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ポコペン映画館

極々私的偏見きまぐれ映画感想

pulp fiction 1994年 154min




ポコペン映画館-pulpfiction



監督・脚本・原案:クエンティン・タランティーノ

出演:ジョン・トラボルタ

   サミュエル・L・ジャクソン

   ユマ・サーマン

   ハーヴェイ・カイテル

   ティム・ロス

   ブルース・ウィリス

   スティーヴ・ブシェミ





クエンティン・タランティーノの作品について考えるのは

とても面倒臭い。

切り口は沢山あるし、どうとでもとれることも多いし

突っ込みどころも多いけど、いざ突っ込むと「でもカッコいいじゃん」

の一言で切り返されちゃう。

10代のころなら、いろいろ語れて楽しかったろうなぁ、って思う。

でも、いい年になると、ちょっと照れ臭いんだよね。



それに、作品によって出来の良し悪しがこれほど激しく違う監督もいないから。



監督作品としては『レザボアドッグス』そしてこの『パルプ・フィクション』は

衝撃的だったし、出来栄えもすごくいい。

おもしろいし、新鮮だし、なによりカッコイイ。



ただ『フォール-ムス』『ジャッキー・ブラウン』からは・・・・・・・・・・。



「最初の二本はマグレ?」



って思うくらいヒドかった。

で、『キル・ビル』でトドメを刺された。

そして思った。



「もう、この人の映画、観なくていいや・・・」



『パルプ・フィクション』については、もはや語り尽くされてる。

大方の意見どおりだとも思う。

肯定も否定も、どちらも間違ってないと思うし。



一言で言えば  カッコイイ   だ。



“カッコイイ”ってのにもいろいろあるけど

タランティーノのカッコイイは

「それまでダサイって思われてたものがそうじゃなかった」

ってところが大きい。



ここ、クセもの。

カッコイイものって、時代で変わるし、流行り廃りが激しいし

なにより「やっぱりダサイものはダサイ」って思われたらアウト。

それ以上一歩も進めない。デッドエンド。



あとは“サジ加減”。

やりすぎると、ダサくなるから。

本作までのタランティーノはそのサジ加減も絶妙だった。



そして時間軸のイジりかたが絶妙だった。

「すごく計算された構成だな」って思ってた。

『レザボア~』も『パルプ~』も。

でも『ジャッキー・ブラウン』観て思ったのは



「なんだ感覚だけでやってたのか。計算じゃなかったんだ」  だった。



バランスも観る側のことも、全く無視。

ある意味メチャクチャ。

・・・まぁ、でも、それもタランティーノらしい、と言えばそうかもしれないけど。



脚本だけで監督しない作品は、あまりバランスは悪くない。

恐らく監督が歯止めをかけてるんじゃなかろうか。

脚本が書ける、っていうのは大きいね。

すごく強い武器を持ってるのと同じだ。



でも、その強い武器も、使い方を間違えると

とんでもないことになるんだなぁ、ってこの人見てると思う。



本作『パルプ・フィクション』、久しぶりに観たけど

やっぱりおもしろい。カッコイイ。

文句なし。



感覚だけでここまでの映画に仕上げちゃうんだから

タランティーノって、ある意味スゴイ。



ただ、あえて文句つけるなら、カメラ、どうにかなんなかったかな。

あまりにも画がフラットで、つまんない。

刺激的なシークエンスやシーンが多いから見逃しがちだけど

画そのものは、なんのヒネリも工夫もない。

そこだけが物足りないかな。



それ以外は文句ないです、はい。

これからも『レザボア~』と共に、何度も観る映画だと思う。



でも、それ以外は・・・・・・・・もういいや。






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2004年 119min




監督:竹中直人

脚本:馬場当  竹中直人

出演:竹中直人

   原田知世

   中島唱子

   段田安則




イケてない独身中年医師・佐々木正平(竹中直人)の勤める病院に

