桜の句鑑賞・・・夏井いつきの「花」の歳時記より | 葉音ののんびりブログ

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宇都宮は、昨日が桜満開日でした。

今日はあいにくの天気でしたが、明日から少しずつ散ってゆくのかな・・・桜


夏井いつきの歳時記シリーズ。
キャッチコピーは
 
あなたの投句が有名句と並ぶ!?
 
そこで今回は、所謂有名俳人の句とそうでない句との区別をせずに鑑賞をしていきたいと思います。
 
さきみちてさくらあをざめゐたるかな/野澤節子
朝方のまだ十分に明けやらぬ時間なのか、または宵闇の桜の景なのか・・・
咲き満ちた桜の花にうっすらと映る青。
桜の花の白さがだんだんと周りの青さに溶けていくような・・・
 
N極へそぞろに花の波打てり/芹澤順子
上五の「N極へ」が、ずしんと響きます。
風に吹かれて揺れる桜の花の動きは、少しずつN極へ引っ張られているのかもしれません。
 
さくら咲く少し荷物が重すぎる/龍門京子
せっかく桜の花が咲いているのに・・・
荷物の重さに気を取られて、桜の花に集中できないもどかしさ。
「少し」重いからいけないんですよね。
「すごく」重ければ、最初から桜なんて、見に来なかったのに・・・
 
そんな顔するんだ桜見る時は/こま
桜の美しさに圧倒されて、まるで惚けたような顔をしていたのかもしれませんね。
初めて見る愛しい人の恍惚とした表情。
詠者は、少し桜に嫉妬を感じているのかもしれません。
 
鳩の目に金のまじれる桜かな/夏井いつき
鳩の目をじっと見ていると、何とも不気味な気持ちになります。
「金のまじれる」するどい観察眼で鳩の目を描写することによって、桜の花の透き通るような白さを表現していると感じました。
 
雪山(せつざん)のどこも動かず花にほふ/飯田龍太
雪山の偉大な景を視覚で表現し、眼前の花の景を臭覚で表現しています。
その絶妙なバランスが「雪山」を背景として「花」をしっかりと主役にしています。
 
麻薬パッチ替える患家の庭桜/星埜黴円
麻薬パッチは、癌の痛みを和らげる貼り薬だそうです。
往診で通っている患家の庭桜の景を思い浮かべました。
今は美しく咲き満ちているが、後は散っていくしかない桜の花と麻薬パッチが悲しく響き合っています。
 
白杖に花の香こつりこちらです/よだか
この句については、以前も書かせていただいたので 右矢印 こちらで
 
うぶごゑやあかごのごときはなのいろ/花節湖
あかごと桜の取合せは多くあると思いますが、この句は生まれたばかりの赤子の産声から詠み始めています。
赤子の産声を聞き、ほっとして見上げる桜。
うっすらとほの赤き花の色に、優しさと静かな生命力を感じます。
 
初雪のごとき落花を水の国/あつちやん
季重なりを上手に生かした作品。
単なる雪ではなく、初雪としたところに、今年初めてという思いが強く感じられます。
桜には水の景がよく合います。
美しき水溢るるやわが祖国。
 
世の中は三日見ぬ間に桜かな/大島蓼太
今年の桜は、案外長持ちしてくれましたが、桜の景は日一日と変化してゆきます。
風邪をひいて三日寝込んでいようものなら・・・
 

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