【NORTH POLE】 | pocopanのブログ 「地図がいっぱいある暮らし」

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地図を眺めれば、家にいながら「冒険」の始まり。
毎日をワクワクドキドキの「夏休み」にするためのブログ。

 

今朝の日曜日も、早朝から家内とウォーキングへ出かけます。ただ、今朝は始発の電車には乗らずに、特に目指したい場所もなく、とにかく寒いので歩き始めてみました。とりあえずは稲毛駅から稲毛海岸駅へと向かいます。途中のセブンイレブンで朝食を買い込み、京成線の踏み切りを渡ると、京成稲毛駅。明るく照らされた無人の改札口を眺めると、クリスマスの飾りというかデコレーションがとても目を惹きました。

「NORTH POLE」と書かれたイグルー風のオブジェがとても可愛らしく、思わずタブレットで撮影してしまいました。クリスマスと北極点との関係がよくわかりませんが、とても斬新です。サンタクロースがいると言われている北極点を目指す「ポーラー・エクスプレス」という映画を思い出してしまいますが、制作者の意図はわからないままです。ちなみに北極星は「Polaris」ですね。

そんなことに触発されて、無性に北を目指して歩いてみたくなりました。北を含めた東西南北などの方角は、地球の子午線を規準にします。子(ねずみ)の方角である北と、午(うま)の方角である南とを結ぶ線に対してどれだけ傾いているかで示すわけです。子午線とは良い言葉です。英語では正午を意味するラテン語の「meridian」でしかないので、ほんの少しだけ深みのある言葉だと個人的には感心しています。

さて、北の方角についてもう少し考えてみましょう。単純に北の方向に向かって進めば、理論上は北極点に到達します。北極点とは地球が自転する軸のある場所です。地軸ですね。北極星が位置する方角に向かって進めば、北極点に到達できるかもしれません。では、方位磁石が示す北の方角に向かって進むと、どこに到達するでしょうか? 答えは地球の磁極「Magnetic pole」(北磁極)です。決して北極点には到達できません。私が子供の頃はカナダの北方であると教わりましたが、現在では日付変更線を越えてシベリア側にあるとか。要は、磁極がこの瞬間にも移動を続けているからです。20世紀ごろは一年に10km程度の移動でしたが、最近では50kmの移動と加速しているようです。

東京での磁北はおよそ7度です。真北を0度とすれば、磁北は353度となります。方位磁石を見ている場合は、磁北が基準となるので、真北は7度の方角となります。ここで、およそと言ったのは、東京でもこの40年間で0.7度も西にずれたことが観測されているからです。では、どうして磁極は移動するのでしょうか。まずは、磁極が発生する理由です。地球の内部で高温の鉄とニッケルが対流しているからですね。難しく言えば、マントル対流によるダイナモ効果で磁力が発生するからだそうです。で、このマントル対流は大局的には流れの方向や早さが一定しているとはいえ、決して安定しているとはいえません。場所や時間によりばらつきが生じます。それらの動きの総体的な結果が磁極となっているため、磁極は一定の場所にとどまらないのです。さらに、面白いことには、南磁極は北磁極のちょうど反対側にはないというおまけ付きです。とはいえ、いきなりポールシフトのような磁極反転現象が起こるほど不安定ではありません。

では、ここで問題です。月の裏側で遭難した場合、サバイバルの道具として何が必要になるでしょうか。地球だと、水と食糧とマッチと磁石と答えそうです。私も震災に備えて鞄の中にはライターとコンパスを入れています。でも、月には酸素がないので、マッチは使えませんし、磁場がないので、磁石も意味がありません。しかも、月の裏側なので太陽電池も使えません。まあ、宇宙服とか酸素ボンベとか水とか食糧とかが基本的には必要となりますが、あまりにも過酷な環境です。せめてもの救いは、重さが地球の1/6ということくらいです。あと、方位を定めるには星図を使う必要があるでしょう。

つまり、月のようにマントル対流のない天体では磁極がありません。木星や土星などのガス状の惑星ではガスの対流で磁場が観測されています。火星はかつては対流があったようですが、現在では固まっているため、磁場は観測できません。つまり、方位磁石は役に立ちません。不思議なのは金星です。鉄やニッケルなどの内部成分や内部のマントル対流も地球と同じと推定されていますが、探査機「あかつき」の観測によると微弱な地場しか検出されていません。自転速度が地球の100倍も遅いからという説もありますが、現時点では謎のままです。

というわけで、あなたも方位磁石を持って北に向かって歩いてみませんか? 7度のズレって、意外と大きいことが体感できますよ。



さあ、今日も地図を広げて、
コンパスが示す方角へ冒険にでかけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。