高校の同級生で、佐々木の初恋の人・笈川未知子(原田知世)が

入院してくる。

佐々木はイケてない割りに、居酒屋の女将の愛人がいたり

女子高生と援交してたりだが、未知子をずっと思い続けていた。

最初はしつこい佐々木にウンザリする未知子だったが、徐々に

佐々木に心を開いていく。

しかし、未知子はガンだと判った。そして佐々木も体調がすぐれず・・・・・・。



馬場当のオリジナル脚本に、竹中直人が自身の経験やアイデアを入れて

撮りあげた一本。



・・・・・・・なんだろう、この物足りなさは。



キャストは豪華。中島みゆき、忌野清志郎、内村光良、三浦友和、風吹ジュンなどなど。

だけど、なんだかスカスカ感がある。

チョイ役だから、キャラ設定しかしてないせいかも。



メインのふたりの実年齢差が11歳差。

これ、やっぱり不自然。

同級生には見えない。

映画的意味での気づかないように、っていう“お約束”とするなら

せめてビジュアル面にもう少し気を使って欲しい。



設定も、う~ん、なんだかスカスカな感じ。

モテない男の側から見た、それなりの設定とエピソードになっているんだけど

いかんせん今現在の俳優・監督・タレントとしての竹中直人とのギャップが

ありすぎて、なんだかチグハグというか、乖離してるように感じた。



現在の芸能人としての竹中直人は、ちょっと上げ底なくらい

高いポジションにいる。

カッコイイとか渋いとか、普通の男性が憧れるくらいのいいイメージ。

しかも、業界内でも同様のコンセプトを取り付けることに成功してる

様子まで伝わってきて、天井知らずの高値になっているように感じる。



本人の意向はいざ知らず、世間ではそういう共通認識になっている。

その竹中直人がこういう内容の映画で、しかも自分の実体験なんかを

入れているとなると、(映画的意味合いでの)リアリティをふっ飛ばして

しまっているように感じた。



そういった下世話な目線をはずして観ても

映画としても、イマひとつかな。



先ず、癌っていうのをモチーフに使うのは、よほど慎重に

取り扱わないと、出来の悪いお涙頂戴メロドラマになってしまう。

この映画が、そうだとは言わないけど、それに近い・・・・・かな。



しかももうひとりの主人公・佐々木(竹中)までもが、そうなってしまうと

もはやご都合主義、って言われても仕方ないんじゃなかろうか。



なんだか何もかもがチグハグで、薄っぺらに感じた。



現在の竹中直人の“高値”がそうさせたのか

その“高値感”を勝手に持ってるこっちの目が

“高値感”に目を曇らされてるのか・・・・・・。



いずれにしろ、食い足りない・物足りない映画でした。






ポコペン映画館-sennsui





le scaphandre et le papillon 2007年   112min




監督:ジュリアン・シュナーベル

原作:ジャン=ドミニク・ボビー

脚本:ロナルド・ハーウッド

出演:マチュー・アマルリック

    エマニュエル・セニエ

    マリ=ジョゼ・クローズ





42歳独身ELLE編集長、バリバリイケイケドンドンのジャン=ドミニク・ボビーは

脳梗塞で左目の瞬き以外、麻痺してしまう。

全身の自由を奪われた“ロックト・イン・シンドローム”となる。

絶望に打ちひしがれたジャン=ドミニク・ボビーは、言語療法士の介助で

瞬きによるコミュニケーションを使えるようになり

自分を愛してくれた人たちに気づき、感謝し、やがて自伝を書き始める・・・・・。



二年も前の映画だったとは・・・・・知らなかったことを後悔した。

とても素晴しい。

ここ数年、ロクでもない映画を中心に観てたから、そのツケかな。

ちょっと反省。



実話に基づく原作の映画化、とのこと。

そんなことは関係なく、見事な出来栄え。



ストーリーやキャラクターがいいのは勿論

音楽もいいし、なによりも画が素晴しい。



この監督さん、映画の前にアートの世界にいたそうで。

だからか、インサートショットの見事さは絶品。

勿論普通のショットも見事。



出だしはジャン=ドミニク・ボビーの目線から始まる。

おぼろげな光と、焦点の合わない映像。

しばらくはこの状態が続き、やがて画像はクリアになるも

