【天の川の地図】 | pocopanのブログ 「地図がいっぱいある暮らし」

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地図を眺めれば、家にいながら「冒険」の始まり。
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本日、7月7日は「七夕祭り」です。

天の川をはさんで引き離された、こと座のベガ「織姫星」さんとわし座のアルタイル「彦星」さんとが、年に一度だけカササギさんに架けてもらった橋を渡って出会える日です。

本来の七夕の神事は午前一時に行うものらしく、そうなると天の川に架けられた橋はすでに取り壊されていることになります。最終的には取り壊すにしても、15光年もの長さがある橋を作ることは大変なことです。カササギさんは、さぞかし精巧な天の川の地図を持っているのでしょう。

天の川の地図というと、ウィリアム・ハーシェルが1784年に作った地図「銀河系モデル」が有名です。ハーシェルは、天の川を「川」ではなく渦巻き星雲である「銀河系」として捉えた最初の人ですね。つまり、天の川の地図を作るということは、銀河系の地図を作るというのと同じことになります。

国内でも銀河系の地図を作るプロジェクトがあります。「VERA(VLBI Exploration of Radio Astrometry)」と呼ばれ、鹿児島大と国立天文台が協力して推進しているプロジェクトです。年周視差を利用した観測データをもとに三角測量で天体との距離を測り、天の川銀河の3次元精密立体地図を作り上げようとしています。三角測量といっても、超長基線電波干渉法 (VLBI)により、観測側の基線の長さは、ミリメートル単位で測定されています。入来局(鹿児島県)、水沢局(岩手県)、石垣島局(沖縄県)、小笠原局(東京都)の4つの観測局のアンテナを組み合わせることで直径2300kmの巨大電波望遠鏡を実現しています。

さて、今年2018年の4月26日に、天の川銀河の超精密な立体地図が欧州宇宙機関「ESA(European Space Agency)」によって公開されました。ESAが打ち上げた宇宙望遠鏡「ガイア」の観測した17億個以上もの恒星の位置データがもとになっています。ガイアも地球上での観測と同じく、年周視差を利用して観測します。地球から約150万kmの距離にあるL2ラグランジュ点とよばれる比較的安定した公転軌道上に置かれています。ただし、地球の影に入らないように、うちら素人には到底理解できない「リサジュー軌道」を描いています。

ということで、地図作りの基本は、やっぱり三角測量なんですね。とはいえ、ガイアの17億といっても銀河系全体からすると、1%にも満たないらしく、天の川の地図を作るということは、途方もない測量作業といえそうです。


■ 【地球軌道上にある別の天体「トロヤ群小惑星」】
  ラグランジュポイントの図があります。
  https://ameblo.jp/pocopan/entry-11202163625.html






さあ、今日も天の川の地図を作りに、冒険にでかけましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。