- 腕の中で冷えていく身体、流れ続ける赤 -
「・・・・・・え?」
「あら、ご存じありませんでした?東の離宮で顔合わせをなさるそうですよ」
- ふとした瞬間に、あの時の感触を思い出す -
「あれだけ仕事のできる方ですもの、大臣方が放ってはおきませんよね」
- 自分の手の中で、今にも消えそうな命の灯 -
「王様はご側室を持たれる気はないと仰ってますし、王子様を溺愛なさっていて縁談話なんて切って捨てる勢いですものね。そうなると、あの方に婿に入ってもらえたら家の安泰は確実。喉から手が出るほど欲しい優良物件でしょうね」
- 愛する人を永遠に失う恐怖 -
「胡散臭さは感じますけど好青年みたいだし、あの顔なら娘たちだって黙って婿に迎えるどころか、縁談話を持ってきた父親に感謝するかもしれませんね」
- 一生傍にいられなくても、同じ空の下、生きてさえいてくれたら -
「王妃様?どうかなさいましたか?お顔の色が・・・」
「っ・・・!」
- そう思っていたのに -
「王妃様?!!」
「ごめっ・・・ひとりに・・・ごめんなさいっっ」
- 離れていても、いつまでも私を想っていてくれるなんて思っていたわけじゃない -
- 皆が祝福してくれるような相手と、穏やかに生きていてくれたらとさえ思っていた -
- なのに・・・ -
「っ・・・・・・・・・・・・・・蓮!」