あくまでも動けないジャン=ドミニクの狭い、動かない視点で

映画は進む。



「ちょっと観るのがつらくなってきたなぁ」ってタイミングで

通常のカメラ目線に戻る。

先ずこのバランス感覚にやられた。



少し絞り気味の画とカメラワークは見事というしかない。

時々入るイメージショットのようなインサートショットも見事。

マクロだったり超望遠だったり、あらゆる既存の技術を

駆使して、センスのいい印象的なインサートショットになっている。



音楽もいい。

出だしのシャンソンが先ず、いい。

パリの街を走るシーンで、トリュフォーの映画の曲が流れるとこは

ちょっとニヤッとしちゃった。

しかも、回想シーンや夢や想像のシンの音楽は、途中で唐突に切られる。



いきなり現実に引き戻される。



この編集も見事。

内容(ストーリー)は言わずもがな。

自分を愛してくれる人への感謝感謝に気づく後半。



そしてラストは途中で効果的に使った氷山が海に崩れ落ちる

映像を、逆回しで見せながらのエンドクレジット。

このデフォルメは見事。最後までしてやられた。



『海を飛ぶ夢』と似た映画化かと思ったけど

映像に関しては、ちょっとレベルが違う。

こっちが上。



ただ、素晴しいんだけど、観終わって思ったのは、

主人公の環境、境遇。

超有名ファッション誌の編集長でイケイケドンドンっていうのは

当然ながら一般庶民とはかけ離れた生活を送ってるんだよね。

だからああいった治療を受けられるんだし、恋人も多いし

本だって出せる・・・・ここがちょっと「・・・」だけど

だからって、映画の出来には関係ない。



とにかく素晴しい映画。

素晴しい《画》と《セリフ(ストーリー)》と《音楽》がそろってて

初めてこういう映画ができるんだなぁ、と改めて感じた。

映画とは、こうでなきゃね。






映画を観始めた頃、なにかガイドブックのようなものが欲しかった。



映画についての知識がないから。



ワタシの場合は、小林信彦さんと山田宏一さんだった。

勿論お会いしたことはない。

活字でお世話になった。



小林信彦さんからは、アメリカ映画について沢山教わった。

その最たるものがマルクス・ブラザーズとミュージカル映画だった。



チャップリンがあまり好きではなく、キートンなどもいまひとつピンとこなかった。

「アメリカのコメディは合わないな」って思ってたところに

マルクスブラザーズを観て、衝撃だった。

いまだに大好きだ。



それとミュージカル。アステアにジーン・ケリーなどなど。

最初は「突然踊るなんてヘンだよなぁ」なんて思ってたけど

いやはやいやは、とても楽しい。思いっきりハマった。



そして戦前のアメリカ映画。

全く知らなかったから、参考になった。

邦画では、クレイジーキャッツやエノケンなどのコメディ。

他にもとにかく沢山教わった。



山田宏一さんには、フランス映画。中でもヌーベルバーグ。

色々参考にさせてもらって、観まくった。

特にトリュフォーにハマった。



入り口はこのふたりだったけど、そこからドンドン広がっていった。

双葉十三郎読んだり、トリュフォーによるヒッチコックへのインタビュー本から

もう一度ヒッチコックを観直したり。

ぴあから出た『CINEMA CLUB』を買って、観た映画をどんどんチェックしていった。

この『CINEMA CLUB』は、パラパラめくっているだけで楽しかった。



まだ隔週だった『ぴあ』も必ずチェックしてた。

今は少なくなったけど、80年代にはまだ結構あった名画座で、古い映画も観た。



もっと幼い頃はTVの映画がメインだった。

中でも淀川長治さんと荻昌弘さん。



淀長さんは、TVでは映画を決してクサさなかった。

でも、映画塾みたいなのを主宰してて、そこでは結構毒舌だったらしい。

「何故ですか?」とインタビュアーに訊かれた時

「映画があまり好きではない人も見てるのがテレビ。そこでの僕の役目は

映画の素晴しさを伝えること。だからその映画のいいところを見つけて

褒めてあげて、興味を持ってもらうんです。そうじゃない(TV以外の)ところでは

自分の好みを正直いいますよ」とのこと。

なるほど。



