僕は、うー。
UFOキャッチャーで
1年生くんに、
ほん、と一緒に
すくいあげてもらったんだ。
ほら、このきみどりいろの
ふわふわした体、
君も触りたくなるだろう?

1年生くんは、
ことのほか
僕をかわいがってくれて、
ごはんを食べるのも一緒、
遊びに行くのも一緒、
ピアノのレッスンも一緒、
そして、
トイレに行くときだって、
ポケットの中さ。

実はね、
1年生くんには
言ってないのだけれど、
僕には、
九州に仲間たちがいるんだ。

ぬいぐるみ工場で生まれた僕らは、
日本中の子供たちを
喜ばせるために、
あちこちのゲームセンターや
ショッピングモールの
ゲームコーナーへと
散らばって行くんだ。

ところが、あるとき、
工場に
悪者がやって来て、
工場長をおどして、
そのでっかい手で
仲間を何匹も鷲掴みにして、
連れ去ってしまったんだ。

僕らの使命は、
UFOキャッチャーの透明な箱のなかで
子供たちを笑顔で迎え、
すくってくれた子供たちを
笑顔にすること。

それなのに、
悪者は……!!


悪者は、
ハハハハと高笑いをしながら、
「俺様は、
これから九州に飛ぶ。
九州というのは、海を越えなければ
辿り着くことの出来ない、
遥か遠い場所だ。
絶対に捕まるもんか。」
と言って、
工場の煙突を登って、
どこかへ消えてしまった。

だから、僕は、
仲間を助けに行きたい。

なんとしてでも、海を渡りたい。

でも、僕がいなくなったら、
1年生くんは
さみしくて泣いちゃうだろうなあ。

だから、
ほんと相談して、
ほんが、ここに残って、
僕の留守を守ってもらうことに
したんだ。

僕は、機会を伺った。

どうにかして、
海につながる水に飛び込まねば。

ある日、いつものように
僕をポケットに入れて
トイレへ入った1年生くん。

でも、いつものように…ではなく、
その日の服のポケットは、
浅かったんだ。

よし、チャンスだ!!

僕は、ポケットから飛び出した!

水に着地!!

あっ!
と1年生くんが言った瞬間、
自動水洗機能で水が流れ、
僕は
暗い暗いトンネルを抜けて、
外の世界へ流されていった。




続く。

(但し、途中、端折りながらの予定ぶー
でないと、完成する頃には
1年生くんは
3年生くんになってしまううーん

次回をお楽しみに(いつ?)


写真提供:1年生くんママ
アイディア提供:1年生くん