューブリックよりセンシティヴかも。



ケン・ローチとはまた違った切り口で

体制とか権力者の理不尽を、見事に描いて

映画として成立させている。

ラストはやや冗長気味だけど、それ以外は文句ない映画。



とてもいい映画です。






ポコペン映画館-itsafreeworld



it's a free world... 2007年 96min イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン




監督:ケン・ローチ

脚本:ポール・ラヴィーティ

出演:カーストン・ウェアリング

    ジュリエット・エリス

    レズワフ・ジュリック




シングルマザーのアンジーは、人材派遣会社を理不尽な理由で解雇され

友人とふたりで、新たに人材派遣会社を立ち上げる。

しかし、必死に真剣になればなるほど、危ない領域へ入っていってしまい

やがて彼女は一線を越えてしまう。



ケン・ローチのいつもの作品の通り、複雑な社会事情と

そのしわ寄せをモロに被ってしまう、イギリスの労働者階級を舞台に

移民事情や不法入国などをテーマに扱う。



ケン・ローチの作品を観てると、いつも胸が痛くなる。

生きてゆくことの、なんとしんどいことか、と。



この作品もそうだ。

シングルマザーのアンジーの必死さも、ある種のいいかげんさも

決して特殊なものではない。

しかし、必死に頑張っていくうちに、彼女がされてきてイヤだったはずのことを

彼女がしてしまう側に回ってしまう。

お金のために。



より貧しき人々からの搾取。



「社会が悪いんだ」というのは簡単なこと。

その中でどう生きていくか。

アンジーは選択を常に迫られる。



アンジー「幸せになるために必死でやってるだけ。なにが悪いの」

父「お前と息子が幸せなら、ほかはどうなってもいいのか?」



ここに答えは、ない。



ケン・ローチも安易な答えなんて、用意しない。



だから、観てると胸が痛む。

自分だって何もできない、自分だってどうするかわかんない

ってことを感じて。



「お金じゃないよ」ってセリフを、こんなふうにキチンと描ける監督

今じゃすくないように思う。

たいていは薄っぺらな、ただの決まり文句みたいに使うから。



「お金じゃない」・・・・わかってるけど、アンジーは一線を越えてしまう。

当然超えたら超えたなりの、代償を支払うことになる。

ビジネスパートーナーにも去られ、殴られ蹴られ、息子を誘拐されて

脅迫もされる。



でも、アンジーは、尚前へ進む。



その行為の是非はともかく、そうするアンジーが切ない。



ケン・ローチって大好きな監督のひとり。

これだけ沢山撮ってて、ハズレのない監督ってのも珍しいと思う。



にしても、自分の国の名前にGREATってつける感覚ってどうなんだろう。

イギリスってヘンな国だなぁ、なんて愚にもつかないことを

つい思ってしまいました。






ポコペン映画館-manazashi



la giusta distanza 2007年  イタリア  108min



監督:カルロ・マッツァクラティ

出演:ジョヴァンニ・カボヴィッラ

   ヴァレンティーナ・ロドヴィーニ

   アメッド・ヘフィアン




この映画、何にも知らず、ジャケットの女優さんだけでチョイス。

タイトルも、ちょっと不思議だったし。



で、大正解。とてもいい映画だった。



出だしは「マレーナか?」って始まりかた。

寒村にやってきた若い女性代理教師。

それを見つめる村人たち。

その中の少年の目線で始まるから。



ただ、途中から少年はちょっとおいてけぼり。

代理教師と、車整備士との関係性が深まっていく。



勿論ただのラブストーリにはならない。

そこには人種差別などの、結構ディープなテーマが

横たわっている。



ただ、それだけに頼らず、キチンと人間を描いてるから

ハナシはブレない。



真面目一本の整備士と、どこか浮ついた自由奔放な女性教師

のコントラストもいい。

だから、ふたりの関係性が深まる時、一抹の不安を感じる。



で、やはり不安は的中し、悲劇的なふたりの結末・・・・

