夫が友人から大量の鹿肉をもらってきた。
おかげで最近の我が家の食卓にはよく鹿肉が上る。
圧力鍋で煮込んだ赤身肉は口の中でほろほろと崩れる
鹿の姿は美しい。
群れが現れると見惚れるし、鳴き声も可愛いと思う。
でも、庭の花や畑の作物を食い荒らす困った一面もある。
我が家でも被害が出ていて慌てて柵を設置したりと
普段の生活の中で地味な攻防が繰り返されている。
罠を仕掛けたり猟銃で撃ったりできる人は
「害獣」としての鹿を捕え、
死んだ鹿から毛皮をとり、肉を食べる。
相手が植物でも動物でも同じことで、
田舎での暮らしにはこうした自然との攻防、
命のやりとりが当たり前にあって、
命をいただくからには無駄なく利用する。
自然の恵み、他者の命をいただいて生きている
という実感がとても強く感じられる。
ホワイトソースベースでは味噌が隠し味
都会のこじゃれたレストランで
流行りのジビエ料理をいただくのとは違う。
捕獲や屠殺などの大変な部分を済ませ
切り身にした綺麗な肉をくれた夫の友人に感謝し、
厳しい自然を生きた末に捕えられ肉となった鹿を思い
この巡り合わせと自然の力に感謝しながら、
ほんのりとした獣の匂いと
よく発達した筋肉の弾力が残る
濃い肉の味を噛み締める。
自然は偉大で、
そこで育まれた命は尊く、
その命をいただくことは有難く
神々しいほどに美味しいものだ。