将棋の話です。
ご興味のない方はスルーしてください。
昨日の順位戦で敗れたことにより
羽生九段がA級から陥落することが決まった。
特段彼のファンというわけでもなかったけれど
これまでずっと将棋界を牽引されてきた人だし
ついでに同世代だし
彼がトップに君臨し続けることを
夢見てしまう自分がいることも確かで、
昨日は評価値放送を眺めながら
羽生マジックが起きることを祈っていた。
平成の世をタイトル保持者として生き
平成の終わりとともに九段となって
最初は違和感だらけだった「羽生九段」という呼称に
ようやく私も慣れてきたところで
ついにA級からも追い出されてしまった。
本当の時代の変わり目を突きつけられた気がして
寂しさに襲われる。
が、一方でA級残留の康光会長。
羽生世代の2人の分かれ目は何か?と考えると、
将棋の質が違うんだという答えにたどり着く。
最善手を求め続けてきた羽生九段。
その絶対的王者に勝つことを目指して
独自の将棋を作り上げた康光会長。
羽生九段の「最善手を求める」という道は
将棋の神様に通じる美しい道、
将棋の本筋であり王道ではあるけれども、
今の時代はAIが大きな手助けとなってくれる。
先駆けてトップを走ってきた羽生さんに
時代が追いついてしまった。
ましてや生まれたときからPCが身近にあり
PC・AIを体の一部として使いこなす若者たちを相手に
同じ路線で真っ向勝負をしなければならないのは
峠を越えた体では並大抵のことではないはず。
違った視点で違った方向から戦う康光会長の方が
勝利をもぎ取るチャンスはきっと多い。
A級返り咲きの前例はある。
羽生さんにもまだまだ頑張って欲しい、
またA級に戻って欲しい、
まだその望みを捨ててはいない。
けれどそのためには、今の時代にあっては
方針を転換するか、
AI世代に立ち向かい続け打開する道を見つけるか。
いずれにせよ茨の道に見える。
活路を見出すのが先か、引退が先か。
などと縁起でもない考えがよぎったりもする。
でも羽生さんなら!
勝負師という荒くれ者たちが斬り合う世界に
真理の追求という上品な風を吹き込んで
世界を一変させた力を持つ羽生さんなら、
また何かやってくれるんじゃないか。
そんな一縷の望みをギュッと握りしめて
彼の苦しくも美しい孤高の旅を見守っていきたい。
今はそんな気持ち。
流星の旅がまだ続きますように
いつか終焉を迎えるとしても
それがもう少し先の未来でありますように