仏舎利塔マニアへの挑戦状  ~ 解答(第3問)~ |  田舎女 *ぽこ* のなんてことはない日々

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   独立した娘2人を持つパートタイマー主婦です。
   ワインのこと、愛猫のこと、
   寒冷地のド田舎暮らしのこと・・
   思いつくままに。

前前回のブログクイズ「↓の写真の塔は何というお寺にあるか」

5問中 第3問 の答えです
(第1・2問の答えは前回のブログにあります)
 
第3問
イメージ 1
 
答えは、奈良県の薬師寺です。
これは東塔です。
創建から1300年が経つという東塔は
柱などの腐食が激しく
解体修理をすることになったそうで
既に内部には鉄骨が組まれ
この写真を撮った反対側には
作業の方がいらっしゃって
作業が進められていました。
これから本格的に作業が進むと
外側に覆いが掛けられ
修理工事が終わる7~8年後まで
外観が見られなくなることでしょう。
 

イメージ 2

 
東塔と全く同じ形(厳密には連子窓のあるなしなどの
違いがある)で彩色が派手な方が西塔。
こちらはまだ出来て30年です。
 

イメージ 3

 
大講堂です。
その名の通り大きくて
ファインダーに入りきりませんでした。
こうしてみると日本というよりは
大陸的な印象を受けます。
スケールの大きさと
丹色(にいろ)のせいでしょうか。
参拝者(お寺にとっては「観光客」ではなく
「参拝者」と言うべきなのでしょう、
一応ね・・笑)が少なくて
日本的な印象を感じる要素が少なかった
お陰もあるかもしれません。
静かにじっくり見られてラッキーでした。
 

イメージ 4

 
大講堂から振り返って見たところ。
金堂、東塔、西塔が並び
なかなかの眺めですね。
他に人のいない状態で自分1人
ポツンと伽藍の中にたたずんでいると
なんだかその当時にタイムスリップした
ような感覚に襲われました。
 
最後に、伽藍の中でちょっと北に離れている
玄奘三蔵院と大唐西域壁画殿に行ってきました。
平山郁夫の絵があるというので、
特に好きな画家でもないですが嫌いでもないし
旅先でちょうど見られるのなら見ておこう、
そんな軽い気持ちで見に行ったのですが・・
完全に打ちのめされました。
 
現在、薬師寺と興福寺は法相宗の大本山となっていますが
その法相宗の始祖が玄奘三蔵で
そのご頂骨を分骨してもらって建てたのが玄奘三蔵院。
八角形で法隆寺の夢殿のような形をしています(1991年建立)
その後ろに平山郁夫の絵が収められている壁画殿があります。
17年にわたるインドの旅から仏教をもたらした唐の玄奘三蔵は、
仏教伝来をテーマとした平山郁夫の制作の原点となるもので、
平山郁夫が玄奘三蔵の足跡を訪ねた
30年の取材旅行の集大成として
大壁画を制作し薬師寺に奉納したのです(2000年)。
 
宗教は深い。芸術も深い。
どちらも一朝一夕に作り上げたり
モノにしたりすることはできない。
何か仕事をして稼いで、家事をこなし、
普通に食べて買い物して寝て・・
そんな普通の生活をしながら片手間に
成し遂げられるものではない。
私のような凡人には触れることさえできない世界。
何年も何十年も身を削るようにして探求の旅を続け
精神を研ぎ澄まし己の中に哲学を見いだした末に
初めて得られる悟りの世界。
気が向いた時にちょいちょいと拝んで満足すること、
それは本物の宗教には遠く及ばない。
芸術もまた然り。
ちょっと絵が上手いというだけでは本物の芸術家にはなれない。
自称芸術家は数多あれど、本物の芸術家が
この世にいったいどれだけいるんだろう。
俗な物に囲まれたこの世の中で、本物の芸術家になり得た
平山郁夫はなんと幸せな人なんだろう。
圧倒的な大壁画の前でそんなことを感じ考えていました。
 
ちょっと話が逸れました。
中学の修学旅行でいちど行ったことのある薬師寺でしたが
その時は面白可笑しいお坊さんのお説教をいただいただけで
興味のない寺院という場所などさっさと後にしてしまった
という感じなのですが、
今回ゆっくり見てまわっていろんなことを
感じることが出来ました。
古くて大切な物というイメージで寺院を見るときに、
私はどうしても色あせたいかにも古めかしい外観を
期待してしまい
薬師寺のような丹色鮮やかな新しい印象のものには
違和感を抱いてしまっていたのですが、
考えてみればその鮮やかさは創建当時を偲ばせるものであるし
精神や本質を追うためには見た目とか建物の新しさ
などという表面的なことは
さほど重要ではない、と気付かされた今回の訪問でした。