【千葉県知事選が終わって】 | pocopanのブログ 「地図がいっぱいある暮らし」

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地図を眺めれば、家にいながら「冒険」の始まり。
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[木曽路馬籠宿]

 

顔面を白く塗って登場したり、はてはプロポーズを始めたりと、何かと世間の注目を集めてしまった波乱の千葉県知事選も無事に終わり、新しい知事が決まりました。熊谷新知事の千葉県政は、当分のあいだ、コロナ対策に終始するでしょうが、千葉県のことをお話しする前に、家内の実家のある長野県について、少し触れておきたいと思います。

家内の実家は長野県の木曽路にあります。「木曽路はすべて山の中である」と島崎藤村の小説「夜明け前」の冒頭の文章にもある通り、奥深い山の中にあります。といっても、どこにあるのかピンと来ない人が多いかもしれません。木曽の御嶽山の近くです。といえば、7年前の噴火で大勢の登山者が亡くなっているので、危険な場所として思い出すかも知れませんが、実家からはかなりの距離があります。一応、木曽路は信州という意識が高いので、近くの山といえば御嶽山をあげてしまいますが、どちらかといえば、木曽山脈の南端にある岐阜県の恵那山の方が近いと言えます(正確には、御嶽山と恵那山、どちらの山頂も長野県と岐阜県の県境にある)。

小説「夜明け前」は明治維新を迎えた木曽路の宿場町の一つ、馬籠宿の本陣の当主の人生を描いた作品です。明治の時代ですから、参勤交代のための宿場町は廃れ、本陣も廃止、新たに鉄道が敷かれる時代です。鉄道は、山深い街道沿いには作られず、木曽川に沿って作られます。どんどん、時代から取り残されていきます。家内の実家は、馬籠宿の一つ江戸寄りの宿場町、妻籠宿方面にあります。妻籠宿も同様に人々から忘れさられていきますが、「宿場町を再現して町起こしをしよう」という人々があらわれ、さいわいにもディスカバージャパンという当時の国鉄の宣伝にも乗っかることができ、今ではどうにかちょっとした観光地として栄えています(もちろん、今はコロナで大打撃を受けており、家内も帰省禁止です)。馬籠宿も、島崎藤村自身がこの馬籠宿本陣当主の子孫ということもあり、再現した宿場町や藤村博物館で賑わっています。妻籠宿は完全に山の中の不便な場所ですが、馬籠宿は山の斜面にあり、正面には雄大な恵那山を望むことができます。

こうして平和な昭和時代を過ごした木曽路に大事件が起こります。木曽路の一部である馬籠宿が平成の市町村大合併で、長野県から岐阜県に移ってしまったのです。島崎藤村の実家が長野県から岐阜県になるというのは、かなりの驚きです。とはいえ、実際に生活している人たちからすれば、懸命な判断です。なにしろ、妻籠宿の人たちでさえ、買い物は峠をいくつも越えた岐阜県の中津川のアピタへ車で出かけるからです。そのアピタも最近の不況でつぶれ、今では岐阜県の恵那まで出かけるとか。

明治の廃藩置県は、いろんな人たちの思惑と偶然に翻弄されながら、断行されました。長野県も今の形になるまでかなりの紆余曲折がありました。最終的には、長野県は、長野と松本という北部の二つの大都市を中心に発展していきます。その反面、長野県の南半分は県政から完全に忘れ去られていきます。でも、長野県に見はなされた地域は、馬籠宿のように隣の県に救いの手を伸ばすことができるだけ、幸いです。

まさか、自分が住んでいる千葉県が長野県と同じ状況だとは気づきませんでした。一昨年の台風15号が来るまでは。思い返せば、前の千葉県の県知事は、立候補するにあたり、成田空港と羽田空港とをリニア新幹線で結ぶとか言ってましたっけ。後は、任期中にアクアラインの料金を800円に引き下げたこと。要するに、千葉県の県政は、幕張海岸・成田空港・柏・木更津という千葉県北部の四大エリアに巨額の資金を投じることしか頭にないのです。あとは、すべて民間頼り。公共事業であるはずの下水道普及率も千葉県最南端の館山では10%だとか。災害があっても、県としては何もできず、すべて市町村頼み。これでは、復興もままなりませんが、現実のようです。

千葉県は、海に囲まれているので、水産資源は豊富な上に、海岸線を主体とした観光資源にも恵まれているはず。でも、うちら夫婦は、ウォーキングといえば三浦半島。なぜなら、総武快速線(東京駅から横須賀線)の一本で、乗り換え無しで鎌倉や逗子・横須賀・久里浜へと行けますし、始発も早い時間からあります。一昨年も家内が「海が見たい」というので、特急スーパービュー踊り子号に乗り、伊豆半島の下田へ一泊旅行へ出掛けました。旅行をするなら特急列車に乗りたいものですが、房総半島の平日にはなんと特急列車が走りません。昨年、舘山へ家族三人で旅行しましたが、途中で三回も電車を乗り換えました。ついでながら、房総半島全体には豊かな丘陵地帯が広がっているはずですが、大半がゴルフ場と化しており、上空から見た景色は無惨としか言いようがありません。

そんなわけで、東京都千葉市に住む私たち家族がウォーキングや旅行を気軽に楽しめる房総半島になって欲しいと、新しい県知事のご活躍を心から願うものです。

 


[東京湾アクアライン千葉県]

さあ、今日も地図を広げて、
南へ向かって冒険にでかけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。