Evgeny Kissin 来日公演 |  田舎女 *ぽこ* のなんてことはない日々

 田舎女 *ぽこ* のなんてことはない日々

   独立した娘2人を持つパートタイマー主婦です。
   ワインのこと、愛猫のこと、
   寒冷地のド田舎暮らしのこと・・
   思いつくままに。

大好きなピアニストさんだから
マイナスなことはあまり言いたくないのだけど
期待ほどではなかったなぁ、今回のキーシン。

3年前の前回の来日のときも
同じサントリーホールの公演に行きました。
ちょうど彼の誕生日ということもあって
いいムードの中で幸せそうに奏でていたっけ。
スタンディングオベーションも止まらなくて
観客とステージが一体になったような感じがして
私もすごく幸せな時間を過ごしました。
この日のギャラをすべて東日本大震災の復興のために
寄付してくれたと後で知って感動もしました。

またすぐにでも会いたい!聴きたい!この感動を再び!と
恋い焦がれ待ち続けて3年、
ようやく来日となり喜び勇んで行ったのですが。

音がゴワゴワしていたのは音響のせいだと思いたい。
(前回は音響がピカイチとされる2階斜め位置の席、
 今回は眺め重視で1階中央よりの後方の席)
彼にあまり緊張感や集中力が感じられなかったのも
自分の受け取り方の違いでそう見えただけだと思いたい。

父上を亡くされ身辺の環境も変化したのでしょうか、
40歳を過ぎて自身の心身にも変化はあるでしょう、
最近は政治方面に目が向きその手の発言も増え、
事実婚するくらいの女性に巡り会ったとの噂も聞きます。

どうしても「俗世に下りてきちゃった感」がしてしまう。
現実世界からのいろんな刺激にさらされて
純粋に芸術のみに没頭しきれず演奏に雑味が混じった印象。
自分の音楽の世界の中だけで生きてたような
よくも悪くも常人離れしたところ、
そこで紡ぎ出されるピュアな音が彼の魅力だったのにな。
現実世界でいろんな経験をして人間的に厚みが増すのは
常人にとってはいいことだけど、
天才的な芸術家にとっては必ずしもいいことではない
と思います。
あくまで彼らの芸術世界を守るという意味でですが。

否定的な話だけで終わらせたくないので
ひとつよかったことを書きます。
今回演奏したのは、主にシューベルトとスクリャービン。
スクリャービン「幻想ソナタ」はとてもよかったです。
薄闇の中白く泡立ちうねる波が思い浮かぶような演奏。
曲が終わってため息が出てしばしボーッとしちゃって
拍手し損ねるくらいでした(笑
今のキーシンの技量とメンタルな部分には
シューベルトよりスクリャービンが合ってるのかも、
なんて素人が直感で思ってみたりしました。

まとまらないけど長くなっちゃったので
今日はこれでいきなり終わります!笑