【1917 命をかけた伝令】 | pocopanのブログ 「地図がいっぱいある暮らし」

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地図を眺めれば、家にいながら「冒険」の始まり。
毎日をワクワクドキドキの「夏休み」にするためのブログ。

 

「地図に強いそうだな。」
「はい、将軍。」
「我々は…ここにいる。
 第二大隊はここへ向かっている。
 どのくらいで行ける?」
「どういうことでしょうか?」
「そこは、独軍占領地帯です。」


先日の週末は「1917 命をかけた伝令」という戦争映画を視聴してみました。特に予告編を見たからと言うわけでもないのですが、ワンカットらしく撮影しているというフレコミにちょっと興味が沸いてしまいました。題名の「1917」という年代から第一次世界大戦。「伝令」という言葉から通信線が砲撃などで切断され、通信手段のなくなった西部戦線の塹壕線が舞台のようです。西部戦線というのはドイツからみた西側の戦線のことをさし、フランスが戦場となります。その戦場で侵攻してきたドイツ軍を押し返すべくフランス軍とイギリス軍が1914年の開戦以来、死闘を繰り広げていました。

ブレイクとスコフィールドの二人のイギリス軍上等兵が草原の木陰で休憩しているシーンから映画は始まります。二人は軍曹に呼び出され、司令部へと向かいます。野外に設けられた兵士たちの洗濯場や炊事場、床屋を抜け、塹壕に入り、兵士たちをかき分け、司令部へと入ります。そこでエリンモア将軍から重要任務の説明を直接受けます。「ドイツ軍は突出部から大々的に退却している。だが、航空偵察によるとドイツ軍はすでに後方に堅固な陣地を築いており、我々の攻撃を用意周到待ちかねている。離れた戦線にいるデボンシャー連隊が明朝攻撃予定であるが、通信線が切られていて作戦中止の連絡ができない。なので、お前たち二人で伝令に行ってこい」という命令です。しかも、ブレイクのお兄さんがその連隊にいるというオマケつき。作戦の中止を伝えられなければ、二個大隊1600名による無謀な攻撃が始まってしまいます。

二人は、中尉から地図と懐中電灯、手榴弾、わずかなお菓子をもらい、慌てて出掛けます。塹壕S路を西へ、P路を北西と、兵士たちでごった返す塹壕に沿ってヨーク連隊のいる出撃地点まで進み、ついに塹壕から身を乗り出します。まさに、ここから危険を冒す冒険が始まりますが、ここまでノンストップのノーカットです。実際にはカットしているのでしょうが、巧みな映像処理でワンシーンであるように見えるのです。そして、この映像の流れはエンディングまで続くのです。

まさに、ディズニーランドやディズニーシーのライド系のアトラクションに乗っているような感覚です。ランドなら、スターツアーズとかジャングルクルーズ、そしてカリブの海賊。シーなら、インディージョーンズとか、海底2万マイルなどに相当するでしょうか。

違いは、アトラクションの舞台が塹壕や廃墟が中心の戦場だということです。ただし、いきなりゾンビとかエイリアンが出てくるとか、大きな石の玉に追われるとか、そういうことはありません。あくまでも第一次世界大戦の西部戦線という戦場が舞台です。「西部戦線異常なし」などの昔の映画から予測できることは、いきなりの狙撃とか機銃掃射、銃剣を構えたドイツ兵との遭遇ぐらいでしょうか。正直、そのくらいしか思いつきませんでしたが、映画では、二人のイギリス兵は、予想を遥かに越えたアクシデントに見舞われ、一瞬も画面から目が離せません。なので、この先、この映画については何も書けないのです。途中で手に入れた、あのアイテムが意外なところで役立つ、なんていった情報は、これから見る人たちには迷惑な話になるからですね。

このような作品には、様々な高度な撮影技術が駆使されている訳ですが、「シーンが編集されていない」ということは、それだけ自然な流れであり、観客がその場にいるような劇的な臨場感をもたらすようです。

監督は、サム・メンデス。知らない監督ですが、本作品で大いに楽しめたことを考えると、他の作品「007 スカイフォール」と「007 スペクター」を見たくなったのは事実です。

さて、他のワンシーン・ワンカット映画というと、松本空港で撮影したという三谷幸喜監督の「大空港2013」くらいしか思い出せませんが、調べて見ると、意外にも大勢の監督がこの手の作品に取り組んでいるようです。しばらくは、この世界を大いに冒険しようと思います。

「第二大隊に知らせろ。
 エクースト町南東二キロのクロワジルの森へ。
 大佐への直接命令だ。
 『明日の攻撃を中止せよ』と。
 伝えねば大殺戮となる。
 間に合うな?」



[第一次世界大戦西部戦線の地図(1917年)]

さあ、今日も地図を広げて、
一度もカットせずに、冒険にでかけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。