句集「乱雑な部屋」西村小市 | 葉音ののんびりブログ

葉音ののんびりブログ

平凡な毎日をのんびり更新・・・

{63CB4850-14B7-45DE-9A05-11634B293ABB}

いつき組と、「童子」の大先輩、西村小市さん。
句会でご一緒した時にいただいた句集「乱雑な部屋」。
もう今では、すっかり私の愛読書です。

薄氷をつついて妻の顔を見る
先日FBで拝見した小市さんの奥さま、とても素敵な方でした。小市さんは、「ま〜た、そんなことやってるの⁈」なんて、奥さまに言われることが多いのでしょうか。ご夫婦の素敵な関係が見えてきます。

表札に残る父の名花曇り
今は空き家となっているお父さまの家を訪問した時の景でしょうか。詠者の父を思う気持ちと花曇りという季語がよく合っていて、少しの憂いと穏やかさを感じました。

もどらないことだつてあるふらここよ
「そうよ〜、その通りだわ〜」と、思わず声に出してしまったお句。
小市さんのお句には、こういうちょっと斜め目線で、物事を捉えたお句が多くあります。私もこういう視点を持ちたいと思ってはいるのですが・・

日盛りの匂ひ持ちくる男の子
「日盛りの匂ひ」いいですね、この措辞。日盛りというと、真夏の眩しいような真昼の景を想像していました。でも、小市さんは、そこに匂いを感じているのです。男の子が持ってくる匂い、明るくて爽やかな・・・少し、柑橘系でしょうかね^ ^

いつだつて自分史書いてるなめくじり
なめくじが通った後に残る、白いベタベタしたような跡。あれは、なめくじの自分史だったんですね。

たぶん何も考へていない金魚
この目線ですよ、この目線^ ^
実は、このお句にヒントをいただいて詠んだ句があります。いつか、発表できたらいいな。

何匹の蟻を踏んだか六十歳
今までに、どれだけのものを犠牲にして、どれだけの人を傷つけてきたのでしょうか?
でも、生きているって、そういうことなのかもしれません。

ダムの底ポストは未だ赤くあらん
社会派の小市さんには、社会問題を詠んだお句がたくさんあります。どのお句も好きですが、特に
このお句がお気に入りです。ダムの底に沈んだ村には、確かに生活があった。そんなことを考えさせてくれるお句です。

秋風や姉となりたる二歳の子
下の子が生まれる時の上の子の気持ちは複雑でしょうね。ましてや、まだ二歳。私も娘に二人目が生まれることがわかった時、上の子に
「お姉ちゃんになるのね。」「もう、お姉ちゃんなんだから」
などと言ってしまった記憶があります。可哀想なことを言ってしまいました。秋風という季語が効いていると思います。

月にだけ話したいことないですか
初め、私は、小市さんのことを女性だと思っていました。なぜかというと、多分、このお句のように、思いを内に閉じ込めているような句に、魅力を感じたからかもしれません。「月にだけ話したいこと」繊細さに欠ける私には、あまり思いつきませんが・・・てへぺろ