このころの彼が好き。
この翌年、東日本大震災が起きて
海外アーティストが軒並み来日をキャンセルする中、
キーシンは日本に来てツアーを行い
収益の一部を寄付してくれた。
それは後から知ったことだけれど。
私はまさしくそのツアーの1日を
この目で見、この耳で聴いてきた。
彼の40回目の誕生日の日にサントリーホールで。
彼の奏でるショパンの
キラキラとした音の流れに日常を忘れ夢見心地になった。
芸術の力を体感していた。
今は昔。
いろいろなことが変わり遠くへ流れてゆくけれど、
あの日々のことは今でも思い出せる。
夢中で乗り越えた日々は彼のピアノの音によって
彩を増し救われ支えられていたのかもしれない。