そんな青 宮崎斗士句集 ① | 葉音ののんびりブログ

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これは、私が初めて購入した句集です。

昨年の4月、俳句を始めようと決心したものの、何をどうしたらいいかわからず、現代俳句協会の添削教室に句を送り始めました。その講師の先生が、宮崎斗士さんだったのです。
掲載されている句は、俳句初心者の私にはあまりにも衝撃的なものばかりでしたガーン
 
でも、今も、現実から逃避したくなった時、ふと読んでみたくなる、そんな1冊です。
 
十月の筒
東京暮らしはどこか棒読み蜆汁
私は、東京暮らしの経験がないのですが・・・
多くの人たちが暮らす「東京」という大都会の中では、自分の暮らしなど、面白いことなど何もない、本を棒読みするかのようなつまらない毎日なのかもしれません。そんな毎日の中で、故郷から送られてきたであろう蜆汁に、穏やかな春の温かさを感じます。
 
ぶらんこで鳥類図鑑蹴り上げる
不思議な句ですね。私は、鳥類図鑑というのは、自然に対する知識全般を言うのではないかと思います。今、頭の上を飛んでいる鳥は、何という名前なのだろう。あの枝にとまっている鳥は、何という目に属するのだろう。今、鳴いている鳥は、どんな鳥の仲間で生態は・・・
そんな、図鑑的な知識なんて、どうでもいいから、春の鳥や花を全ての自然をただ感じながら、楽しくぶらんこで遊んでいたい。そんな風に読み取りました左矢印 違う ?てへぺろ
 
天文学っておおむね静かふきのとう
天文学とは、日本大百科全書(ニッポニカ)によれば、「地球外の天体や物質を研究する学問」なのだそうです。確かに地球から遠く離れた星々は、音もなく静かに瞬いています。
しかし、その天体の中の一つである地球では、足元にふきのとうが芽生え、様々の春の息吹が動き始めている。静から動へと移っていく視点が見事だと思います。
 
かたつむり術後同士という呼吸
病院の庭ですれ違った術後の患者同士。そばを這っているかたつむりのように、ゆっくり、ゆっくりと、お互いの様子を見ながら歩いているのでしょうね。「呼吸」という措辞が効いていると思います。
 
死にぎわの羽蟻漢詩にまよいこむ
大学時代、漢文は大の苦手でした。羽蟻が迷い込んでも、あの漢字の倉庫みたいな中で見つけるのは、大変でしょうね。
羽蟻が、レ点に見えてしまうかも・・・ガーン
レ点が変なところに付いたら、意味が全く変わってしまうこともありますよね。
そう考えると、ちょっと笑えます^^
 
十月の筒を覗けばわが家あり
「十月の筒」これも、わけの分からない言葉です。
十月・・・神無月・・・季節の変わり目というわけでもないし・・・
斗士さんの句は、言葉からだけ理解しようとすると、わけが分かりません。
でも、この句を絵画として描いてみてください。
冬のどんよりとした色合いが外側に向かって濃くなってきている円形の中に、鮮やかな秋の色に染められた十月の景。そして、その中心に懐かしい我が家があるのです。
もしかしたら、これは、詠者の記憶の中にある十月の景なのかもしれません。
 
日本語の違う父と娘夜長かな
これは、思わず納得できてしまう句ですね。
「父と息子」ではなく「父と娘」であるところに、救いがあるような気がします。
 
海鼠の一生ハガキ1枚にびっしり
またまた、意味難解な句が・・・滝汗
送られてきたハガキに海鼠の一生について調べたことがびっしりと書いてあったのでしょうか。いや、それとも絵手紙で、海鼠の一生の絵が描いてあった?
そもそも海鼠の一生って・・・・・・どんだけ~~~っはてなマークはてなマークはてなマーク
でもね、海鼠って、食物連鎖の枠から離れたところに生きているらしいですよビックリマーク
周りに迷惑をかけず、攻撃された時は、自分の内臓を吐き出して、身を守るんだって・・・
ちょっと調べてみただけでも、結構嵌ります。海鼠の一生・・・爆  笑
そんなハガキを炬燵で眺めながら、くすりと笑っている詠者の姿が見えるようです。
 
この句集は、「十月の筒」「ふつうの握手」「君は鏡を」「生きて鮎」の4章に分かれています。
次回は、「ふつうの握手」から10句をご紹介します。