ってとこから、再び少年がメインになっていく。



彼の目線で、整備士と教師を見つめなおし

真実が露呈し始める。



う~ん、この展開は読めなかった。

いい意味で裏切られた。



とても魅力的な風景とカメラワークと

複雑な問題を孕みつつ進んでいく人間関係で

映画として、深みが増している。



そして、ジャケットの通り、女性教師を演じた女優さんは

とても魅力的だった。

彼女ありき、の映画のように感じた。



観てるとタイトルの意味も納得・・・・って訳ではないけど

的外れでもない。

邦題考えた人、結構しんどかったんじゃなかろうか。

ちょっと捻り過ぎ、かな。



決して手放しで絶賛する映画ではないけど

小粒な秀作、ってカンジかな。

いい映画です。








ポコペン映画館-minna



comme une image 2004年  111min フランス



監督・脚本:アニエス・ジャウィ

脚本:ジャン=ピエール・バクリ

出演:マルリー・ベリ

   ジャン=ピエール・バクリ

   アニエス・ジャウィ




タイトルからして「ちょっと胡散臭そうな映画だな」って思って

しばらく手に取らなかった。

なんだかヘンに今っぽくてね。



観てびっくり。すごくいい。

フランス映画の底力ってヤツを感じた。



有名な作家と、その父にコンプレックスを持つ娘。

このふたりを軸に、様々な人たちが交わってくる。



ぽっちゃり体型の娘は、新しく来た細身の若い母とも折り合いが悪い。

父は自分を嫌ってる、とも思ってる。

自分に近づいてくる人は、有名な作家の父に会うために

自分に近づいてくると思ってる。

だからいつもピリピリ、カリカリしてる。



被害妄想気味だけど、わかんなくもない。

「あの父親じゃねぇ」って同情しちゃう。



ただ、この父親、いい味出してるんだわ。



オープニングのシーンでは、態度の悪い運転手に

くってかかる父親なんだけど、ここでちょっと騙された。

と、言うことは、作り手の策にまんまとハマッたってことだ。

傲慢でいけ好かない男だと思ってた父親が

実は結構マヌケ。

マヌケってのはちょっと乱暴な言い方かな。

いい意味でネジが一本外れてる、って言い直しましょう。



だんだん観てると笑えてきちゃう。

彼はおかしなことを何一つやってないんだけど

妙におかしい。



で、全体がそういうトーンになってくる。

「どうもみんなヘンだぞ」って。



ただ、ハナシはどんどん深くなっていく。

つまりドラマは深くシリアス(ってほどでもないけど)になっていくのに

なぜか笑える。



こんなの、あんまり経験したことない。

不思議な感覚だけど、心地よい。

引きずり込まれた、ってことだ。



参りました。素晴しいです。



うかつにも全く知らない監督さんで

メイキングとか観てみると、出演もしてる。

しかも結構大事な役で。



尚且つ、有名作家の父親役のバクリとは

プライベートでもパートナーで、この映画の脚本は共同執筆だとか。

ホント、なんも知りませんでした。


しかも、この監督の前作が『ムッシュ・カステラの恋』だそうで。

実はこれ、大っ嫌いなパトリス・ルコントの映画だと思って

見向きもしなかったんですよね。

不覚です。

でも、なんでそう思ったんだろう?

タイトルの雰囲気でそう思ったのかな?

これもある意味“被害妄想”かも。



勝手な妄想・偏見を持ってると、こういうこともあるんですねぇ。

でも、多分反省しないで、また同じようなことやっちゃうんだろうな。

懲りない性格だから。



この映画観てて、エリック・ロメールを思い出した。

かもし出す雰囲気が、ちょっと似てるって。



ただ、構成や掘り下げ方はまるで違う。

どっちがいい悪いでなく、別モノってこと。



この映画は多くの人たちを描いた群像劇だけど

決してそうは感じさせない。

そのくらいひとりひとりを丁寧に描いてる。



観終わって改めてタイトルについて考えると

とてもいいタイトルだと思った。

ちょっと今っぽすぎて、最初はヤだったけどね。

でも、とてもいいタイトルです。



いや~、満足。

すごく良かった。

『ムッシュ・カステラの恋』も観なきゃね。

次回作も楽しみだ。