くるくるぐるぐる
水の中を回転する僕。

と、思ったら、
水がなくなり、
こんどは、熱い風が吹いてきた。

あちちちふわふわ
ふわふわあちちち。

体に、タオルやらTシャツやら、
布がやたらとまとわりつく。

気付くと、
目の前には丸くて透明な扉が。

あちら側から、
おねえさんが、扉を開けた。

「うーん、キレイになったわ。
ふわふわね。」

どうやら、ここは、
コインランドリー。

おねえさんは、
タオルやTシャツと一緒に
僕をカゴに入れて、
夜道を歩き始めた。

ああ、いい匂い。

洗剤の香りに包まれて、
僕は、
すっかり夢心地。

おねえさんもかわいいしね。


「あら。
ぬいぐるみが混じってるわ。
いつのまに紛れたのかしら。

どうやら、おねえさんは、
センモンガッコウセイってやつで、
東京のアパートで
ひとり暮らしをしているらしい。

東京。

うん、それは、たしか、
1年生くんの家より
九州に近いはずだ。

こう見えて、
僕は、
地図が読めるぬいぐるみなんだ。

「さあ、ヌイちゃん、
出掛けるわよ。」

おねえさんは、勝手に名前をつけて、
学校へもバイト先へも
僕を連れて行った。

そして、ある日、
僕を、顔だけ覗かせるようにして
大きなバッグに入れて、
知らないおにいさんと
東京駅で待ち合わせをして、
新幹線に乗り込んだんだ。

新幹線なら
早く九州に着くかもしれない。

安心して外の景色を見ていると
「長岡〜、長岡に到着します」

ええ??

長岡って、
1年生くんの家が
あるところじゃないか。

戻って来ちゃったよ。

と、思ったら、電車を
乗り換えて、新津駅、
また、電車を乗り換えて、水原駅。

目の前には、湖。

白鳥、白鳥、白鳥!!

僕は、思わず
身を乗り出した。

あっ!
と、おねえさんが言った瞬間、
僕の体は、白鳥の背中に乗った。


続く。

(1年生くんは2年生くんに
なりましたが、
物語の中では
1年生くんと表記しています。
たぶん、うーは
気付いてないしね。)

次回をお楽しみに(いつ?)