荻昌弘さんは、もう少し作品を解析して、解説してくれた。

とてもソフトで紳士的に。

勿論、TVでその映画をクサすようなことは言わなかった。



荻さんは、エッセイも書いてて、結構読んだ。

コーヒに対しての拘りは、参考にさせてもらった。



荻さんで忘れられないのは、ハリソン・フォードが『スターウォーズ』や

『インディー・ジョーンズ』などで、ガンガン出まくってる時

「80年代のハリウッドからの最高のプレゼントはハリソン・フォード」って

言った時。

ルーカスやスピルバーグでなく、ハリソン・フォードってところが

自分が好きだったせいもあるけど、こんなほめ言葉聞いたことなくて

妙に新鮮で、印象に残った。



その後おすぎが出てきて、毒舌というオブラートに包んで

今までにないスタイルで映画解説をしてくれた。

時々本音とも演技ともつかない口調で、サラッと「この映画最低」なんて

言うのを聞くのも楽しかった。



今現在映画評論家って何人いるんだろうね。

想像もつかない。



誰でもいいんで、自分に合った評論家に出会えたら

たぶんその後の映画に対するスタンスが変わると思う。



そのためには本や雑誌、ネットなどなど、いろんな媒体をチェックして

自分に合う評論家を探さなくちゃならない。

結構シンドイとは思うけど、独りよがりにならない為にも

(特に若い頃に)そういう人に出会えるといいですね。






ポコペン映画館-myblueberrynights




MY BLUEBERRY NIGHTS  2007年  95min 香港・中国・フランス



監督 : ウォン・カーウァイ
原案 : ウォン・カーウァイ
脚本 : ローレンス・ブロック
ウォン・カーウァイ
音楽 : ライ・クーダー
出演 : ノラ・ジョーンズ ジュード・ロウ レイチェル・ワイズ ナタリー・ポートマン




「新鮮味に欠けるなぁ・・・」がファースト・インプレッション。


W・カーウァイの初期の映画のアメリカ版リメイクを観てるよう。
決してクサしてる訳じゃないけど、ちょっと薄まってるかな。


カメラがクリストファー・ドイルじゃないぶん、余計に薄まった感があるなぁ。

『天使の涙』や『恋する惑星』の頃のテイストのまんまアメリカで撮りました
ってカンジ。


だからなのか観てるあいだ何度も「マギー・チャンが出てきそう」とか
「トニー・レオンが似合うなぁ」って思ってしまった。



初出演のノラ・ジョーンズも決して悪くない。
ジュード・ローもアクの抜けた演技で悪くない。
でもマギー・チャンやトニー・レオンのほうがこの映画には似合ってる
って思ってしまうのは、個人的な嗜好のせいだけとも思えないけど・・・。



レイチャル・ワイズはよかった。
マイケル・ウィンターボトム作品に出たときのように、素晴らしかった。
メジャー映画に出ると、途端に魅力的でなくなるのはなんででしょうかね、この人。


ナタリー・ポートマンは・・・良くも悪くもいつもどおり、かな。



モノを作る人に“スタイル”があるのは、重要なことだと思うけど
映画の場合は《画》と《台詞(ストーリー)》と《音楽》のみっつが揃った上で

スタイルが伴えば、怖いものなし。


で、カーウァイの場合はスタイルはある。

ただし《画》と《音楽》しかなかったのに
今回は《音楽》がイマイチ。残ったのは《画》だけ。
でもいつも通りのドイルの画じゃないので、つまんない。

これじゃ観るところがあまりない、かな。


正直最後までおつきあいするのが、少々しんどかった。

大好きな監督だけど、今この映画を見せられても、昔の名前で出ています(古っ!)
ってだけじゃねぇ。
カーウァイを知らない人だといいかもしれない。



『恋する惑星』や『天使の涙』『欲望の翼』あたりの

あのセンシティヴなのに情熱的な、なんとも言えない独特の世界は

もう観れないのかなぁ・・・・。

そうそう、『花様年華』も良かった。


アジアの監督がアメリカで成功するには、ハリウッドに迎合するしか

ないのかな。

でも、個人的にそれはあまり歓迎しないけど。

アン・リーやチャン・イーモゥなんて、アメリカ行く前は

いい映画撮ってたのにね。



なんでもかんでもハリウッド映画、ってのもなぁ。

正直つまんない。

でも、たまに観ちゃうけどね。